今月の特集 「がんばらない介護」でゆとりある生活を
第2回 ココロとカラダの状態をチェックしよう!
前回は、介護者がかかえている現状について紹介しました。心身の状態を健康に保つことが、長期間の介護を乗り切るポイントです。介護者が健康でなければ、決して良い介護はできません。では、あなたのココロとカラダは健康ですか?
品川介護福祉専門学校の別府明子先生の監修により作成された「がんばらない介護生活チェックシート」(発行:がんばらない介護生活を考える会)をご紹介しながら、考えていきます。
<チェックA:抱え込み度>
□ 介護はおもに自分一人でやっている。
□ 介護は自分ががんばらなければと思う。
□ 他人に家に入られたくないので、家族で介護したいと思う。
□ どこに相談に行けば知りたい情報が手に入るのか、わからない。
□ 身体の負担が少なくなるような介護の方法を知らない。
□ 介護の悩みを聞いてくれたり、相談に乗ってくれる人が身近にいない。
□ 介護生活の先行きが見えず不安になる。
□ 長い間留守にできず、遠出ができなくなった。
□ 友達付き合いや趣味の時間がとれなくなった。
□ 子どもや配偶者の世話が十分できなくなった。
<チェックB:周囲の無理解と非協力度>
□ 介護はおもに自分一人でやっている。
□ 介護は自分ががんばらなければと思う。
□ 家族(配偶者・きょうだい・子ども)が介護に協力してくれない。
□ 周囲が介護の大変さを理解してくれない。
<チェックC:精神的な疲労度>
□ 介護はおもに自分一人でやっている。
□ 介護の悩みを聞いてくれたり、相談に乗ってくれる人が身近にいない。
□ 介護する相手とのコミュニケーションがうまくとれなくなった。
□ イライラし、あたり散らすことが多くなった。(やさしくできない)
□ 介護生活の先行きが見えず不安になる。
□ 介護で自分の人生が犠牲になっていると思うことがある。
□ 家出や自殺を考えたことがある。
□ おしゃれや社会のことに関心がなくなった。
<チェックD:身体の疲労度>
□ 介護はおもに自分一人でやっている。
□ 身体の負担が少なくなるような介護の方法を知らない。
□ 疲れやすい、肩や首がこるなど、体の調子が悪くなった。
□ 医者にかかったり、薬を飲んだりするようになった。
□ 夜中に起こされるので、慢性的な睡眠不足になった。
【別府先生のアドバイス】
すべて一人でこなそうとしては、自分自身が壊れてしまいます。介護は日常生活の一部です。完全な日常生活がないように、完全な介護生活もありません。ちょっぴり肩の力を抜いてみましょう。
そのためのポイントとしては、次のとおりです。
●介護サービスを適切に利用する
<現在サービスを利用していない場合>
まずは市町村の窓口へ相談に行き、サービス利用を検討しましょう。
いつまでもあてにならない親戚を頼るよりは、サービス利用を始めることが、あなたの負担を軽くする第一歩です。
<現在サービスを利用している場合>
現在サービスを利用しているにもかかわらず、チェック項目が多い人は、その内容がフィットしていない可能性があります。訪問介護のみを利用している人であれば、家の外に出る機会をつくるためデイサービスやショートステイも利用する等、サービス内容の見直しを行う必要があるでしょう。
また、ホームヘルパーが来ている時に、ヘルパーの様子を見ていたり、手伝ったりしている人も見受けられます。これでは何のストレス解消にもなりません。サービスを利用することの意味をもう一度考えてみてください。
サービス利用時のポイント:何のためにそのサービスを使うのか明確に!
ケアマネから提示されたメニュー通りにサービスを利用するのではなく、どういった目的のためにそのサービスを利用したいのか、自分なりの意思をもって選ぶことが大切です。
「テニスに行きたい」「カルチャーセンターで絵を習いたい」「1泊で旅行に行きたい」……。そのために適したサービスを利用するのです。目的がはっきりしていなければ、利用したことへの満足感は少ないでしょう。
介護のことを考えない時間をつくることがとても大切です。そうしないと、相手の存在をうとましく思うことにもつながります。慣れていない方は、無理をしてでも、自分のために使う時間をつくるようにしてみてください。
また、その際、将来に結びつくことを行ってみるとよいでしょう。将来を見据えることによって、より生き生きとした今を過ごせるはずです。
今回は、チェックシートであなたの現状を確認してもらいました。
あなたの健康があってこその介護です。自分自身を守るためにも、ぜひ今の状況を冷静に分析してみてください。
【別府明子(べっぷ・あきこ)】
- 「がんばらない介護生活を考える会」をもっと知りたい方は、こちらまで
-
ホームページ:http://www.gambaranaikaigo.com/
※9月25日は、介護の日。イベントも開催されますので、詳細はホームページをご覧ください。