今月の特集 家族を介護する家庭の防災対策
第2回 非常事態に備えて準備をしよう
前回は、防災グッズを慌てて買い揃える前に、まずはどんな種類の災害に注意すべきか、わが家にはどんな備えが必要で、わが家のニーズに対して自治体はどれくらい備えをしているかを確認し、その上で必要なものを準備することが大切だというお話しでした。そこで今週は、被災生活で必要となるグッズについて、要介護者やお年寄りがいるご家庭では何を考慮して準備する必要があるか、玉木さんに教えてもらいます。
食事よりもトイレが心配
A子さん「消防庁のホームページを見てみたら、非常持ち出し袋に最低限準備しておくべきものが紹介されていました。印かん、現金、救急箱、貯金通帳、懐中電灯、ライター、缶切り、ロウソク、ナイフ、衣類、手袋、ほ乳びん、インスタントラーメン、毛布、FM文字多重放送受信機能付ラジオ、食品、ヘルメット、防災ずきん、電池、水だそうです。結構な量になりますね」
玉木氏「そうですね。しかし、前回もお話したように、A子さんのご家庭の状況に合わせて、この中から必要なものを準備すればいいと思います。例えば、ほ乳びんは必要ありませんね。逆に、消防庁のホームページでは紹介されていなくても、自宅でご家族を介護している家庭では必要となるものがあります。少し考えてみましょう」
A子さん「はい。わが家では、87歳の母を介護しています。足が少し不自由で、トイレや食事に介助が必要です」
玉木氏「やはり、まずはトイレを確保することです。トイレの心配があると、食べることや飲むことを我慢しがちです。水を飲むことを控えると、血栓ができやすくなってエコノミー症候群や脳梗塞が発症しやすくなります。言い換えれば、トイレの備えは食事の備えよりも大切だといえるでしょうね。避難所の仮設トイレは、和式がほとんどで、屈むのがつらい方には困難です。あらかじめ役所の防災課へ地区の避難所に洋式の仮設トイレがあるかどうか、洋式がなければ組み立て式簡易トイレを備えて、自宅で被災生活を送る方がいいでしょう」
A子さん「洋式の組み立て式トイレとは、どんなものですか?」
玉木氏「組み立てて使う箱型の簡易便器に、排泄物を凝固する処理袋がセットになったものです。かさばるので持ち運びには不便ですが、洋式トイレが必要な場合には重宝します。他にも、処理袋のみで持ち運びに便利な携帯トイレもあります。どちらも使用後は燃えるゴミとして処理できます」
A子さん「どこで買えますか?」
玉木氏「ホームセンターやアウトドア量販店などで購入することができます。ただし、カー用品コーナーなどで、携帯トイレと似た商品が販売されていますが、便に対応していないものがあるので注意が必要です。説明書きをよく確認して、便と尿の両方に対応しているものを購入するようにしてください」
玉木氏「そうですね。しかし、前回もお話したように、A子さんのご家庭の状況に合わせて、この中から必要なものを準備すればいいと思います。例えば、ほ乳びんは必要ありませんね。逆に、消防庁のホームページでは紹介されていなくても、自宅でご家族を介護している家庭では必要となるものがあります。少し考えてみましょう」
A子さん「はい。わが家では、87歳の母を介護しています。足が少し不自由で、トイレや食事に介助が必要です」
玉木氏「やはり、まずはトイレを確保することです。トイレの心配があると、食べることや飲むことを我慢しがちです。水を飲むことを控えると、血栓ができやすくなってエコノミー症候群や脳梗塞が発症しやすくなります。言い換えれば、トイレの備えは食事の備えよりも大切だといえるでしょうね。避難所の仮設トイレは、和式がほとんどで、屈むのがつらい方には困難です。あらかじめ役所の防災課へ地区の避難所に洋式の仮設トイレがあるかどうか、洋式がなければ組み立て式簡易トイレを備えて、自宅で被災生活を送る方がいいでしょう」
A子さん「洋式の組み立て式トイレとは、どんなものですか?」
玉木氏「組み立てて使う箱型の簡易便器に、排泄物を凝固する処理袋がセットになったものです。かさばるので持ち運びには不便ですが、洋式トイレが必要な場合には重宝します。他にも、処理袋のみで持ち運びに便利な携帯トイレもあります。どちらも使用後は燃えるゴミとして処理できます」
A子さん「どこで買えますか?」
玉木氏「ホームセンターやアウトドア量販店などで購入することができます。ただし、カー用品コーナーなどで、携帯トイレと似た商品が販売されていますが、便に対応していないものがあるので注意が必要です。説明書きをよく確認して、便と尿の両方に対応しているものを購入するようにしてください」
組み立て式簡易トイレ
特殊段ボール製のポータブルトイレ。軽く、組み立ても簡単。便をゼリー状に固め、消臭効果もある。ポータブルトイレのサイズは縦360×横330×高345mm。定価は3,150円(税込)
組立式ポータブルトイレと、吸水凝固シートを接着したポリエチレン袋、脱臭剤などがセットになっている。便や尿の水分をすばやく吸水・凝固。ポータブルトイレのサイズは縦370×横370×高350mm。定価は4,935円(税込)
被災生活で怠りがちな口腔衛生
A子さん「他には何が必要でしょう」
玉木氏「口腔衛生にも気を配る必要があります。ご自分で歯磨きができれば歯ブラシを、介助が必要であれば、ドラッグストアなどで売っている介助用の口腔衛生グッズを多めに準備しておいたほうがいいでしょう。被災生活では、入浴できないことよりも、口腔衛生が保てないことのほうが問題です。誤嚥性肺炎の危険が高くなるからです」
A子さん「分かりました。ほかに、薬も用意しておいたほうがよさそうです」
玉木氏「そうですね。服用中の薬がある人は、医師に相談して多めに処方してもらったほうがいいですね。非常事態では、薬について個人的に対応することは非常に困難です。また、酸素濃縮器を使用していれば予備ボトルも準備しておきましょう。業者は災害時でも対応してくれるか、してくれないのであれば余分に用意しておきます。在宅医療機器を使用していれば、手動の代替機器もしくは電源の確保も重要です。町内会単位で組織している自主防災会の自主防災倉庫に発電機が整備されていることがあれば、使わせてもらえるかどうか確認しておきましょう。それから、人工透析が必要な人は、地元の透析医会に登録し、非常事態でも透析が受けられるようにしておくことが必要です。かかりつけ医に相談して登録してもらえば安心ですね」
A子さん「はい。今後、母の状態も変わって行くかもしれませんので、とても参考になりました」
玉木氏「それでは、次回は非常食についてみていきましょう」
玉木氏「口腔衛生にも気を配る必要があります。ご自分で歯磨きができれば歯ブラシを、介助が必要であれば、ドラッグストアなどで売っている介助用の口腔衛生グッズを多めに準備しておいたほうがいいでしょう。被災生活では、入浴できないことよりも、口腔衛生が保てないことのほうが問題です。誤嚥性肺炎の危険が高くなるからです」
A子さん「分かりました。ほかに、薬も用意しておいたほうがよさそうです」
玉木氏「そうですね。服用中の薬がある人は、医師に相談して多めに処方してもらったほうがいいですね。非常事態では、薬について個人的に対応することは非常に困難です。また、酸素濃縮器を使用していれば予備ボトルも準備しておきましょう。業者は災害時でも対応してくれるか、してくれないのであれば余分に用意しておきます。在宅医療機器を使用していれば、手動の代替機器もしくは電源の確保も重要です。町内会単位で組織している自主防災会の自主防災倉庫に発電機が整備されていることがあれば、使わせてもらえるかどうか確認しておきましょう。それから、人工透析が必要な人は、地元の透析医会に登録し、非常事態でも透析が受けられるようにしておくことが必要です。かかりつけ医に相談して登録してもらえば安心ですね」
A子さん「はい。今後、母の状態も変わって行くかもしれませんので、とても参考になりました」
玉木氏「それでは、次回は非常食についてみていきましょう」
第3回 お年寄りにも食べやすい非常食を準備しよう
【玉木 貴(たまき・たかし)】
玉木さんの著書
駒草出版、2005年、¥1,575(税込)
被災生活で直面する食・住・衛生問題の実際と事前対策の知恵や、防災グッズ体験レポートなど、地震、水害、土砂災害の対応と対策について実態に基づいてまとめている。
- 防災対策についてもっと知りたい人のために
-
「市民防災ラボ」
ホームページ:http://bosailabo.jp/
玉木さんが運営する、家庭と地域での防災対策を提案するサイト。防災のポイントや防災グッズ使用体験レポートなど、役に立つ情報が満載。