今月の特集 家族を介護する家庭の防災対策
第1回 見直そう! わが家の防災対策
日本は、地震や水害などの災害多発地帯。誰もが被災者になる可能性があります。健康な人であっても、被災生活は辛い日々となることが予想されます。まして、お年寄りや体の不自由な人、病気を抱えている人にとって、その過酷さは想像に難くありません。いざというときに備えて日頃から準備をしておくことが、非常事態に直面した際には大きな助けになります。そこで、市民防災研究家の玉木貴さんに、家族を介護する家庭での防災対策について教えてもらいました。家庭介護者を代表して、A子さん(自宅でお母様を介護中)がいろいろ質問します。
わが町、わが家の状況にあわせた防災対策を
A子さん「先日、職場で防災訓練があり、消防署の方が来て、飲み水や非常食などを家庭で準備しておくようにと話がありました」
玉木氏「8月30日(木)〜9月5日(水)は防災週間でしたね。各企業や地域で防災訓練が行われ、みなさん、防災についての意識が高まっている時期だと思います」
A子さん「わが家でも非常用の持ち出し袋を準備しようと思っています」
玉木氏「それは素晴らしいですね。でも、防災グッズを買いにお店へ走る前に少し考えてほしいことがあるんです。たしか、A子さんはご自宅でお母様を介護されているんですよね?」
A子さん「ええ。87歳の母を介護しています。母は歩行が不自由で、トイレや食事に介助が必要です」
玉木氏「防災グッズは、地域や家庭の状況にあわせて適切にそろえることがとても重要なんです。A子さんのご家庭で役立つかどうかを吟味せず、防災コーナーなどで売っているセット商品を買っても、状況によっては役に立たないこともあるんですよ」
A子さん「えっ! そうなんですか? でも地域や家庭の状況と言っても何を把握したらよいのでしょうか」
玉木氏「そうですね。では、まずは次の表を参考にしてみてください。自宅で介護をしているご家庭が特に把握していただきたい事項をまとめました。地域環境と家庭環境の2つについて考えてみましょう」
玉木氏「8月30日(木)〜9月5日(水)は防災週間でしたね。各企業や地域で防災訓練が行われ、みなさん、防災についての意識が高まっている時期だと思います」
A子さん「わが家でも非常用の持ち出し袋を準備しようと思っています」
玉木氏「それは素晴らしいですね。でも、防災グッズを買いにお店へ走る前に少し考えてほしいことがあるんです。たしか、A子さんはご自宅でお母様を介護されているんですよね?」
A子さん「ええ。87歳の母を介護しています。母は歩行が不自由で、トイレや食事に介助が必要です」
玉木氏「防災グッズは、地域や家庭の状況にあわせて適切にそろえることがとても重要なんです。A子さんのご家庭で役立つかどうかを吟味せず、防災コーナーなどで売っているセット商品を買っても、状況によっては役に立たないこともあるんですよ」
A子さん「えっ! そうなんですか? でも地域や家庭の状況と言っても何を把握したらよいのでしょうか」
玉木氏「そうですね。では、まずは次の表を参考にしてみてください。自宅で介護をしているご家庭が特に把握していただきたい事項をまとめました。地域環境と家庭環境の2つについて考えてみましょう」
A子さん「う〜ん。まずは自宅周辺の地理的環境ですね……。家の近くには川が流れています」
玉木氏「自宅周辺の環境によって、被災する災害の種類が異なります。近くに川が流れていれば、川が氾濫して洪水の被害に遭う危険がありますよね。他にも海沿いなら津波や高潮、傾斜地や住宅造成地では土砂災害、住宅密集地では火災など、地域環境ごとに必要な対策は異なってきます。自分たちの地域ではどのような災害の危険性があり、どのような対策が必要かを確認して備えることが必要です」
A子さん「なるほど。防災マニュアルを見てみたら、非常食は用意されているみたいですね。福祉避難所については記載がありません」
玉木氏「そうですか。でも、非常食の準備があっても、お年寄りには硬くて食べられないカンパンのようなものしかないことも多いので、福祉避難所の件とあわせて防災課に直接確認してみたほうがいいですね。あと、住民1人当たり何食分備蓄されているかどうかも確認しておいたほうがいいでしょう。地元の対応力の目安になります。もちろん、自宅から避難場所までの距離も確認しておきたいですね」
A子さん「はい、早速聞いてみます。あと、うちの母は特別な医療機器は使っていないので、その点では心配ないようです」
玉木氏「トイレは大丈夫ですか? 避難所には和式トイレしか設置されない場合もあるので、屈むのがたいへんなお年寄りには洋式の組み立て式トイレを準備しておいたほうがいいと思いますよ」
A子さん「そこまでは気がまわっていませんでした。これは、いろいろと考えてみる必要がありそうです」
玉木氏「そうですね。どんな種類の災害に注意すべきか、わが家にはどんな備えが必要で、わが家のニーズに対して自治体はどれくらい備えをしているかを確認することは、防災対策の基本です。必要な支援が自治体で準備されていないのであれば、各家庭で用意しなければいけないのですから」
A子さん「よく分かりました。ありがとうございました」
玉木氏「では次回は、A子さんのように、自宅でご家族を介護している家庭で必要になることが多い防災グッズについて、一緒に勉強していきましょう」
玉木氏「自宅周辺の環境によって、被災する災害の種類が異なります。近くに川が流れていれば、川が氾濫して洪水の被害に遭う危険がありますよね。他にも海沿いなら津波や高潮、傾斜地や住宅造成地では土砂災害、住宅密集地では火災など、地域環境ごとに必要な対策は異なってきます。自分たちの地域ではどのような災害の危険性があり、どのような対策が必要かを確認して備えることが必要です」
A子さん「なるほど。防災マニュアルを見てみたら、非常食は用意されているみたいですね。福祉避難所については記載がありません」
玉木氏「そうですか。でも、非常食の準備があっても、お年寄りには硬くて食べられないカンパンのようなものしかないことも多いので、福祉避難所の件とあわせて防災課に直接確認してみたほうがいいですね。あと、住民1人当たり何食分備蓄されているかどうかも確認しておいたほうがいいでしょう。地元の対応力の目安になります。もちろん、自宅から避難場所までの距離も確認しておきたいですね」
A子さん「はい、早速聞いてみます。あと、うちの母は特別な医療機器は使っていないので、その点では心配ないようです」
玉木氏「トイレは大丈夫ですか? 避難所には和式トイレしか設置されない場合もあるので、屈むのがたいへんなお年寄りには洋式の組み立て式トイレを準備しておいたほうがいいと思いますよ」
A子さん「そこまでは気がまわっていませんでした。これは、いろいろと考えてみる必要がありそうです」
玉木氏「そうですね。どんな種類の災害に注意すべきか、わが家にはどんな備えが必要で、わが家のニーズに対して自治体はどれくらい備えをしているかを確認することは、防災対策の基本です。必要な支援が自治体で準備されていないのであれば、各家庭で用意しなければいけないのですから」
A子さん「よく分かりました。ありがとうございました」
玉木氏「では次回は、A子さんのように、自宅でご家族を介護している家庭で必要になることが多い防災グッズについて、一緒に勉強していきましょう」
第2回 非常事態に備えて準備をしよう
【玉木 貴(たまき・たかし)】
玉木さんの著書
駒草出版、2005年、¥1,575(税込)
被災生活で直面する食・住・衛生問題の実際と事前対策の知恵や、防災グッズ体験レポートなど、地震、水害、土砂災害の対応と対策について実態に基づいてまとめている。
- 防災対策についてもっと知りたい人のために
-
「市民防災ラボ」
ホームページ:http://bosailabo.jp/
玉木さんが運営する、家庭と地域での防災対策を提案するサイト。防災のポイントや防災グッズ使用体験レポートなど、役に立つ情報が満載。