年間約5000名の新患者が発生するという脊髄損傷。
ここでは、その受傷直後から患者およびその家族がどのような思いを抱きながら治療に臨むのかを、時系列に沿ってご紹介します(執筆:丸山柾子さん)。
それに呼応する形で、医療関係者によるアプローチ、そして当事者の障害受容はどのような経緯をたどるのか、事例の展開に応じて、専門家が詳細な解説を示していきます(執筆:松尾清美先生)。
ここでは、その受傷直後から患者およびその家族がどのような思いを抱きながら治療に臨むのかを、時系列に沿ってご紹介します(執筆:丸山柾子さん)。
それに呼応する形で、医療関係者によるアプローチ、そして当事者の障害受容はどのような経緯をたどるのか、事例の展開に応じて、専門家が詳細な解説を示していきます(執筆:松尾清美先生)。
第12回 「第10回 苦しくても、それは必ず過去のものになります」「第11回 呼吸訓練」の解説
高位頸髄損傷者の急性期の治療としては、呼吸器管理と排尿・排便管理、そして褥瘡予防管理が重要です。
ここでは、呼吸器管理の一つである排痰のことと、排泄管理について記述されています。これらの管理については、急性期の患者にとっては、心理的にも肉体的にも大変苦痛を伴うことです。しかし、急性期から数か月経過して回復期に入るころには、頸髄の炎症が治まり、残存機能が明確になってくると、呼吸器機能も少し改善していくことと、排痰訓練をしっかりして努力していれば、楽に排痰できるようになることを医師はよく知っており、「今、苦しくても、それは必ず過去のものになります」と伝えたと思われます。もし、回復期となっても、排痰が自分でできないときには、吸引器を使って痰を取り出す方法を家族に伝達することになります。
また、回復期となって反射機能が戻ると、膀胱から尿が本人の意思とは関係なく放尿されるようになります。ただし、全て出るのではなく、残尿が残ってしまうのです。そこで、反射が戻ってくるまでに、急性期の排尿管理として、膀胱が溜めることができる容量を大きくしていく「プログラムII」と呼ばれる管理方法が行われました。この管理方法は、このときの丸山さんの主治医である岩坪先生が開発した管理方法です。無菌間欠導尿法で1日に3回、8時間ごとにナースが無菌的に導尿を行う方法で、感染を予防しながら管理するのです。これは、ナースの管理負担が大きいため、その重要性のわかるナースの協力がなくては実行することができないものなのです。この管理方法が上手くいくと、車いすで社会参加するころには、1日4〜5回の導尿で、失禁することもなく排尿管理できるようになるのです。排泄管理は、上手くいかないと失禁や匂いなどの問題で、社会参加を妨げることになり、人間の尊厳を左右するものですから、脊髄損傷者の治療やリハビリテーションでは、その管理方法が大変重要なことの一つです。
ここでは、呼吸器管理の一つである排痰のことと、排泄管理について記述されています。これらの管理については、急性期の患者にとっては、心理的にも肉体的にも大変苦痛を伴うことです。しかし、急性期から数か月経過して回復期に入るころには、頸髄の炎症が治まり、残存機能が明確になってくると、呼吸器機能も少し改善していくことと、排痰訓練をしっかりして努力していれば、楽に排痰できるようになることを医師はよく知っており、「今、苦しくても、それは必ず過去のものになります」と伝えたと思われます。もし、回復期となっても、排痰が自分でできないときには、吸引器を使って痰を取り出す方法を家族に伝達することになります。
また、回復期となって反射機能が戻ると、膀胱から尿が本人の意思とは関係なく放尿されるようになります。ただし、全て出るのではなく、残尿が残ってしまうのです。そこで、反射が戻ってくるまでに、急性期の排尿管理として、膀胱が溜めることができる容量を大きくしていく「プログラムII」と呼ばれる管理方法が行われました。この管理方法は、このときの丸山さんの主治医である岩坪先生が開発した管理方法です。無菌間欠導尿法で1日に3回、8時間ごとにナースが無菌的に導尿を行う方法で、感染を予防しながら管理するのです。これは、ナースの管理負担が大きいため、その重要性のわかるナースの協力がなくては実行することができないものなのです。この管理方法が上手くいくと、車いすで社会参加するころには、1日4〜5回の導尿で、失禁することもなく排尿管理できるようになるのです。排泄管理は、上手くいかないと失禁や匂いなどの問題で、社会参加を妨げることになり、人間の尊厳を左右するものですから、脊髄損傷者の治療やリハビリテーションでは、その管理方法が大変重要なことの一つです。