介護をもうやめたいと思うあなたへ。
最終回 介護をもうやめたい。そう思うあなたへ。
最後まで介護がイヤだったお嫁さんの言葉
東京都と秋田県の家庭介護を調査してきた須田木綿子さん(東洋大学)は、日米介護保険研究会のメンバーとともに6年にわたりインタビューを重ねてきたなかで、印象的なお嫁さんがいたそうです。
それは、心底介護を嫌がっていた人でした。
そのお嫁さんは、自分にも自分の夫にも親らしいことは何一つしてこなかった姑をずっと嫌いでした。
認知症は進行し、妄想もある姑を、2階の北側の一室で、ほとんどそのままの状態で寝かしていました。
「おーい」と叫ぶ声が頻繁に聞こえますが、「あの声がイヤ」と耳をふさぎ、時折「お母ちゃん、どうした?」と息子が顔を出すくらい。
ずっとそういう状態が続いていました。
結局、姑は病院で亡くなり、お嫁さんは死に目にも会いませんでした。最期まで関係が深まることはありませんでした。
インタビューの終盤、お嫁さんがこう言ったそうです。
「介護殺人とか自殺とかいろんな事件を聞くが、自分は殺してやろう、自分も死んでやろうとまでは思わなかった。
本当に介護がイヤでイヤでしょうがなかったけど、そこまでは思わなかった。
この人たちは、自分よりももっとつらい思いをしたんだろうなと思う。
世の中には、自分よりつらい思いをしている人がいるんだと初めて思った」
このお嫁さんは最後までいい介護をしたわけではないし、それについて自身が何か感じているわけでもありません。
自覚しているかどうかもわかりませんが、上記のようなことを思い、いまでも心の中に残っていること自体が意味のあることなのではないかと、須田さんは言います。
それは、心底介護を嫌がっていた人でした。
そのお嫁さんは、自分にも自分の夫にも親らしいことは何一つしてこなかった姑をずっと嫌いでした。
認知症は進行し、妄想もある姑を、2階の北側の一室で、ほとんどそのままの状態で寝かしていました。
「おーい」と叫ぶ声が頻繁に聞こえますが、「あの声がイヤ」と耳をふさぎ、時折「お母ちゃん、どうした?」と息子が顔を出すくらい。
ずっとそういう状態が続いていました。
結局、姑は病院で亡くなり、お嫁さんは死に目にも会いませんでした。最期まで関係が深まることはありませんでした。
インタビューの終盤、お嫁さんがこう言ったそうです。
「介護殺人とか自殺とかいろんな事件を聞くが、自分は殺してやろう、自分も死んでやろうとまでは思わなかった。
本当に介護がイヤでイヤでしょうがなかったけど、そこまでは思わなかった。
この人たちは、自分よりももっとつらい思いをしたんだろうなと思う。
世の中には、自分よりつらい思いをしている人がいるんだと初めて思った」
このお嫁さんは最後までいい介護をしたわけではないし、それについて自身が何か感じているわけでもありません。
自覚しているかどうかもわかりませんが、上記のようなことを思い、いまでも心の中に残っていること自体が意味のあることなのではないかと、須田さんは言います。
介護をもうやめたい。そう思うあなたへ。
介護してもしなくても、前向きでも後ろ向きでも、意味がないと言うことは絶対ない。
ただ、どういう意味があるのかというのは、誰にもわからない。
もしかしたら自分でも気づかないかも知れないけれど、決して無駄な体験じゃない。
あなたの人生は続いていく。
今のこれは一つの過程(プロセス)で、絶対意味がある。
やれなくなったらやめていい。
やれなくなったら、「ほんとうにできない!」って声を上げて。
まずは一生懸命考えること。
それで出た答えは間違ってもOK。
どんな結果になってもOK。
絶対に正解はない。
・・・そんなふうに考えたら、全然違って見えませんか?
この須田さんのメッセージが、皆さんの心に届きますように。
ただ、どういう意味があるのかというのは、誰にもわからない。
もしかしたら自分でも気づかないかも知れないけれど、決して無駄な体験じゃない。
あなたの人生は続いていく。
今のこれは一つの過程(プロセス)で、絶対意味がある。
やれなくなったらやめていい。
やれなくなったら、「ほんとうにできない!」って声を上げて。
まずは一生懸命考えること。
それで出た答えは間違ってもOK。
どんな結果になってもOK。
絶対に正解はない。
・・・そんなふうに考えたら、全然違って見えませんか?
この須田さんのメッセージが、皆さんの心に届きますように。
取材にご協力いただいた方
須田 木綿子(すだ・ゆうこ)さん
1960年、東京生まれ。明治学院大学社会福祉学科卒業。東京大学医学系研究科保健学専攻。保健学博士。現在、東洋大学社会学部社会福祉学科教授。
日米介護保険研究会のメンバー(写真)とともに、東京都葛飾区と秋田県大館市における家庭介護者と要介護高齢者へのパネル調査研究を行い、研究結果を近く上梓予定。
1960年、東京生まれ。明治学院大学社会福祉学科卒業。東京大学医学系研究科保健学専攻。保健学博士。現在、東洋大学社会学部社会福祉学科教授。
日米介護保険研究会のメンバー(写真)とともに、東京都葛飾区と秋田県大館市における家庭介護者と要介護高齢者へのパネル調査研究を行い、研究結果を近く上梓予定。
須田先生のお話をもっとくわしく知りたい人のために
<新・MINERVA福祉ライブラリー5>
●日米LTCI研究会=編
●高橋龍太郎・須田木綿子=編集代表
●A5判、約292頁、2010年2月刊行予定
●定価 3,500円(税別)