第21回 食事の介助方法(4) 〜ベッド上での食事ほか〜
読者のみなさん、こんにちは。
今回は、ベッド上での食事など、食卓以外の場所での食事について考えていきます。
今回は、ベッド上での食事など、食卓以外の場所での食事について考えていきます。
ベッド上での食事
食事は食卓等のいすに座って食べるのが一番安全であり、食事自体を楽しむことにもつながります。ただ、家庭においては、介助者の力(介助)によって一度車いすに移乗してから食卓へ移るなど、被介助者が自力で食卓のいすまで移動できない状況も十分に考えられます。介助者が倒れると共倒れ状態になってしまう恐れがあるため、被介助者および介助者の状態(状況)によっては、ベッドで食べることもあるでしょう。
家庭や施設においても、様々な事情によりベッド上で食べる場合、被介助者の介護ベッドのギャッジを30度程度上げて介助者が介助する場面が見られます。
家庭や施設においても、様々な事情によりベッド上で食べる場合、被介助者の介護ベッドのギャッジを30度程度上げて介助者が介助する場面が見られます。
この状態での問題点は以下の通りです。
○被介助者が食べるものを視覚でとらえにくい。
○口に食べ物を含んだ際、喉に(食べ物が)重力の関係から落ちやすいため、気道に入ってしまう可能性がある(誤嚥)。
○汁物が飲みづらい、むせる可能性がある。
○片麻痺があれば、麻痺側の口腔内で咀嚼の感覚がもちにくい場合がある。
つまり、食べる状態として良い条件ではないといえます。
こうした状態での介助であれば、少なくとも以下のことに気をつけましょう。
○食べるものを被介助者に伝える。
○麻痺側を下にしない。
※健側から介助すると被介助者の顔も麻痺側が下に向くことは防げます。
次に、下の写真のように介護ベッドのギャッジを目いっぱい上げて、被介助者が座位をとるような姿勢に持っていける場合もあります。
30度程度の角度に比べれば、食べる条件は良くなります。
良くなった点としては、
○食べる物が視覚で確認できる。
○喉の落ちやすい状態が(少し)改善される。
といった点です。
ただし、依然として食べるには良い姿勢とは言いづらい点が残ります。
それは、
○前傾姿勢がとりにくい。
○腕を動かす可動域が(背もたれ代わりになっている)ベッドに邪魔され、手や腕が動かしづらく食べにくい。
こうした姿勢が維持できるのであれば、(写真はありませんが…)ベッドサイドに(食事が置ける程度の)テーブルを用意し、ベッドサイドに腰かけて食べることができるのではないでしょうか。もちろん、ベッドの高さなど被介助者に合った状態を確保する必要はあります。
その際の注意を一つ。介護ベッドの付属品として車輪付きテーブルを並行して使っていることがあります。車輪の付いたものはベッドサイドに座った被介助者がバランスを崩すと支えきれずテーブルごと倒れる可能性がありますので、ストッパー(ブレーキ)付きのものか、福祉用具ではない固定式のテーブルがよいでしょう。
また、ソファーに座って食べている場面も同様に注意が必要です。ソファーは(モノによりますが)お尻が深く沈みこみ、お腹に腹圧をかけ過ぎてしまい嘔吐や食欲不振の原因になりますから、食べる姿勢としては良い状態ではないと言えます。
※追伸
好きな場所で好きな物を食べることが一番です。その人らしく、選ぶ権利があるわけですから、一番気の向いた所で食べることが美味しく食べる大切な要素であることを念頭に置いた上での話です。
撮影協力:
○まんてん堂 ひょうご湊(神戸市兵庫区)
○(株)ベストウエル ベストケア神戸(神戸市中央区)
○NPO法人 泉南ドリーム(大阪府泉南市)