今月の特集 家庭介護者のホンネとサポート
第1回 家庭介護者がわかってほしいこと
親の様子が「あれ、おかしいな?」と思い始めた時。
医者の診断が確定した時。
誰が介護をするのか家族・きょうだいで話し合った時。
介護が長く続いている時。
介護には、さまざまなターニングポイントがあります。
そこにはどのようなこころの葛藤があるのでしょうか。葛藤や悩みを抱えている場合、どのようなケアができるのでしょうか。今月のけあサポ'S EYEでは、介護者本人の悩みやケアについて考えていきます。
4回にわたって、長く介護者自身のケアについて取り組んでいる「介護者サポートネットワークセンター・アラジン」の牧野史子代表にお話をうかがいました。
第1回は、家庭介護者が抱える悩みを分析していきます。
医者の診断が確定した時。
誰が介護をするのか家族・きょうだいで話し合った時。
介護が長く続いている時。
介護には、さまざまなターニングポイントがあります。
そこにはどのようなこころの葛藤があるのでしょうか。葛藤や悩みを抱えている場合、どのようなケアができるのでしょうか。今月のけあサポ'S EYEでは、介護者本人の悩みやケアについて考えていきます。
4回にわたって、長く介護者自身のケアについて取り組んでいる「介護者サポートネットワークセンター・アラジン」の牧野史子代表にお話をうかがいました。
第1回は、家庭介護者が抱える悩みを分析していきます。
介護が大変だという「3つの理由」
「介護って大変」。よく聞かれるフレーズですが、実際、介護者にかかる負担には3つの側面があります。
なかでも<3>は、そのサポート体制が十分でないこともあり、根深い問題となっています。具体的には、どのようなこころの葛藤があるのでしょうか。
【介護者が抱える3つの負担】
<1>身体的な負担
例:毎日・毎晩の介助(食事、入浴、トイレ、着替え、移動・移乗など)による肉体的疲労など
<2>経済的な負担
例:治療費やサービス利用料、住宅改修費の工面など
<3>精神的な負担
例:親子・嫁姑・きょうだい・夫婦関係の問題、自分のキャリアに関する葛藤、孤独感など
<1>身体的な負担
例:毎日・毎晩の介助(食事、入浴、トイレ、着替え、移動・移乗など)による肉体的疲労など
<2>経済的な負担
例:治療費やサービス利用料、住宅改修費の工面など
<3>精神的な負担
例:親子・嫁姑・きょうだい・夫婦関係の問題、自分のキャリアに関する葛藤、孤独感など
なかでも<3>は、そのサポート体制が十分でないこともあり、根深い問題となっています。具体的には、どのようなこころの葛藤があるのでしょうか。
親の介護がスタートするときの葛藤
親の様子がおかしい。「もしかしたら、認知症かも知れない」と思っても、病院に連れて行くまでには大きな葛藤があります。これが第一のハードルです。
親子ともやっとの思いで病院に行き、診断名を告げられると、「やっぱりそうか…」という気持ちと「認めたくない」という気持ち、そして「自分がちゃんとめんどうをみなくてはならない」という気持ちが複雑に絡み合います。それが第二のハードルです。
そして、何とか気持ちに折り合いをつけて、自分が主たる介護者になる気持ちが固まっても、家族の問題、お金の問題、自分の将来の問題など、さまざまなハードルが待っています。
こうした多くのハードルを飛び越え、介護がスタートしますが、葛藤はいつまでも繰り返し続きます。
親子ともやっとの思いで病院に行き、診断名を告げられると、「やっぱりそうか…」という気持ちと「認めたくない」という気持ち、そして「自分がちゃんとめんどうをみなくてはならない」という気持ちが複雑に絡み合います。それが第二のハードルです。
そして、何とか気持ちに折り合いをつけて、自分が主たる介護者になる気持ちが固まっても、家族の問題、お金の問題、自分の将来の問題など、さまざまなハードルが待っています。
こうした多くのハードルを飛び越え、介護がスタートしますが、葛藤はいつまでも繰り返し続きます。
けっこう難しい、きょうだいの問題
さて、みなさんが主たる介護者になったのは、どのような理由からでしょうか。
自分の親だから、長女(長男)だから、親の近くに住んでいるから(もしくは同居しているから)、子育てもひと段落しているから、独身だから…など、さまざまな要因をみることができます。周囲から貼られた「あなたがやらなければ誰がやるの」というレッテルによって、介護に入る場合もあります。
そんな有形無形のプレッシャーのなか、毎日の介護を続ける日々。寄せられる相談に多いのは、きょうだいに関係する悩みです。
*遠くに住むきょうだいから、介護のやり方について横やりが入った。
*たまに家に寄ってくれ、親も喜んでそのときばかりはシャンとするのが、複雑な心境。
*みんな親のほうばかりみるが、介護者の自分に対する気遣いはあまり感じられない。
ふだん仲の良いきょうだいでも、ほんとうにわかってもらうのは難しいものです。
介護者にとっては、自分の気持ち・自分の介護が理解してもらえない、評価してもらえないという葛藤は、時に大きな苦しみとなります。
自分の親だから、長女(長男)だから、親の近くに住んでいるから(もしくは同居しているから)、子育てもひと段落しているから、独身だから…など、さまざまな要因をみることができます。周囲から貼られた「あなたがやらなければ誰がやるの」というレッテルによって、介護に入る場合もあります。
そんな有形無形のプレッシャーのなか、毎日の介護を続ける日々。寄せられる相談に多いのは、きょうだいに関係する悩みです。
*遠くに住むきょうだいから、介護のやり方について横やりが入った。
*たまに家に寄ってくれ、親も喜んでそのときばかりはシャンとするのが、複雑な心境。
*みんな親のほうばかりみるが、介護者の自分に対する気遣いはあまり感じられない。
ふだん仲の良いきょうだいでも、ほんとうにわかってもらうのは難しいものです。
介護者にとっては、自分の気持ち・自分の介護が理解してもらえない、評価してもらえないという葛藤は、時に大きな苦しみとなります。
介護していない人に、言われたくない
そしてもう一つ、これまでの交友関係にも葛藤が生じる場合が多くあります。
たとえば、かつての仕事仲間と久しぶりに時間をやり繰りして会ってはみたものの、何かしっくり来ない。自分の近況は親の介護が中心で、それに対する友人のリアクションは、「大変ねー」のひと言。なかば依怙地になって、「介護してない人に、そんなこと言われたくない」と思ってしまうのではないでしょうか。
みずから交友関係を切り、ますます疎遠・孤立していく状況に陥る人は、決して少なくありません。
「うちはそんなことない!」「そういうこと、ある!」など、さまざまな感想があると思います。
ぜひご自身で、「自分はどうかな?」とこころの状態を探ってみてください。
それがケアの第一歩につながります。
次回のけあサポ'S EYEでは、介護者のこころの問題について考えます。
たとえば、かつての仕事仲間と久しぶりに時間をやり繰りして会ってはみたものの、何かしっくり来ない。自分の近況は親の介護が中心で、それに対する友人のリアクションは、「大変ねー」のひと言。なかば依怙地になって、「介護してない人に、そんなこと言われたくない」と思ってしまうのではないでしょうか。
みずから交友関係を切り、ますます疎遠・孤立していく状況に陥る人は、決して少なくありません。
「うちはそんなことない!」「そういうこと、ある!」など、さまざまな感想があると思います。
ぜひご自身で、「自分はどうかな?」とこころの状態を探ってみてください。
それがケアの第一歩につながります。
次回のけあサポ'S EYEでは、介護者のこころの問題について考えます。
第2回 家庭介護者のこころの問題
ご協力いただいた方
千葉大学教育学部卒。小学校教員を経て、夫の転勤に伴い西宮市在住中に阪神大震災に遭い、仮設住宅高齢者を支援するさまざまな活動を展開する。2001年帰京し、“介護者の孤立”問題に取り組む組織「介護者サポートネットワークセンター・アラジン」を立ち上げる。以来、介護者を支援する地域のしくみづくりを提唱、実践している。
【アラジンをもっと知りたい人のために】
NPO法人 介護者サポートネットワークセンター・アラジン
TEL 03-5368-1955(火曜〜金曜11:00〜18:00)
FAX 03-5368-1956
ホームページ http://www12.ocn.ne.jp/~arajin/
Eメール arajin2001@minos.ocn.ne.jp
TEL 03-5368-1955(火曜〜金曜11:00〜18:00)
FAX 03-5368-1956
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