今月の特集 急変・事故に対応しよう
最終回 急変や事故を予防する2 生活環境・生活習慣を工夫する
注意していても、気をつけていても、起こってしまう事故や急変。最終回の今回は、前回に引き続き、急変や事故を予防するためのポイントとして、生活環境や生活習慣の工夫について紹介します。
転びやすい物をなくす
高齢者は、じゅうたんや1、2センチのわずかな段差でもつまずくことがあります。このような段差をなくすようにするとともに、床にはコンセントやコードなどひっかかりやすいものを取り除くようにします。
また、床の素材により滑りやすい物があるので注意が必要です。たたみでは靴下を履いて歩くと、目に沿って滑って転ぶ危険性が高くなります。またフローリングの場合でも、スリッパで歩くと滑りやすく、ズボンの裾を踏みやすいので注意が必要です。
また、床の素材により滑りやすい物があるので注意が必要です。たたみでは靴下を履いて歩くと、目に沿って滑って転ぶ危険性が高くなります。またフローリングの場合でも、スリッパで歩くと滑りやすく、ズボンの裾を踏みやすいので注意が必要です。
ドアは引き戸にする
つかまるところ(手すりなど)を作る
脱水症に注意する
高齢者は体内に水分をためておくことができにくいため、脱水症になりやすいという特徴があります。その一方で喉の渇きを自覚しないことも多く、水分不足に気づくのが遅れることがあります。脱水症になると、なんとなく元気がない、だるくて食欲がない状態から始まり、脈拍が速くなる、微熱、尿量の減少と濃縮(色が濃い)、さらに悪化すると血圧が下がり意識レベルの低下(うとうとする、声かけに反応が薄い)、皮膚の乾燥、便秘、不穏・幻覚などの精神症状が出現する等の症状がでます。そのため、脱水症にならないために、1日に最低でも1200〜1500ccの水分を摂るようにします。特に食欲が落ちた時には食事に含まれる水分も取れないことが多く、脱水が急速に進みます。食事がとれない時には早めに経口補水を行うことで対処し、症状が良くならなければ医療機関に受診しましょう。
また、脱水症には1年を通じて注意する必要があります。気温の高い夏場のほか、暖房や電気毛布で保温している冬場も脱水は起こります。日頃から十分な水分を取るような習慣をつけましょう。
脱水ではこの他にも、血液中の水分が少なくなり、血液が濃い状態になるために脳梗塞・心筋梗塞などの発症の危険性が高くなり、2次的な病気を引き起こすことになります。十分に注意しましょう。
また、脱水症には1年を通じて注意する必要があります。気温の高い夏場のほか、暖房や電気毛布で保温している冬場も脱水は起こります。日頃から十分な水分を取るような習慣をつけましょう。
脱水ではこの他にも、血液中の水分が少なくなり、血液が濃い状態になるために脳梗塞・心筋梗塞などの発症の危険性が高くなり、2次的な病気を引き起こすことになります。十分に注意しましょう。
季節ごとの注意点
夏は熱中症を引き起こす可能性もあります。冷房は体に悪いと高齢の方で使わないことがありますが、環境の調整は重要です。冷暖房の設定を高めにする、窓を開ける、扇風機で空気の流れを作るなどの工夫をします。高齢者では皮膚感覚が鈍くなり、必要以上に着込んだり寒がったりすることがあります。体温や体調にあわせ、適温で過ごすことができるように部分的な保温(首や足を温かく)をすると良いでしょう。冬は部屋ごとの気温の変化に注意し、急に冷えて血圧の大きな変動が起こらないように工夫します。
薬を確実に服薬する
薬を飲みたくないと思う場合は、薬が多くてこんなに飲んで大丈夫なのかなど、飲みたくない理由をきちんと医師に伝えてお互いに納得することが重要です。主治医とは是非「話せる関係」を作ってほしいものです。
飲み忘れたときに2回まとめて飲むなどは大変危険です。そのためにも薬剤師に薬の効果をよく聞き、生活にあわせた内服が出来るようにアドバイスを受けましょう。1日2食の方はその旨を医師に話すと、1日3回でなく、2回にして考えてくれることもありますし、薬によっては食事に関わらず、時間で使うものもあります。
糖尿病の方は食事前に注射をしたり、内服したりしますが、うっかり食事を取らずに薬だけ飲んでしまった時には低血糖の症状に注意し、速やかに糖分を取る、食事をとるなどで対処します。
誰でも薬は飲みたくないものです。ただ、適切に使うことで最短、最大の効果をもたらすのも薬です。専門家に納得するまで聞くこと、これが近道だと思います。
便秘は万病の元
人によって排便の習慣が違います。高齢になり、運動量が少なくなり、歯が悪くなって繊維物も取らない、トイレが近くなるから水分を控えるとなると、便秘をしやすくなります。認知症のある方が便秘になると、便秘だとわからずに落ち着かなくなったり、精神症状として不穏になることもあります。食欲がないなど周辺の状況から早く発見して対応したいものです。また、便秘のときに無理にいきむと心臓や腸に負荷がかかり、脳卒中や脳血管障害を引き起こすこともあります。日頃から便秘にならないよう食べ物を気をつけたり、薬を服薬することが大切です。
主治医に定期的に受診する
主治医を定期的に受診するメリットはさまざまありますが、毎年検査の数値を比較して「普段の数値」を把握できるとともに、それに基づいて健康管理してもらうことが大きなメリットです。
今月の特集では、4回にわたって急変・事故に対応する方法を説明してきました。注意していても、気をつけていても、起こってしまう事故や急変。これを防ぐには、日頃のちょっとした注意やまだ症状が軽いときに対応することが大切です。
お年寄りの「いつもの様子」を知り、小さな変化をキャッチし、小さな症状の悪化や小さな事故で抑えることが大切です。ぜひ、転ばぬ先の杖の意味でも、これまで紹介してきたことを日頃から心がけ、急変・事故に備えてください。
今月の特集では、4回にわたって急変・事故に対応する方法を説明してきました。注意していても、気をつけていても、起こってしまう事故や急変。これを防ぐには、日頃のちょっとした注意やまだ症状が軽いときに対応することが大切です。
お年寄りの「いつもの様子」を知り、小さな変化をキャッチし、小さな症状の悪化や小さな事故で抑えることが大切です。ぜひ、転ばぬ先の杖の意味でも、これまで紹介してきたことを日頃から心がけ、急変・事故に備えてください。
お話をうかがった方
横浜市港北医療センター
訪問看護ステーション ケアマネジメントステーション管理者・看護師・ケアマネジャー
【参考資料】
平成17年度 独立行政法人福祉医療機構助成金事業 医療が必要な在宅療養者のためのサービス活用モデルの作成と市民への普及研究事業 パンフレット