第9回 車いすからベッドへの移乗介助(1)〜車いすの位置編〜
今回からは車いすからベッド(ベッドから車いす)への移乗方法について解説します。被介助者にとって日常生活を送る上で欠かせない動作であると同時に、介助者にとっては介助中に“腰を痛めてしまった”という方も多いのではないでしょうか。
車いすの位置(ポジション)
ベッドに対して車いすをどの位置(ポジション)につけると、被介助者はベッドへの移乗が楽でしょうか。介助の有無に関係なく、角度等によっては動きづらく、足首をねじってしまうこと等が考えられます。
介護の本や介護の学校等では、“ベッドに対して車いすを30〜45度程度ひらいてつける”としているのを多く見かけます。しかし、車いすを30〜45度もの角度をつけてしまうと動きやすいでしょうか。逆に何か問題はないでしょうか。
介護の本や介護の学校等では、“ベッドに対して車いすを30〜45度程度ひらいてつける”としているのを多く見かけます。しかし、車いすを30〜45度もの角度をつけてしまうと動きやすいでしょうか。逆に何か問題はないでしょうか。
車いすをベッドに対して30〜45度の角度でつけるのは危険!
それはなぜか?
車いすから立ち上がりベッドに座るまで、車いすを30度の位置につけると、足元を120度(45度の場合なら135度)回旋しなければなりません。左右のフットレストの間の幅は40cmもありません(車いすの座面の幅は一般的なもので40cm程度)。その狭い空間で足元を動かすわけですから、足元が回旋時に絡み合って捻挫等の危険があります。
回旋する角度はより少ない方が動きやすくなります。
車いすから立ち上がりベッドに座るまで、車いすを30度の位置につけると、足元を120度(45度の場合なら135度)回旋しなければなりません。左右のフットレストの間の幅は40cmもありません(車いすの座面の幅は一般的なもので40cm程度)。その狭い空間で足元を動かすわけですから、足元が回旋時に絡み合って捻挫等の危険があります。
回旋する角度はより少ない方が動きやすくなります。
車いすのタイヤ(又はハンドル)をベッドサイドにぴったり横につけるのも危険!
それはなぜか?
ベッドサイドと車いすのタイヤ(又はハンドル)をぴったりと横につけることで、角度をつけなくて済むのは良いのですが、移乗時に問題が起こる可能性があります。それは、フットレストがベッドサイドから離れた位置になってしまうことです。立ち上がり、足を回旋させ、ベッドに座る際、被介助者のアキレス腱の付近にフットレストの下部が接触し皮膚等を傷つけてしまう危険があります。
ベッドサイドと車いすのタイヤ(又はハンドル)をぴったりと横につけることで、角度をつけなくて済むのは良いのですが、移乗時に問題が起こる可能性があります。それは、フットレストがベッドサイドから離れた位置になってしまうことです。立ち上がり、足を回旋させ、ベッドに座る際、被介助者のアキレス腱の付近にフットレストの下部が接触し皮膚等を傷つけてしまう危険があります。
適切な位置(ベストポジション)とは?
では、どの位置が最も適切なのでしょうか。それは、「車いすのフットレストの先端をベッドサイドにつけ、極力角度をつけずに置く」です。
それはなぜか?
車いすの角度を極力つけないことで、立ち上がった状態から足元を90度ちょっと回旋させればベッドに座れます。足元の回旋角度が少ないと、足首などが絡み合い捻挫等の危険性が回避できます。
※実際の移乗時の足の動き等は次回以降に解説します。角度を極力なくす!と覚えておいてください。
車いすの角度を極力つけないことで、立ち上がった状態から足元を90度ちょっと回旋させればベッドに座れます。足元の回旋角度が少ないと、足首などが絡み合い捻挫等の危険性が回避できます。
※実際の移乗時の足の動き等は次回以降に解説します。角度を極力なくす!と覚えておいてください。
この時の注意事項は、以下の点があげられます。
※ベッドのサイドボードがない場合は、フットレストの先端がベッド下に入らない程度のあたりに
※車いすのタイプ等により若干の差が発生します。写真の車いすは「介助式」です。
※用語解説:フットレスト…足を置くところ