今月の特集 介助者にやさしいクルマ
最終回 介助者と福祉車両の関係
今月の特集では、これまで福祉車両の種類や購入に関する情報を紹介してきました。5週目(最終回)となる今回は、日本の福祉車両を取り巻く社会状況と今後の展望について、トヨタ自動車の取り組み例などを交えながら紹介していきます。
超高齢社会を目の前にして
現在、日本人の約5人に1人が高齢者ですが、2015年には4人に1人、さらに、2040年には3人に1人が高齢者という時代の到来が予測されています。その変化に比例して、自由に移動できない方々も増えてくることも考えられます。
また、核家族化が進んだことで、高齢者を介助する人も高齢者という状況(老老介護)がすでに当たり前となっています。
つまり、どんな方でも介助に関わる機会が増えてくることは明らかです。
また、核家族化が進んだことで、高齢者を介助する人も高齢者という状況(老老介護)がすでに当たり前となっています。
つまり、どんな方でも介助に関わる機会が増えてくることは明らかです。
福祉車両を取り巻く環境
高齢社会の進行にもかかわらず、高齢者や介助者をサポートする福祉車両は、日本ではまだまだマイナーな存在です。2006年の日本の福祉車両の台数は、登録車が3万2300台、軽自動車が9100台です。一般向けの標準車を含めた自動車全体の登録台数は、登録車が372万台、軽自動車が202万台ですから、福祉車両の規模は全体の1%に満たない状況です。
また、普及率が少ない分、福祉車両の価格はどうしても割高になってしまい、消費者も自動車メーカーも頭を悩ませているのが現実です。
社会的なマナーの問題もあります。
例えば、「高速道路のサービスエリアで障害者用駐車場に止めようとしたが、健常者が利用していて乗り降りができなかった」「不正利用防止のためのパイロン(赤い塔状の障害物)が置いてあり、かえって障害のある方が使えなくなってしまった」といったケースが後を絶ちません。一部の地方自治体では障害者用駐車場の使用を許可制にしたり、よりわかりやすい表示にしたりするなど、積極的な取り組みを行っていますが、このような行政の取組や社会啓発も望まれるところです。
また、普及率が少ない分、福祉車両の価格はどうしても割高になってしまい、消費者も自動車メーカーも頭を悩ませているのが現実です。
社会的なマナーの問題もあります。
例えば、「高速道路のサービスエリアで障害者用駐車場に止めようとしたが、健常者が利用していて乗り降りができなかった」「不正利用防止のためのパイロン(赤い塔状の障害物)が置いてあり、かえって障害のある方が使えなくなってしまった」といったケースが後を絶ちません。一部の地方自治体では障害者用駐車場の使用を許可制にしたり、よりわかりやすい表示にしたりするなど、積極的な取り組みを行っていますが、このような行政の取組や社会啓発も望まれるところです。
トヨタ自動車の新たな取り組み
福祉車両の普及については国内自動車メーカー各社も多様な取り組みを行っていますが、その中でも、福祉車両の国内販売台数の約7割(軽自動車、大型バス市場を除く)を占め、先駆的な自動車づくりを進めているのが、トヨタ自動車です。福祉車両は「ウェルキャブ」という名称でラインナップされています。
最近のトヨタ自動車の新しい取り組みの一つを紹介しましょう。
コンパクト2ボックスのラクティスは、福祉車両では一番売れている車種ですが、架装費用を安く抑えるための工夫が為されています。もともとの広い室内や使いやすさに加え、最初からベース車の企画にスロープ車が取り入れられているのです。後架装ではなく完成車としての設計がされ、生産においてもボデーの溶接や装置の取り付け行程が、標準車のラインに組み込まれています。その結果無駄を省き生産効率をアップさせ、価格を抑えることができているのです。
最近のトヨタ自動車の新しい取り組みの一つを紹介しましょう。
コンパクト2ボックスのラクティスは、福祉車両では一番売れている車種ですが、架装費用を安く抑えるための工夫が為されています。もともとの広い室内や使いやすさに加え、最初からベース車の企画にスロープ車が取り入れられているのです。後架装ではなく完成車としての設計がされ、生産においてもボデーの溶接や装置の取り付け行程が、標準車のラインに組み込まれています。その結果無駄を省き生産効率をアップさせ、価格を抑えることができているのです。
これからの福祉車両
福祉車両の使い勝手についても、過去と比べ各社でさまざまな改良・工夫のあとが見られます。車いすごと車に乗るには、それまで小型バスにリフトを付けたものしかありませんでした。1990年代に入って、スロープ車がはじめて登場したとき、大変画期的なものとして世の中に受け止められました。その後、電動スライドドアやリフトアップシート車が登場するなど、いろんなアイデアが実現し、改良が進められています。
今後もさまざまなユーザーの声が反映されて、使いやすさや居住性がもっと向上した、魅力的な福祉車両が誕生することを期待したいものです。
今月の特集では、トヨタ自動車株式会社フリート営業・特装部の泰松潤さんとトヨタハートフルプラザ東京の川合友継さんに、日々の介助を楽に行ううえで、介助者が使いやすいクルマについて、アドバイザーの視点からお話を伺いました。
今後もさまざまなユーザーの声が反映されて、使いやすさや居住性がもっと向上した、魅力的な福祉車両が誕生することを期待したいものです。
今月の特集では、トヨタ自動車株式会社フリート営業・特装部の泰松潤さんとトヨタハートフルプラザ東京の川合友継さんに、日々の介助を楽に行ううえで、介助者が使いやすいクルマについて、アドバイザーの視点からお話を伺いました。