第6回
ランニングフォーム<1>まっすぐ立つ
第5回で、ランニングフォームが大切というお話をしました。今回と第7回の2回に分けてジョギングに取り組むうえでの基本となる“フォーム”についてお話します。
まっすぐ立つ(背筋はS字湾曲を描き、胸を開いて立つ)
まず、フォームを意識する際に重要なのは“まっすぐ立つ”ということです。良い姿勢というのは、背骨がS字に湾曲していて、胸を開いて、まっすぐに立った状態です(写真参照)。これができていないと、ジョギングをするときも身体の前後左右のバランスが悪くなり、疲労や怪我の原因となります。
私の経験上、どうも50代以上の方は猫背になってしまうことが多いようです。これは、長年の習慣で背中の筋肉がガチガチに固まってしまっていることが原因です。ですからいきなり姿勢を良くしようと思っても難しいのです。
私の経験上、どうも50代以上の方は猫背になってしまうことが多いようです。これは、長年の習慣で背中の筋肉がガチガチに固まってしまっていることが原因です。ですからいきなり姿勢を良くしようと思っても難しいのです。
しかし、猫背を直さずに走り続けるのは、あまりお勧めできません。なぜなら、姿勢が正しければ、着地衝撃をきちんと背骨で受けて、上半身の体幹(太い筋肉)で衝撃を吸収できます。ところが、猫背の場合は、背骨で衝撃をうまく吸収できないため、ほとんどが膝などへのダメージとなってしまい、痛みや怪我の原因となるからです。
周囲の方に指摘してもらったり、鏡で自分の姿勢を確認して、「猫背になっているなぁ」という方は、まずは背中の筋肉を柔らかくほぐすことから始めましょう。方法としては、背中のストレッチをしたり、お風呂にゆっくり入ったり、マッサージを受けに行くなどさまざまですが、少なくとも“肩甲骨”が動かせるようになることが必要です。自分自身で肩甲骨を動かしていることを意識できるようになることが大切なポイントですので、鏡で確認をしたり、あるいは奥さんやだんなさんなどに触れてもらって、肩甲骨をしっかり動かせているかチェックしてみてください。
肩甲骨を動かして後ろにひけば、自然と胸がひらき、猫背が解消されるはずです。このように肩甲骨を使えるかどうかは、次回解説予定の“腕振り”にも関わってきますので、留意してください。
自然な前傾姿勢で走る
それから、人は走るときに必ず身体が前傾しますが、このとき、自然な前傾姿勢をとることもポイントです。身体が折れ曲がらないように、足もとから身体ごと前傾するのが正しい前傾です。
50代以上の男性のなかに、ときどき上半身が折れ曲がった姿勢で走っている人が見受けられます。これは、腰から上だけが前に進もうと前傾していて、下半身がついていっていないせいです。この現象は不思議と男性に多く、女性は少ないようです。やはり最初に触れたとおり、“まっすぐ立つ”というところに立ち返って、走っているときも同様にまっすぐの姿勢を保つことを意識してください。
また、お腹が出ている人は、上半身が後ろに反ります。お腹の重さでそうなっているのですが、こういった場合には、走る以前に痩せる必要があります。走るのと平行して、これまでの乱れた食生活を見直して、まずは体重を落とすことです。50代以上の場合は、新陳代謝も低下し、故障のリスクも高いわけですから、ランニングだけで痩せようとするのはあまり良い考えではありません。走る身体をつくるための食生活も一緒に改善していくことが大切です。
今回は、走り出す手前の姿勢と走り出しの前傾姿勢についてお話しました。正しい姿勢で走ることが、怪我の防止にもつながりますので、まずは、まっすぐ立つことを十分に意識してジョギングに取り組んでみてください。次回は、腕振りと着地についてお話します。
次回更新日は8月24日です。
2011年8月10日
けあサポ読者QA
Q
自分の走り方が正しいのかどうか不安です。
セルフチェックポイントがあれば教えてください。
A
自分の走り方をセルフチェックする際、一番わかりやすいのは、町中を走っているときなどにビルのウィンドウに移る自分のフォームを見てチェックすることです。自宅等の鏡でも結構ですが、実際に走っているときのほうが、より正確にチェックできます。そのときのチェックポイントは「猫背になっていないか」、「変な前傾姿勢(身体が折れ曲がっている等)になっていないか」、「着地する足が身体よりもかなり前でついていないか」、「後ろ足が流れすぎていないか」、「腕がちゃんと振れているか」、「肩が上がっていないか」、「あごが上がっていないか」、「左右のバランスは崩れていないか」などです。腕振りは次回のお話ですので、次回の内容と合わせてチェックしてみてください。
自分の走り方が正しいのかどうか不安です。
セルフチェックポイントがあれば教えてください。
A
自分の走り方をセルフチェックする際、一番わかりやすいのは、町中を走っているときなどにビルのウィンドウに移る自分のフォームを見てチェックすることです。自宅等の鏡でも結構ですが、実際に走っているときのほうが、より正確にチェックできます。そのときのチェックポイントは「猫背になっていないか」、「変な前傾姿勢(身体が折れ曲がっている等)になっていないか」、「着地する足が身体よりもかなり前でついていないか」、「後ろ足が流れすぎていないか」、「腕がちゃんと振れているか」、「肩が上がっていないか」、「あごが上がっていないか」、「左右のバランスは崩れていないか」などです。腕振りは次回のお話ですので、次回の内容と合わせてチェックしてみてください。
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