今月の特集 高齢期の住まい
第1回 有料老人ホーム、ケアハウス、高齢者専用賃貸住宅ってなんだろう?
そうはいっても、身体の調子や家族の状況によっては、ままならない場合もあるでしょう。施設に入りたいと思っても、何か月も入居待ちが続くということも珍しくありません。そんなときに、選択肢の一つとして考えたいのが、有料老人ホームやケアハウス、高齢者専用賃貸住宅です。
今月の特集は、自宅でも施設でもない「第三の住まい」ともいわれる、有料老人ホーム、ケアハウス、高齢者専用賃貸住宅についてご紹介します。
有料老人ホーム
高齢者向けの居住施設です。以前は、入居に際して高額な一時金を必要とするイメージがありましたが、最近では手ごろな費用で利用できる施設も増えています。
有料老人ホームは介護の提供方法によって、次の3つに分類できます。
有料老人ホームは介護の提供方法によって、次の3つに分類できます。
介護付有料老人ホーム
文字通り、介護などのサービスがついた有料老人ホームです。介護が必要となった場合、その有料老人ホームから提供されます。
住宅型有料老人ホーム
生活支援などのサービスがついた有料老人ホームです。介護が必要になった場合、その有料老人ホームからは提供されません。自宅で介護保険サービスを利用する場合と同様、ケアマネジャーに「居宅サービス計画(ケアプラン)」をつくってもらい(自身でつくることもできます)、訪問介護などのサービスを利用することになります。
健康型有料老人ホーム
食事などのサービスがついた有料老人ホームです。介護が必要となった場合は、その有料老人ホームを出なければなりません。
有料老人ホームを利用するために必要な費用
費目 | 内 容 |
家賃 | 有料老人ホームの建築にかかった費用、修繕費、管理事務費、土地代などから決められます。 |
介護のための費用 | 介護保険サービスの利用に必要な費用のほか、その有料老人ホームが独自に行う「買い物代行」など、介護保険では対象とならないサービスを利用した場合にはその費用が必要です。 |
食費 | 食事にかかる費用です。 食材料費ほか人件費などが含まれます。 |
管理費 | 共用施設の維持費、介護以外の事務職員の人件費など、有料老人ホームの管理に必要な人件費、維持管理費です。 |
その他 | 入居者の希望による追加の有料サービスや、居室で利用した水道光熱費や電話料金などです。 |
なお、「家賃」と「介護のための費用」のうち介護保険では対象とならないものの支払い方法については、「月払い方式」、「一時金方式(生涯にわたって支払う額の全部または一部を前払金として入居時に一括して支払う方法)」、それらを組み合わせたものなどがあります。施設によってその額には多寡に差がありますから、必ず確認して下さい。
ケアハウス
自立した日常生活を送ることに不安があって家族などによる援助が難しい場合に、低額な料金で、食事や日常生活を送るうえで必要となるサービスを提供する施設です。60歳以上が対象ですが、その人の配偶者や三親等内の親族、特別な事情によってその人と一緒に入ることが必要と認められた場合には、それらの人と一緒に入居することができます。
ケアハウスを利用するために必要な費用
費目 | 内 容 |
サービスの提供に要する費用 | 人件費、施設の管理費などにあたります。地域の実情などを考えて都道府県知事が決定します。なお、前年の収入によって入居者から集められる額(費用徴収額といいます。具体的な額は下記)が決められていて、都道府県知事が決定した額との差額が助成されます(つまり、費用徴収額が入居者の負担する金額ということになります)。 |
生活費 | 食材料費と共用部分の光熱水費です。地域の実情などを考えて都道府県知事が決定します。 |
居住に要する費用 | 家賃にあたります。原則として分割払いとなっています。有料老人ホームに比べて割安になっています。 |
その他 | 入居者の希望による特別なサービスや、居室で利用した光熱水費や電話料金などです。 |
入居者からの徴収額
対象収入による階層区分 | 費用徴収額(月額) |
1,500,000円以下 | 10,000円 |
1,500,001円〜1,600,000円 | 13,000円 |
1,600,001円〜1,700,000円 | 16,000円 |
1,700,001円〜1,800,000円 | 19,000円 |
1,800,001円〜1,900,000円 | 22,000円 |
1,900,001円〜2,000,000円 | 25,000円 |
2,000,001円〜2,100,000円 | 30,000円 |
2,100,001円〜2,200,000円 | 35,000円 |
2,200,001円〜2,300,000円 | 40,000円 |
2,300,001円〜2,400,000円 | 45,000円 |
2,400,001円〜2,500,000円 | 50,000円 |
2,500,001円〜2,600,000円 | 57,000円 |
2,600,001円〜2,700,000円 | 64,000円 |
2,700,001円〜2,800,000円 | 71,000円 |
2,800,001円〜2,900,000円 | 78,000円 |
2,900,001円〜3,000,000円 | 85,000円 |
3,000,001円〜3,100,000円 | 92,000円 |
3,100,001円以上 | 全 額 |
高齢者専用賃貸住宅
高齢者をもっぱらの対象とする賃貸住宅です。これを「高齢者専用賃貸住宅」といいます(高専賃と呼ぶこともあります)。賃貸借契約のため、入居時に高額な一時金を必要とすることもなく、気に入らなければ契約を解除することができます。食事の提供や見守り、緊急時のサポートなどのサービスを提供している場合、住戸にかかる契約とサービスにかかる契約は別々に行われるため、必要なサービスを自分で選択して利用できます。
高齢者専用賃貸住宅は、その家賃や設備、附帯サービスの有無などの情報が都道府県知事に登録、公開されています。
なお、家賃やそのほか附帯サービスにかかる費用などについては賃貸住宅との契約によります。
有料老人ホーム、ケアハウス、高齢者専用賃貸住宅の一般的な特徴をまとめました。
高齢者専用賃貸住宅は、その家賃や設備、附帯サービスの有無などの情報が都道府県知事に登録、公開されています。
なお、家賃やそのほか附帯サービスにかかる費用などについては賃貸住宅との契約によります。
有料老人ホーム、ケアハウス、高齢者専用賃貸住宅の一般的な特徴をまとめました。
有料老人ホーム | ケアハウス | 高齢者専用 賃貸住宅 | |
メ リ ッ ト |
・より多くの介護を必要とする場合にも利用が可能 ・多様なサービスを総合的に提供 ・バランスのよい食事 ・職員による健康管理 ・入居一時金を支払うことで生涯の利用が可能 ・長期間利用するほど得 |
・所得に応じた助成がある→低額な利用料 ・国の基準によって、一定水準の設備等が確保されている ・食事と入浴サービスが附帯 ・緊急時の安心 ・規則正しい生活リズム ・共同生活による刺激 |
・賃貸借契約、敷金礼金方式→入居・退去がしやすい ・借地借家法により入居者が保護されている(住み続けることが保障されている) ・サービスは別契約→必要な分だけサービスが利用できる ・住戸内の設備が整っている→管理されない、マイペースで主体的な暮らしができる |
デ メ リ ッ ト |
・すべてのサービスが用意されているので依存度が高くなる ・決まった食事メニュー ・食事や入浴の時間が決められている ・生活が管理される ・高額な入居一時金が必要 ・入居時に初期償却があるので、短期間の利用には不利 |
・決まった食事メニュー ・食事や入浴の時間が決められている ・生活が管理される ・最期まで住み続けることは難しい ・新規施設が減少→既存のケアハウスのなかから選択する |
・安否確認に限界がある ・最期まで住み続けることは難しい |
取材協力者
シニアライフ情報センター
高齢者の「在宅からの住み替え」をお手伝いしている非営利団体(NPO)。
1992年の発足以来、高齢者の安心居住を目指し、消費者の立場と視点から、安心して老後の生活を託せる公・民の「高齢者の住まい」の情報を幅広く集めている。
収集した豊富な情報を整理分析して、必要とされる方々に提供し、セミナーや見学会を通して見る目を養って頂くとともに、面談によるきめ細かな相談も行っている。
〒151-0053 東京都渋谷区代々木1-10-7 406
TEL:03-5350-8491
http://www.senior-life.org
E-Mail:i-senior@tb3.so-net.ne.jp
高齢者の「在宅からの住み替え」をお手伝いしている非営利団体(NPO)。
1992年の発足以来、高齢者の安心居住を目指し、消費者の立場と視点から、安心して老後の生活を託せる公・民の「高齢者の住まい」の情報を幅広く集めている。
収集した豊富な情報を整理分析して、必要とされる方々に提供し、セミナーや見学会を通して見る目を養って頂くとともに、面談によるきめ細かな相談も行っている。
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