年間約5000名の新患者が発生するという脊髄損傷。
ここでは、その受傷直後から患者およびその家族がどのような思いを抱きながら治療に臨むのかを、時系列に沿ってご紹介します(執筆:丸山柾子さん)。
それに呼応する形で、医療関係者によるアプローチ、そして当事者の障害受容はどのような経緯をたどるのか、事例の展開に応じて、専門家が詳細な解説を示していきます(執筆:松尾清美先生)。
ここでは、その受傷直後から患者およびその家族がどのような思いを抱きながら治療に臨むのかを、時系列に沿ってご紹介します(執筆:丸山柾子さん)。
それに呼応する形で、医療関係者によるアプローチ、そして当事者の障害受容はどのような経緯をたどるのか、事例の展開に応じて、専門家が詳細な解説を示していきます(執筆:松尾清美先生)。
第9回 「第7回 これからがスタート」「第8回 お父さんは、もう元の身体に戻れないんだ」の解説
総合せき損センターにおける高位頸髄損傷者の急性期の治療としては、まず損傷した頚椎の固定と、泌尿器や呼吸器の感染症や褥瘡予防を図りながら、MRIやCT、レントゲンなどの画像と、針や筆などによる触覚や痛覚検査、残存筋と筋力検査などを行って、完全麻痺か不全麻痺かを調べ、残存機能を明確にして、リハビリテーションプログラムが作られます。
また、急性期に最も重要なことの一つとして、医師やナースによって、患者と家族への心理的サポートがあります。脊髄を損傷した患者の多くは、触ってもわからない麻痺している身体部位の不思議な感覚に恐怖を覚え、今後どうなるのか不安になっているものです。丸山さんは、大学の体育の教授で脊髄損傷のことについての情報や歩けなくなる可能性などを少し知っておられ、「僕の人生は終わりだ」という言葉となってナースに話されたと思われますが、Nナースは「何を言っているんですか? ここへ来たということは、これからがスタートなんですよ」という言葉で不安を一掃し、将来への期待を提案しているのです。これは、注視すべきプロのナースの支援と言えます。また、家族は今後の生活への見通しも見当がつかないし、どのようになるのか不安や悲しみが大きいことも、スタッフは知って支援することが必要な時期なのです。
急性期の排尿管理は、留置カテーテルで管理されます。将来の生活を寝たきりにしないために、急性期の治療や管理として、排痰や呼吸器管理、泌尿器科による排尿・排便管理、褥瘡予防管理、拘縮などを防ぎ、関節可動域を維持するためや筋力維持のための、OTやPTによるベッドサイド訓練が開始されます。その他、事故時に損傷を受けた頭部や四肢、体幹などの治療も平行して行われます。手術後3日目には、頚椎カラーを装着して、電動ベッドで身体を起こすことができるようになり、食事も食べ物を見て食べられるようになったことや、60度を超えると重力がかかって起立性低血圧を起こしやすくなることや呼吸も苦しくなることなども記載されており、少しずつベッドの背上げをすることやベッドサイド訓練が手術後3日目から開始されていることなどは、寝たきりによる体力低下を防ぎ、早期離床を促進するために大切なリハビリテーションであることが示されています。
また、急性期に最も重要なことの一つとして、医師やナースによって、患者と家族への心理的サポートがあります。脊髄を損傷した患者の多くは、触ってもわからない麻痺している身体部位の不思議な感覚に恐怖を覚え、今後どうなるのか不安になっているものです。丸山さんは、大学の体育の教授で脊髄損傷のことについての情報や歩けなくなる可能性などを少し知っておられ、「僕の人生は終わりだ」という言葉となってナースに話されたと思われますが、Nナースは「何を言っているんですか? ここへ来たということは、これからがスタートなんですよ」という言葉で不安を一掃し、将来への期待を提案しているのです。これは、注視すべきプロのナースの支援と言えます。また、家族は今後の生活への見通しも見当がつかないし、どのようになるのか不安や悲しみが大きいことも、スタッフは知って支援することが必要な時期なのです。
急性期の排尿管理は、留置カテーテルで管理されます。将来の生活を寝たきりにしないために、急性期の治療や管理として、排痰や呼吸器管理、泌尿器科による排尿・排便管理、褥瘡予防管理、拘縮などを防ぎ、関節可動域を維持するためや筋力維持のための、OTやPTによるベッドサイド訓練が開始されます。その他、事故時に損傷を受けた頭部や四肢、体幹などの治療も平行して行われます。手術後3日目には、頚椎カラーを装着して、電動ベッドで身体を起こすことができるようになり、食事も食べ物を見て食べられるようになったことや、60度を超えると重力がかかって起立性低血圧を起こしやすくなることや呼吸も苦しくなることなども記載されており、少しずつベッドの背上げをすることやベッドサイド訓練が手術後3日目から開始されていることなどは、寝たきりによる体力低下を防ぎ、早期離床を促進するために大切なリハビリテーションであることが示されています。