今月の特集 脳卒中とケア
第1回 脳卒中ってどんな病気?
脳卒中は40歳くらいから、また高齢になるにつれて発症しやすいこともあり、心筋梗塞などと並んで、日頃の注意が必要な病気です。
脳卒中対策で重要なのは、発症後すぐに病院で治療すること、そして何より起こさないように予防することです。
今月の特集では、介護者も知っておきたい脳卒中の知識・情報を取り上げていきます。
脳卒中が怖い理由
脳卒中は、かつては国民病と呼ばれ、1980年までは日本人の死因第1位でした。現在は第3位となっていますが、死因全体の11.8%にもなります。ちなみに第1位はがん(30.4%)、第2位は心疾患(16.0%)で、第4位以下は肺炎、不慮の事故、自殺、老衰…と続きます(平成18年人口動態統計)。
医療体制の整備や技術の向上、予防の徹底によって、脳卒中で亡くなる方が減ったことは喜ばしいことですが、昔と比べて患者数が減ってはいません。
実は、脳卒中が怖いのは、生命にかかわるということだけではないのです。一度発症すると後遺症が残る可能性が大きいこと、さらには再発しやすいこともその理由です。
発症した人の9割以上は、救急医療によって命を救われているのですが、そのうち約7割の人たちにはマヒや感覚障害、認知症、高次脳機能障害などの「後遺症」が残っています。軽度の後遺症であれば、リハビリテーションによって完治することもありますが、重度な後遺症がある場合は、その後の生活に介護が必要となります。厚生労働省の統計では、脳卒中の後遺症が介護が必要となる最大の原因であり、要介護者の4人に1人にもなっていることが明らかにされています。
医療体制の整備や技術の向上、予防の徹底によって、脳卒中で亡くなる方が減ったことは喜ばしいことですが、昔と比べて患者数が減ってはいません。
実は、脳卒中が怖いのは、生命にかかわるということだけではないのです。一度発症すると後遺症が残る可能性が大きいこと、さらには再発しやすいこともその理由です。
発症した人の9割以上は、救急医療によって命を救われているのですが、そのうち約7割の人たちにはマヒや感覚障害、認知症、高次脳機能障害などの「後遺症」が残っています。軽度の後遺症であれば、リハビリテーションによって完治することもありますが、重度な後遺症がある場合は、その後の生活に介護が必要となります。厚生労働省の統計では、脳卒中の後遺症が介護が必要となる最大の原因であり、要介護者の4人に1人にもなっていることが明らかにされています。
脳卒中の種類
脳卒中には、大きく分けて「脳梗塞(こうそく)」「脳出血」「くも膜下出血」の3種類があります。いずれも生活習慣病が大きな原因の一つと言われています。
(1)脳梗塞
血のかたまり(血栓)が血管に詰まったり、血管内が細くなって詰まったりすることで起こります。血液が脳へ流れなくなると、栄養や酸素が行き渡らず、脳細胞が死んでしまいます。
(2)脳出血
かつては脳溢血(いっけつ)とも呼ばれていました。脳内の血管が破れ、脳内に出血することで起こります。脳から流れ出た血液がかたまりを作ると(血腫)、脳は圧迫されてダメージを受けます。
高血圧の方に多く、興奮したり、トイレでいきんだ時など、血圧の変動が引き金となって発症することが多いです。特に冬場の入浴時には浴室と更衣室の気温差が大きいため、発症しやすいとされています。
高血圧の方に多く、興奮したり、トイレでいきんだ時など、血圧の変動が引き金となって発症することが多いです。特に冬場の入浴時には浴室と更衣室の気温差が大きいため、発症しやすいとされています。
(3)くも膜下出血
脳内の血管にできたコブ(動脈瘤)が、突然破れ、血液が大脳とくも膜のすき間に流れ出すことで一気に拡がり、脳全体を包むように圧迫します。
激しい頭痛が特徴的で、3種類のなかで最も死亡率が高いです。男性より女性に多いことも特徴です。
激しい頭痛が特徴的で、3種類のなかで最も死亡率が高いです。男性より女性に多いことも特徴です。
脳卒中の症状
□ 意識を失う
□ 頭痛がする
□ 突然、視野の半分が見えなくなる
□ 体の片側だけしびれる
□ 吐き気やめまいがする
□ 言葉がしゃべれなくなる
□ 手で物が持てなくなる など
特に、普段感じたことのないような、しびれやマヒ、手に力が入らないなどの症状が体の片側だけ現れた場合は、脳卒中の予兆(TIA)の可能性もありますので要注意です。
脳卒中は早期発見・早期治療が予後を大きく左右します。特に3時間以内の治療が大きなポイントです。「脳卒中かも」と思ったときには、なるべく早く救急車を呼び、医療機関を受診することをおすすめします。
次回は、脳卒中の後遺症とケアについて紹介していきます。
第2回 脳卒中の後遺症とリハビリテーション
脳卒中についてもっと知りたい人のために
中央法規、2007年、¥3,360(税込)
本書は、脳卒中とはどのような病気か、検査や治療の内容、後遺症と専門職による援助・リハビリ、家庭での日常生活の送り方や介護の仕方、活用できる社会資源などについてわかりやすく網羅した、脳卒中の百科事典です。