今月の特集 介護を支えるロボット
第2回 セラピーを支えるロボット(パロ)
愛くるしいまなざしを向ける赤ちゃんアザラシ。思わず手を伸ばして、頭をなでてみたくなるような可愛らしさです。
実はこのアザラシ、ただのぬいぐるみではありません。ギネスブックに認定されているほどの“ロボット”なんです。
世界一の癒しロボット
この赤ちゃんアザラシの名前はパロ(PARO)。人に楽しみや安らぎを提供し、触れた人に主観的な価値を創造することを目的とした“メンタルコミットロボット”です。
産業技術総合研究所で開発されたパロは、2002年にはギネスブックで「世界一の癒しロボット(The Most Therapeutic Robot)」として認定されました。
パロの役割は、さまざまな生活の場でセラピー効果(癒し)を生み出すことです。
イタリアの高齢者施設での実験でこんな例があったそうです。施設スタッフには仏頂面を向け、お願いはおろか、話も聞いてくれないような頑固者のおじいさん(日本でも見られる光景ですね)。彼の前にパロを置いた途端、気になり始め、少し触ってみては、にこやかな笑顔をみせたとか…。
パロがきっかけで、高齢者の生活が豊かになったケースが世界各国で出てきています。
産業技術総合研究所で開発されたパロは、2002年にはギネスブックで「世界一の癒しロボット(The Most Therapeutic Robot)」として認定されました。
パロの役割は、さまざまな生活の場でセラピー効果(癒し)を生み出すことです。
イタリアの高齢者施設での実験でこんな例があったそうです。施設スタッフには仏頂面を向け、お願いはおろか、話も聞いてくれないような頑固者のおじいさん(日本でも見られる光景ですね)。彼の前にパロを置いた途端、気になり始め、少し触ってみては、にこやかな笑顔をみせたとか…。
パロがきっかけで、高齢者の生活が豊かになったケースが世界各国で出てきています。
毛皮の下には…
パロは、カナダに生息するタテゴトアザラシの赤ちゃんをモデルにつくられました。体長57cm、重さ2.7kgで、タテゴトアザラシそっくりの声で鳴きます。触り心地にこだわって選ばれた毛皮はふわふわしていて、一体ずつ職人さんがハサミで毛を整えてから出荷するそうです。
パロの体の中にはさまざまなセンサーが内臓されていて、圧力、熱、光、音声、姿勢を感知します。
背中をなでたり、抱きかかえてみると、嬉しそうに鳴いたり動いたりして応えます。叩けば怒ります。話しかけると、話し手の方に視線を向け、返事をします。カメラのフラッシュを当てると、まばたきをして嫌がります。
学習機能もあるので、ある程度の言語を理解します。繰り返し呼ばれる言葉を「自分の名前」と認識して覚えることもできます。
パロの体の中にはさまざまなセンサーが内臓されていて、圧力、熱、光、音声、姿勢を感知します。
背中をなでたり、抱きかかえてみると、嬉しそうに鳴いたり動いたりして応えます。叩けば怒ります。話しかけると、話し手の方に視線を向け、返事をします。カメラのフラッシュを当てると、まばたきをして嫌がります。
学習機能もあるので、ある程度の言語を理解します。繰り返し呼ばれる言葉を「自分の名前」と認識して覚えることもできます。
ロボットセラピーのメリット
パロはロボットですが、アニマルセラピーと同様の効果を得ることができます。アニマルセラピーとは、ペットなどの動物と触れ合ったり、世話をしたりすることで、心身の回復を行う治療法のことです。
例えば、家庭の中では、一人暮らしの寂しさを紛らわす話し相手になったり、ペットのように愛情を注ぐ対象となります。積極的に触れよう、話しかけて反応を引きだそうとすることで、血圧や脈も安定しますし、利用者自身の活性化を図れます。
高齢者施設や病院では、コミュニケーションのきっかけにもなります。20歳そこそこの若い介護職と90歳の高齢者では、なかなか共通の話題を見つけるのも難しいでしょう。しかし、パロという共通の話題ができることで、お互い気持ちが楽になり、会話がスムーズになることも多いそうです。また、介護職自身も癒されるという効果もあります。
個人差はありますが、徘徊などがみられるほどに認知症が進行した方であっても、パロと接するとその症状が緩和し、介護職の負担が軽減したことが実証されています。
例えば、家庭の中では、一人暮らしの寂しさを紛らわす話し相手になったり、ペットのように愛情を注ぐ対象となります。積極的に触れよう、話しかけて反応を引きだそうとすることで、血圧や脈も安定しますし、利用者自身の活性化を図れます。
高齢者施設や病院では、コミュニケーションのきっかけにもなります。20歳そこそこの若い介護職と90歳の高齢者では、なかなか共通の話題を見つけるのも難しいでしょう。しかし、パロという共通の話題ができることで、お互い気持ちが楽になり、会話がスムーズになることも多いそうです。また、介護職自身も癒されるという効果もあります。
個人差はありますが、徘徊などがみられるほどに認知症が進行した方であっても、パロと接するとその症状が緩和し、介護職の負担が軽減したことが実証されています。
マンションやアパート、高齢者施設や児童養護施設、病院などでは衛生面などが問題となることもあります。多くの人が集まる場所では、動物嫌いの方も少なからずいます。動物ですから、毎日の散歩やエサやり、フンの処理などが必要です。そして、いつか動物には死が訪れ、喪失感を受けることもあります。
パロは、ロボットだからこそ、動物にはないメリットを持っています。さまざまな改良が加えられた現在では、第8世代のパロが販売されていますが、衛生面や安全性、耐久性などは最大限配慮されているそうです。
世界から広がるパロ
これまで、約1,000体のパロが制作されました。日本では、42万円(3年間の保証とメンテナンス付)または35万円(1年間の保証付)で、大手百貨店などでも購入することができます。購入者の多くは施設や法人ではなく、個人だそうです。
海外での評価も高く、世界20カ国の病院や施設などで試験的に使用されています。デンマークやイタリアのナーシングホームでは、認知症の方向けにパロが活用されています。スウェーデンではその効果が認められ、福祉用具などと同等の扱いとして消費税が減免されています。
日本でも、つくば市で福祉施設での導入補助制度ができるなど、少しずつではありますが、施設や行政での評価が始まっています。介護予防などの分野をはじめ、潜在的な現場のニーズも考えれば、これから制度的にも大きな拡がりを見せるかもしれません。
海外での評価も高く、世界20カ国の病院や施設などで試験的に使用されています。デンマークやイタリアのナーシングホームでは、認知症の方向けにパロが活用されています。スウェーデンではその効果が認められ、福祉用具などと同等の扱いとして消費税が減免されています。
日本でも、つくば市で福祉施設での導入補助制度ができるなど、少しずつではありますが、施設や行政での評価が始まっています。介護予防などの分野をはじめ、潜在的な現場のニーズも考えれば、これから制度的にも大きな拡がりを見せるかもしれません。
- パロについてもっと知りたい人のために
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「PARO[パロ]」
ホームページ:http://paro.jp/
パロの詳しい説明や研究内容の紹介があります。小泉元首相がパロに癒されている様子も見ることができます。
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「株式会社知能システム」
ホームページ:http://intelligent-system.jp/index.html/
パロの販売についての情報はこちら。販売取扱店や展示施設の一覧も載っています。