衣服の工夫をしてみよう!
最終回 着やすさがアップする衣服のリフォーム術(3) −ズボンのひと工夫
身体に合った履き心地の良いズボンを履いていると、1日を快適に過ごすことができます。では、いま持っているズボンは、窮屈になっていたり身体に負担がかかっていませんか? その場合、どうすれば履き心地が良くなるでしょうか。
最終回の今回は、ズボンの工夫の仕方を考えます。
最終回の今回は、ズボンの工夫の仕方を考えます。
ズボンを選ぶポイント
座り姿勢が多くなった時、車いす生活になった時、どんなズボンの履き心地が良いのでしょうか。
「ウエストが締め付けられず、股上がたっぷりしている」そんなズボンを選びたいものです。そしてズボン丈は、歩行ができる場合はつまずかないようにくるぶしあたりまで、車いす使用者は少し長め(5cmくらい)に考えるとよいでしょう。
「ウエストが締め付けられず、股上がたっぷりしている」そんなズボンを選びたいものです。そしてズボン丈は、歩行ができる場合はつまずかないようにくるぶしあたりまで、車いす使用者は少し長め(5cmくらい)に考えるとよいでしょう。
ズボンのリフォーム
股上の長さの調節
通常、ズボンは立位姿勢に合わせて作られているので、座った時は前股上がたるみ、後ろ股上が引き下げられて腰が見えてしまいます。
身体に合わせたズボンは、はじめから作ったほうが良いのですが、今あるズボンの前後の股上の長さを調整するだけで、ある程度対応できます。
身体に合わせたズボンは、はじめから作ったほうが良いのですが、今あるズボンの前後の股上の長さを調整するだけで、ある程度対応できます。
カギホックを留めやすくする
身体に障害があると、ウエストゴムのズボンしか履けないと思われがちですが、ウエストベルトの内側に幅広のゴムをつけることで、ウエストにゴムが入ったズボンと同じように、着脱が可能になります。スカートの場合でも、ズボンと同様に対応できます。
前あきを作る
パジャマやスウェットパンツは、男性用でも前あきがないものがあります。しかし、前あきがないと、車いすを使用している人の場合、排尿時にしびんを使用するときに、ゴム部分をずり下げなければなりません。
既製のズボンのあきは20cm前後で、座ることにより微妙にあきの位置が上にずれます。その結果、ズボンのあきと身体側との位置にズレが起こり、しびんが入りません。そこで、ズボンにもよりますが、股下の縫い目から、およそ30cmのあきが必要になります。
これまでのまとめ
第1回でも触れましたが、衣服には人の気持ちを明るくする効果があります。お気に入りの衣服を着ていると、前向きになり、外に出かけたくなったりすることもあるのではないでしょうか。だからこそ、たとえ年をとっても、好きな色・デザイン・素材の衣服が着られるようにサポートしたいものです。
長年着慣れたお気に入りの衣服があれば、それを着続けられるようにひと工夫をする、新しく購入する場合は本人の意向を尊重するといった配慮が大切です。
そして、着脱に関しては、すべてを介護者側が行うのではなく、本人がもっている力を使ってもらい、できるかぎり自分で行ってもらうのがよいでしょう。これまで紹介してきたリフォーム例も、基本的には、本人が着脱しやすくなるためのひと工夫です。
とはいえ、お互いの関係性が悪ければ、なかなか衣服に気を配ることまではできないかもしれません。まずは関係性を見つめ直し、お互いの思いをよく理解することから始めてみるとよいでしょう。
長年着慣れたお気に入りの衣服があれば、それを着続けられるようにひと工夫をする、新しく購入する場合は本人の意向を尊重するといった配慮が大切です。
そして、着脱に関しては、すべてを介護者側が行うのではなく、本人がもっている力を使ってもらい、できるかぎり自分で行ってもらうのがよいでしょう。これまで紹介してきたリフォーム例も、基本的には、本人が着脱しやすくなるためのひと工夫です。
とはいえ、お互いの関係性が悪ければ、なかなか衣服に気を配ることまではできないかもしれません。まずは関係性を見つめ直し、お互いの思いをよく理解することから始めてみるとよいでしょう。
ご協力いただいた方
渡辺聰子さん 山野美容芸術短期大学、高齢者・障がい者衣服研究家
もっと知りたい方におすすめ!
『あなたは服に満足していますか』
(著:岩波君代、渡辺聰子、大野淑子)、福祉技術研究所、2005年
※今回の特集では本書を引用・参考にしています。もっと詳しく知りたい方は、ぜひご参考にしてください。