今月の特集
「長寿医療制度」ってなに?
最終回 お金(保険料)のこと
後期高齢者医療制度(長寿医療制度)について、今月の特集では制度として変わった点を中心に取り上げてきました。最終回では、保険料の面を中心に後期高齢者医療制度をまとめていきます。
保険料額について
保険料の計算のしかた
長寿医療制度(後期高齢者医療制度)では、介護保険と同じように、後期高齢者一人ひとりから保険料が賦課・徴収されることになります(徴収業務は市区町村から行われます)。
その保険料は、被保険者一人ひとりの所得に応じて決められます。保険料の額は、第2回でご紹介したとおり、下記の計算式で求められます。
■保険料の決め方
その保険料は、被保険者一人ひとりの所得に応じて決められます。保険料の額は、第2回でご紹介したとおり、下記の計算式で求められます。
■保険料の決め方
均等割額について
まず、「均等割」の金額は、お住まいの地域によって変わります。下の表では都道府県ごとの一覧を載せていますが、(A)の欄を見ると、例えば平成20・21年度の一人当たりの「均等割額」は、東京都が37,800円、神奈川県は39,860円、愛知県は40,175円、大阪府は47,415円となっています(年額)。都道府県によって金額が異なる理由ですが、1人当たりの医療費の高さや所得の高さなどです。均等割額と所得割率は2年ごとに改定されます。
所得割額について
「所得割」の金額は、その名称の通り、所得に応じて決められます。被保険者の前年の総所得金額等から基礎控除額(33万円)を控除した額に、「所得割率」を乗じた額になります。「所得割率」もお住まいの地域によって変わります。下の表の(B)の欄を見ると、東京都は6.56%、神奈川県は7.45%などとなっています。
なお、後期高齢者医療保険料の最高限度額は50万円です。
また、財政運営を図るために、保険料は2年毎(次は平成22年度)に見直されます。
なお、後期高齢者医療保険料の最高限度額は50万円です。
また、財政運営を図るために、保険料は2年毎(次は平成22年度)に見直されます。
平成20・21年度の都道府県ごとの均等割額と所得割率
均等割額(A) | 所得割率(B) | |
北海道 | 43,143円 | 9.63% |
青森県 | 40,514円 | 7.41% |
岩手県 | 35,800円 | 6.62% |
宮城県 | 38,760円 | 7.14% |
秋田県 | 38,426円 | 7.12% |
山形県 | 37,300円 | 6.85% |
福島県 | 40,000円 | 7.45% |
茨城県 | 37,462円 | 7.60% |
栃木県 | 37,800円 | 7.14% |
群馬県 | 39,600円 | 7.36% |
埼玉県 | 42,530円 | 7.96% |
千葉県 | 37,400円 | 7.12% |
東京都 | 37,800円 | 6.56% |
神奈川県 | 39,860円 | 7.45% |
新潟県 | 35,300円 | 7.15% |
富山県 | 40,800円 | 7.50% |
石川県 | 45,480円 | 8.33% |
福井県 | 43,700円 | 7.90% |
山梨県 | 38,710円 | 7.28% |
長野県 | 35,787円 | 6.53% |
岐阜県 | 39,310円 | 7.39% |
静岡県 | 36,000円 | 6.84% |
愛知県 | 40,175円 | 7.43% |
三重県 | 36,758円 | 6.79% |
滋賀県 | 38,175円 | 6.85% |
京都府 | 45,250円 | 8.32% |
大阪府 | 47,415円 | 8.68% |
兵庫県 | 43,924円 | 8.07% |
奈良県 | 39,900円 | 7.50% |
和歌山県 | 43,375円 | 7.92% |
鳥取県 | 41,592円 | 7.75% |
島根県 | 39,670円 | 7.35% |
岡山県 | 43,500円 | 7.89% |
広島県 | 40,467円 | 7.14% |
山口県 | 47,272円 | 8.71% |
徳島県 | 40,774円 | 7.43% |
香川県 | 47,700円 | 8.98% |
愛媛県 | 41,659円 | 7.85% |
高知県 | 48,569円 | 8.88% |
福岡県 | 50,935円 | 9.24% |
佐賀県 | 47,400円 | 8.80% |
長崎県 | 42,400円 | 7.80% |
熊本県 | 46,700円 | 8.62% |
大分県 | 47,100円 | 8.78% |
宮崎県 | 42,800円 | 7.95% |
鹿児島県 | 45,900円 | 8.63% |
沖縄県 | 48,440円 | 8.80% |
保険料の計算の例
それでは、【Aさん 77歳(東京都在住)で年金収入が250万円の方の場合】を例を挙げて計算してみます。
まず所得割額ですが、年金収入250万円から、年金控除120万円(年金収入が330万円未満の場合)を引き、さらに基礎控除33万円を引いた額に、東京都の所得割率6.56%を乗じた「63.630円」となります。
この金額に東京都の均等割額である「37,800円」を足した「101,430円」がAさんの1年間の保険料となります。
まず所得割額ですが、年金収入250万円から、年金控除120万円(年金収入が330万円未満の場合)を引き、さらに基礎控除33万円を引いた額に、東京都の所得割率6.56%を乗じた「63.630円」となります。
この金額に東京都の均等割額である「37,800円」を足した「101,430円」がAさんの1年間の保険料となります。
保険料の軽減措置など
収入が少ないとき
また、基礎年金(月6.6万円)だけで一人暮らしをしていらっしゃるような方の場合、所得が少ないため軽減措置が受けられ、都道府県によって違いますが、保険料額は年1万数千円(月々1,000円程度)となります。その他、年金収入が年211万円までの方なども軽減措置がある場合があります。
また、会社員などとして働いている家族が加入している医療保険の被扶養者であった方は、新たに保険料負担が生じますが、しばらくは軽減措置があります。2008年9月までは保険料を納める必要はなく、2008年10月から2009年3月までは本来納める保険料の1割(全国平均で、月額350円程度)を納めます。なお、2009年4月以降の軽減措置は今後検討される予定です。
保険料額は、家族構成などの条件によっても一人ひとり変わることがあります。詳しくは都道府県(広域連合)や市町村の窓口で確認してみてください。
また、会社員などとして働いている家族が加入している医療保険の被扶養者であった方は、新たに保険料負担が生じますが、しばらくは軽減措置があります。2008年9月までは保険料を納める必要はなく、2008年10月から2009年3月までは本来納める保険料の1割(全国平均で、月額350円程度)を納めます。なお、2009年4月以降の軽減措置は今後検討される予定です。
保険料額は、家族構成などの条件によっても一人ひとり変わることがあります。詳しくは都道府県(広域連合)や市町村の窓口で確認してみてください。
保険料の納付が困難なとき
事情によって、保険料を納めることが難しいときは、早めにお住まいの市区町村の担当窓口に相談してみてください。保険料の減免措置などがあります。
もし、保険料の滞納を続けてしまうと、悪質なケースでは、保険証を返納しなければならなくなり、医療費が全額自己負担になってしまうようなこともあります。
もし、保険料の滞納を続けてしまうと、悪質なケースでは、保険証を返納しなければならなくなり、医療費が全額自己負担になってしまうようなこともあります。
今後の動き
後期高齢者医療制度(長寿医療制度)は4月から開始されましたが、まだ多くの課題が検討されています。
最近では、2008年度については、年金収入が年168万円以下の人は10月から半年間、保険料徴収を凍結し、保険料の均等割を実質8割5分減額する軽減策が出されました。また、来年度以降は、年金収入80万円以下の人は保険料の9割を減額され、年金収入210万円以下の人は保険料の所得割を50%程度減額されます。
一方で、8月にはある企業の健康保険組合が解散したというニュースが流れました。財源が確保できないことが理由とのことです。
これから、どのように変わっていくかはまだ明らかではありませんが、後期高齢者医療制度は生活につながっている大切な制度であることは間違いありません。ぜひ、有効に活用していただきたいと思います。
最近では、2008年度については、年金収入が年168万円以下の人は10月から半年間、保険料徴収を凍結し、保険料の均等割を実質8割5分減額する軽減策が出されました。また、来年度以降は、年金収入80万円以下の人は保険料の9割を減額され、年金収入210万円以下の人は保険料の所得割を50%程度減額されます。
一方で、8月にはある企業の健康保険組合が解散したというニュースが流れました。財源が確保できないことが理由とのことです。
これから、どのように変わっていくかはまだ明らかではありませんが、後期高齢者医療制度は生活につながっている大切な制度であることは間違いありません。ぜひ、有効に活用していただきたいと思います。