今月の特集 介護環境に色彩を活用しよう
第1回 色が人に与える影響とは?
これは、たとえ要介護の状態になったとしても同じであり、むしろそうした状態だからこそ、居住環境の色彩にもっと目を向けるべきといえるかもしれません。
そこで今月の特集では、介護を受ける人にとっても、する人にとっても快適な環境となる色彩活用術をご紹介します。
色が心身に与える影響
色はさまざまなイメージを想起させて特定の感情効果を与えるだけでなく、脳とも深いかかわりがあります。
色光は網膜でキャッチされ、大脳の視覚野で色と認識された後、視床下部、扁桃体、海馬にその刺激を与えます。
色光は網膜でキャッチされ、大脳の視覚野で色と認識された後、視床下部、扁桃体、海馬にその刺激を与えます。
・視床下部:食欲、性欲、睡眠欲などの本能的欲求、自律神経、喜びや怒り、哀しみなどの感情に直接関与する感情の中枢
・扁桃体:快・不快などの根元的な欲求についての決定を下す、ホルモン分泌、内臓の調節を行う役割
・海馬:痛みや怒り、恐怖などの心理的な情報を記憶する
・扁桃体:快・不快などの根元的な欲求についての決定を下す、ホルモン分泌、内臓の調節を行う役割
・海馬:痛みや怒り、恐怖などの心理的な情報を記憶する
また、色は視覚のみでなく、皮膚によっても感じられ、目隠しをしていても、色光に反応して、筋肉が緊張したり弛緩するといわれています。
このように身体にさまざまな影響を与える色は、現代では仕事の能率を高めたり、疲労を軽減するなど、職場環境改善のための材料として活用されています。また、病気の人の回復を促す手助けにもなると考えられ、ヘルスケア環境でも重視されています。
つまり色は、人間の心と身体の健康を促し、生活の質を高める手段となり得るのです。
このように身体にさまざまな影響を与える色は、現代では仕事の能率を高めたり、疲労を軽減するなど、職場環境改善のための材料として活用されています。また、病気の人の回復を促す手助けにもなると考えられ、ヘルスケア環境でも重視されています。
つまり色は、人間の心と身体の健康を促し、生活の質を高める手段となり得るのです。
加齢による色彩認知力の変化
では、年をとると色の認知力はどのように変化するのでしょうか。最初に現われる視覚の変化は、細かい物が見えにくいといった老眼や視力の低下です。さらにほぼ同時に、暗いところで物が見えにくくなるという変化も起こります。これらには瞳孔の縮小と調節力の劣化が大きく起因します。
瞳孔が縮小することにより、眼に入る光の量は65歳頃には若年者の3分の1程度になります。また、水晶体と硝子体内にも不純物が増えると、光の散乱によるまぶしさを感じやすくなります(ギラギラした反射のある床、カバーのない照明器具などから生じやすい)。こうした環境は、不快感を与えるだけでなく、視力障害を進行させる恐れがあります。
水晶体自体も白く濁って黄色化するので、寒色系(青、紫など)の色光は通りにくくなり、茶色や黒との区別がしづらくなります。特に暗い場所では、細かい色の違いを見分けることが困難で、中でも黄色と青に対しての感度が低下します。これらの色をはじめとする近似色や同系色の配色は避けるべきでしょう。
瞳孔が縮小することにより、眼に入る光の量は65歳頃には若年者の3分の1程度になります。また、水晶体と硝子体内にも不純物が増えると、光の散乱によるまぶしさを感じやすくなります(ギラギラした反射のある床、カバーのない照明器具などから生じやすい)。こうした環境は、不快感を与えるだけでなく、視力障害を進行させる恐れがあります。
水晶体自体も白く濁って黄色化するので、寒色系(青、紫など)の色光は通りにくくなり、茶色や黒との区別がしづらくなります。特に暗い場所では、細かい色の違いを見分けることが困難で、中でも黄色と青に対しての感度が低下します。これらの色をはじめとする近似色や同系色の配色は避けるべきでしょう。
高齢者の色の見やすさ
○区別しやすい配色例
○区別しにくい配色例
色のプラス効果とマイナス効果
色にはそれぞれ特徴があります。この特徴を活かした環境を整えることは、介護する側も受ける側も快適に過ごすために役立つでしょう。プラス、マイナス両面の効果があるので、場面に応じて使い分けるようにしてみてください。
プラス効果 | マイナス効果 |
・明るく活発で暖かいイメージを伝える ・気分を高揚させる ・食欲を増進させる ・積極的な気持ちにさせ意欲を向上させる |
・血圧を上昇させる ・興奮を与えて余分に覚醒しすぎる ・体力低下時は刺激が強く負担になる ・バランス感覚を狂わせやすい |
・陽気でにぎやか、活動的なイメージ ・明るく朗らかな気持ちを促す ・元気で楽しい気持ちにさせる ・リラックス効果があり、くつろいだ気分になる |
・鮮やかすぎると、落ち着かなくなり、興奮しやすくなる ・鮮やかなオレンジは多く使うと疲労を増加させやすく、集中力を低下させる ・1つの場所に留まると苦痛に感じさせる |
・楽しく活発でスポーティなイメージ ・親近感を与えて気持ちを和ませる ・明るく愉快な気持ちにさせる ・α波を増加させてリラックスさせる ・胃腸の働きを活発にして消化を促す |
・目がちかちかして疲労を促進させる ・落ち着きがなくなる ・彩度の高い黄色を多用すると、下品でうるさい感じになる |
・若々しい、ナチュラルな、安らいだイメージ ・薄い緑は空間に爽やかさをもたらす ・穏やかな気持ちになり攻撃性が低下する ・頭痛を和らげて目の疲れを癒す ・気分を安定させて身体の疲労を回復 |
・保守的になりやすくなる ・休息したいという心理作用を促すので、積極性が必要な場所には不向き ・色味が強く不自然な緑は頭痛を促す ・新しいことへの関心を低下させやすい |
・さわやかでスピーディなイメージ ・興奮を鎮める、精神を安定させる ・身体の疲労を回復させる ・緊張と不安を和らげリラックスさせる ・判断力、集中力を高める |
・寒い、冷たいと感じさせる ・食欲を減退させる ・内省的な性格を強調しやすい ・口数が少なくなりやすい |
・明るく柔らかいイメージ ・筋肉を弛緩させて緊張を和らげる ・苛立ち、攻撃性を鎮める ・明るく元気な気分にさせる ・幸福感を得られる |
・依存心が強くなりやすい ・幼さが強調されやすい ・子どもっぽく扱われていると感じさせる |
ご協力いただいた方
カラーコンサルタント、日本ユニバーサルカラー協会理事長、日本セルフアートケア研究学会監事、明治大学公開講座講師