年間約5000名の新患者が発生するという脊髄損傷。
ここでは、その受傷直後から患者およびその家族がどのような思いを抱きながら治療に臨むのかを、時系列に沿ってご紹介します(執筆:丸山柾子さん)。
それに呼応する形で、医療関係者によるアプローチ、そして当事者の障害受容はどのような経緯をたどるのか、事例の展開に応じて、専門家が詳細な解説を示していきます(執筆:松尾清美先生)。
ここでは、その受傷直後から患者およびその家族がどのような思いを抱きながら治療に臨むのかを、時系列に沿ってご紹介します(執筆:丸山柾子さん)。
それに呼応する形で、医療関係者によるアプローチ、そして当事者の障害受容はどのような経緯をたどるのか、事例の展開に応じて、専門家が詳細な解説を示していきます(執筆:松尾清美先生)。
第16回 「第13回 マッサージが身体にも心にも効いている」「第14回 あー、生きててよかったなー」「第15回 口述筆記」の解説
受傷後1か月にも満たないころの記録では、「OTの立位訓練でいつもは何ともないのに湯上がりと排便後だったためか、45度が5分くらいで頭がボーッとなって気分が悪くなった」と起立性低血圧を経験しています。また、「ベッドで寝ているときにお腹を自分で揺すったり肩を動かしたりすると、両足に強い痙攣が起きる」ことが書かれていますが、このころ反射が戻ってきていることがわかります。
大学の体育の教授をしていた丸山さんは、自分の身体のことだけでなくリハスタッフや他の患者などをよく観察している一面がよく出ている記述があります。それは、「いままでやっているところを見ると、PTは外からの刺激を与えながら身体の動きを引き出していくというか拡げていくように、外見は同じようだが、OTは本人からの発信(動きの発信)を意識させるところのように思えます。両方の共通点は、本人の一番動くところからそれを強化しようとする順序に思えます。患者とOT,PTの先生の会話は聞いていると楽しい」などです。
49日目の口述では、「左足が自分の意志でわずかに動く。天井から吊るした片足を浮かせ、仰向き姿勢で、足首を、両股を閉じる感じで動かしてみようというU先生は『ほれ、見てご覧。丸山さん、見てご覧。鎖が動いているでしょう。僕は触っていないよ』感動的な瞬間であった。にもかかわらず先生は『じゃ、あとそれを繰り返してください』と言い置いて別の患者のところへ立ち去った。患者の一喜一憂に比べて、先生の対応は冷静そのものである。今、一番動く左手を使って、一人で食事をとる訓練に入ることを告げられ、スプーンとフォークを用意するよう言われた」などの記述があり、丸山さんのリハビリテーションにかける思いが伝わってきます。
今回の内容では、高位頸髄損傷者の受傷から2か月ほどの時期における残存機能を引き出すプロのセラピストの訓練プログラムと指導の言葉、そして患者の回復への願望と努力の大きさを知ることができます。
大学の体育の教授をしていた丸山さんは、自分の身体のことだけでなくリハスタッフや他の患者などをよく観察している一面がよく出ている記述があります。それは、「いままでやっているところを見ると、PTは外からの刺激を与えながら身体の動きを引き出していくというか拡げていくように、外見は同じようだが、OTは本人からの発信(動きの発信)を意識させるところのように思えます。両方の共通点は、本人の一番動くところからそれを強化しようとする順序に思えます。患者とOT,PTの先生の会話は聞いていると楽しい」などです。
49日目の口述では、「左足が自分の意志でわずかに動く。天井から吊るした片足を浮かせ、仰向き姿勢で、足首を、両股を閉じる感じで動かしてみようというU先生は『ほれ、見てご覧。丸山さん、見てご覧。鎖が動いているでしょう。僕は触っていないよ』感動的な瞬間であった。にもかかわらず先生は『じゃ、あとそれを繰り返してください』と言い置いて別の患者のところへ立ち去った。患者の一喜一憂に比べて、先生の対応は冷静そのものである。今、一番動く左手を使って、一人で食事をとる訓練に入ることを告げられ、スプーンとフォークを用意するよう言われた」などの記述があり、丸山さんのリハビリテーションにかける思いが伝わってきます。
今回の内容では、高位頸髄損傷者の受傷から2か月ほどの時期における残存機能を引き出すプロのセラピストの訓練プログラムと指導の言葉、そして患者の回復への願望と努力の大きさを知ることができます。