第26回 50代からのジョギングトレーニング<5> LSDに取り組もう!
今回は、ジョギングトレーニングの中でも割とポピュラーな練習法であるLSD(Long Slow Distance)を取り上げます。
LSDとは
LSDとは、Long Slow Distanceの略で文字通り、長くゆっくり走ることです。厳密な定義(時間や距離、ペースなど)はあるわけではありません。単純に「長くゆっくり走る」という意味で言えば、30分しか走れない人には60分でも十分長いですし、フルマラソンを走りきれる人であれば、2時間でも3時間でも走れるでしょうから、走力によって走る時間やペースが異なって当たりまえです。ただし、LSDをトレーニングとして行う場合、「心拍数を上げずに毛細血管を発達させる」ことと、「体脂肪をうまく燃焼させる」という二つの効果を求めますので、私は、「最低90分は走る」という考え方で取り組んでいます。90分というと、初心者にはちょっと長いかもしれません。ただ、心拍数を上げなくていいわけですから、LSDの途中で歩いてもいいと思っています。途中で歩いたとしても、90分間足を止めなければ初心者には十分な効果があるでしょう。でも半分以上歩くのはダメです。30分走って10分歩いてまた30分走る、という感じであればOKだと思います。
LSDの効果
先述したとおり、LSDの効果は、毛細血管の発達と体脂肪の燃焼にあります。毛細血管が発達することでより多くの酸素が筋肉のすみずみにまで行き渡るようになります。そのことで筋持久力が上がり、長く走れる身体が作れるというわけです。また、長くゆっくり走れば、効果的に脂肪が燃焼されますので、ダイエットにも有効です。さらに、長く走ることで、長い距離への耐性、フルマラソンへの身体的かつ精神的な耐性がつくでしょう。
LSDへの取り組み方
取り組む時間は、最低90分と言いましたが、上限は特にありません。私が実業団の監督をしていた頃、フルマラソンに出る選手には5時間LSDなどに取り組ませていました。5時間も走ると流石にお腹がすきますけどね(笑)。大体、5時間で60kmほど走ります。ここで肝心なことは、「60km走ろう」と「5時間走ろう」では受け取る側の印象が違うということです。「5時間走ろう」であればゆっくりでも構いませんが、「60km走ろう」だと少しでも早く終わろうするためLSDにならない場合があります。距離を決めてしまうと、どうしてもスピードが上がってしまいがちです。
また、ペースに関してですが、先述したとおり、「心拍数を上げずに」ということがポイントですので、走りながら会話ができる程度のペースを意識してください。ジョギングも会話ができる程度のペースですが、ジョギングよりもさらに遅く、ほとんど歩きに近い(早歩き程度の)感覚でいいでしょう。LSDのペースが走力によって異なるというのは、この「会話ができるスピード」がレベルによって異なるからです。
また、ペースに関してですが、先述したとおり、「心拍数を上げずに」ということがポイントですので、走りながら会話ができる程度のペースを意識してください。ジョギングも会話ができる程度のペースですが、ジョギングよりもさらに遅く、ほとんど歩きに近い(早歩き程度の)感覚でいいでしょう。LSDのペースが走力によって異なるというのは、この「会話ができるスピード」がレベルによって異なるからです。
マラニックとしてのLSD
フルマラソンを目指しているなど目標のある方であれば、月に2回から3回程度取り組めると効果的だと思います。特にフルマラソンに出るといった目的はないけれど、LSDをやってみたいということであれば、「マラニック」のようなピクニックとジョギングを兼ねているようなものに参加してみてはいかがでしょうか。
リュックを背負って、観光気分で楽しみながらであれば、ラクに長く走れますよ。こうしたイベントに参加しないまでも、例えば目的地を決めて、途中で何かおいしいものを食べながら、目的地に向かってのんびり走ったりなんかしても楽しいと思います。50代で走り始めた方には、こういった楽しみながら取り組むLSDをオススメします。
リュックを背負って、観光気分で楽しみながらであれば、ラクに長く走れますよ。こうしたイベントに参加しないまでも、例えば目的地を決めて、途中で何かおいしいものを食べながら、目的地に向かってのんびり走ったりなんかしても楽しいと思います。50代で走り始めた方には、こういった楽しみながら取り組むLSDをオススメします。
コラム
—色々な練習法〜流し・ウィンドスプリント〜—
50代以上でランニングを始めた方には、負荷の高いスピード練習は難しいかもしれませんが、ウィンドスプリントという練習法もあります。いわゆる「流し」というもので、ランニングの途中でスピードを速めて短い距離を走るものです。普段取り組んでいるジョギング(有酸素運動)に無酸素運動を取り入れて、心肺機能とスピードを強化することが目的です。スピードトレーニングの中では比較的取り入れやすい練習法ではありますが、心拍数は確実に上がりますし、肉離れの危険もありますから、50代以上の方が無理に取り組むと故障する可能性もありますので要注意です。
また、気をつけていただきたいのは、ウィンドスプリントは徐々にスピードを上げていく加速走で、最後には減速します。短距離走のように最初から最後までダッシュするというものとは違います。そのことを意識するだけでも、肉離れ等のリスクは減らすことができるでしょう。
次回更新日は2012年4月11日です。
2012年4月4日
- 新連載開始のお知らせ
-
金さんの「50代からのジョギング入門」の後を受けて
市橋有里(いちはし・あり)さんの
【ari's Basic Running 〜ココロもカラダもキレイに〜】が
スタートしました!こちらもよろしくお願いします!
http://www.caresapo.jp/senior/kantan/running/