今月の特集 家庭介護者のホンネとサポート
第2回 家庭介護者のこころの問題
今月のけあサポ'S EYEでは、介護者本人の悩みやケアについて考えていきます。
第2回は、家庭介護者のこころの問題に焦点を当て、さまざまな危険信号を読み解いてみましょう。必ずしもすべての介護者に当てはまるわけではありませんが、思い当たるふしのある人は、少しご自身の心の声に耳を傾けてみてください。
4回にわたって、長く介護者自身のケアについて取り組んでいる「介護者サポートネットワークセンター・アラジン」の牧野史子代表にお話をうかがいました。
第2回は、家庭介護者のこころの問題に焦点を当て、さまざまな危険信号を読み解いてみましょう。必ずしもすべての介護者に当てはまるわけではありませんが、思い当たるふしのある人は、少しご自身の心の声に耳を傾けてみてください。
4回にわたって、長く介護者自身のケアについて取り組んでいる「介護者サポートネットワークセンター・アラジン」の牧野史子代表にお話をうかがいました。
母子カプセル型の親子は危険信号
「一卵性親子」「母子密着型」「母子カプセル」。心理的距離がとても近い親子を、こう呼ぶことがあります。母親は子どもに自分の理想像を投影し、子どももその期待に応える構図が見えてきます。時にはうまく作用することもあるかもしれませんが、介護においては、難しい問題をはらみます。
たとえば母親との心理的距離が近かった娘は、当然のように仕事を辞め、親の介護に入る場合が多いといいます。とても理想的な介護のかたちに見えるかも知れません。
しかし実際、多く相談が寄せられるのは、こうした、実の娘が母親を介護するケースだそうです。相談からは、以下のような悩みの声が聞かれました。
*いつまでも娘としての役割を続けなければならないのが苦痛。
*いまだ、家の切り盛りを母が支配している。自分の判断では何一つ進められない。
*仲の良かった母のことだから、どうしても自分ひとりで抱え込んでしまう。
介護は、介護だけの問題でない。長い年月をかけてはらんだ問題が表面化してくるタイミングなのだということが言えるのかもしれません。
たとえば母親との心理的距離が近かった娘は、当然のように仕事を辞め、親の介護に入る場合が多いといいます。とても理想的な介護のかたちに見えるかも知れません。
しかし実際、多く相談が寄せられるのは、こうした、実の娘が母親を介護するケースだそうです。相談からは、以下のような悩みの声が聞かれました。
*いつまでも娘としての役割を続けなければならないのが苦痛。
*いまだ、家の切り盛りを母が支配している。自分の判断では何一つ進められない。
*仲の良かった母のことだから、どうしても自分ひとりで抱え込んでしまう。
介護は、介護だけの問題でない。長い年月をかけてはらんだ問題が表面化してくるタイミングなのだということが言えるのかもしれません。
介護が生きがいになってしまった?
親の介護をすることは、身体的・経済的・心理的にもつらいことがある反面、「親とじっくり向き合える」「頼りにしてもらえる」など、嬉しい側面もあります。サポートしてくれる人がこんなにいたのかと、感謝する気持ちも生まれます。介護をすることのふとした喜びはそんなところにあるのかも知れません。
でも一方で、こんな気持ちになってしまうことはないでしょうか。
*ヘルパーさんが来ても、どうも気持ちが親から離れられない。心配でならない。
*息抜きに友達と会っていても、罪悪感が先立つ。
*デイサービスに親を連れて行くのは、どこか寂しくて嫌だ。
*デイサービスから帰ってきたとき、親の「楽しかった!」という様子を見ると、正直残念な気持ちになる。
人間のこころは微妙なもの。気持ちを込めて介護をする人に起こる、あたりまえの心理状態です。
しかしこれが高じて、「介護だけが生きがい」「介護べったりの生活から抜けられない」というところまで行くと、危険信号。介護をしている家族が、「介護」そのものにのめり込み、依存している可能性があります。
でも一方で、こんな気持ちになってしまうことはないでしょうか。
*ヘルパーさんが来ても、どうも気持ちが親から離れられない。心配でならない。
*息抜きに友達と会っていても、罪悪感が先立つ。
*デイサービスに親を連れて行くのは、どこか寂しくて嫌だ。
*デイサービスから帰ってきたとき、親の「楽しかった!」という様子を見ると、正直残念な気持ちになる。
人間のこころは微妙なもの。気持ちを込めて介護をする人に起こる、あたりまえの心理状態です。
しかしこれが高じて、「介護だけが生きがい」「介護べったりの生活から抜けられない」というところまで行くと、危険信号。介護をしている家族が、「介護」そのものにのめり込み、依存している可能性があります。
ひとに任せられない心理の裏側
心理用語で「共依存」という言葉があります。ある人間関係に過剰にとらわれ、そこに依存するような状態をいいます。
介護、とくに密室化しやすい家庭介護では、そういう心理状態におちいる介護者が多くいます。介護することにのみ没頭し、自分はもちろん、時には介護をされる人の気持ちまで見えなくなってしまうこともあります。
一見、とても献身的な介護に見えますが、介護される本人は何も言えない・口出しできない状態にあるとしたら…。これは、双方にとって深刻な危険信号です。なんらかのケアやサポートが必要です(次回以降、詳しくみていきたいと思います)。
次回のけあサポ'S EYEでは、介護者のためのこころのセルフケアについて考えます。
介護、とくに密室化しやすい家庭介護では、そういう心理状態におちいる介護者が多くいます。介護することにのみ没頭し、自分はもちろん、時には介護をされる人の気持ちまで見えなくなってしまうこともあります。
一見、とても献身的な介護に見えますが、介護される本人は何も言えない・口出しできない状態にあるとしたら…。これは、双方にとって深刻な危険信号です。なんらかのケアやサポートが必要です(次回以降、詳しくみていきたいと思います)。
次回のけあサポ'S EYEでは、介護者のためのこころのセルフケアについて考えます。
第3回 介護者のためのこころのセルフケア
ご協力いただいた方
千葉大学教育学部卒。小学校教員を経て、夫の転勤に伴い西宮市在住中に阪神大震災に遭い、仮設住宅高齢者を支援するさまざまな活動を展開する。2001年帰京し、“介護者の孤立”問題に取り組む組織「介護者サポートネットワークセンター・アラジン」を立ち上げる。以来、介護者を支援する地域のしくみづくりを提唱、実践している。
【アラジンをもっと知りたい人のために】
NPO法人 介護者サポートネットワークセンター・アラジン
TEL 03-5368-1955(火曜〜金曜11:00〜18:00)
FAX 03-5368-1956
ホームページ http://www12.ocn.ne.jp/~arajin/
Eメール arajin2001@minos.ocn.ne.jp
TEL 03-5368-1955(火曜〜金曜11:00〜18:00)
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