第５回　スロージョギングから始めよう

　前回は、始めるにあたっての注意点と準備についてお話しました。今回は走り出すペースと目安についてお話します。

　ウォーキング（歩くこと）は、言うまでもなく人間が日常の移動で一番よく使う手段で、普通に歩けば大体１キロ15分（時速４ｋｍ）ぐらいでしょうか。そこからゆっくりでも走り始めるとジョギング（ジョグ）になり、これが大体１キロ６、７分（時速約10ｋｍ）くらいなのですが、ウォーキングとジョギングの中間にスロージョギングがあります。スロージョグは大体１キロ９、10分あたりで、早歩きとあまり変わりませんが、一応走っていて、完全有酸素運動になります。以下に、ウォーキングからランニングまでの概ねのペース配分を図で示しますので、参考にしてください。
　

　50代から始める方はぜひスロージョギングから始めましょう。１キロ８、９分くらいから始めても、だんだん慣れてくればいずれジョギングのペースになります。あえて自分で最初から速く走ろうとしなくても、筋力がついて、体重が落ちてくると、勝手にジョギングのスピードになっていきますから、最初は慌てずにのんびりと早歩きくらいのペースで走り出しましょう。
　走る時間は10分、20分でも構いません。ただし、運動する時間全体は30分くらい作っておいて、最初の５分と最後の５分はウォーキング、間の20分をスロージョグで走る、という具合にしましょう。普段から散歩をしている人は30分くらいは歩いていると思いますが、その中に５分でも10分でもジョグの時間を入れるのはいかがでしょう。ただし、完全に散歩の格好では走れませんので、ジョギングする格好で散歩をします。スポーツウェア等を着て、ランニングシューズを履いて、散歩の中にスロージョグを取り込むと自然に走れるようになります。
　スロージョギングといっても、ジョグと違うのはスピードだけです。スピードが遅いからといってランニングフォームをおろそかにしてはいけません。フォームについては次回以降解説しますが、ランニングのフォームには基本があります。これはスロージョギングの時も同様で、基本は最初からしっかりやっておくべきです。

　ジョグからフルマラソンというと、かなり飛躍しているイメージを抱くかもしれませんが、実はそんなことはありません。フルマラソンの42.195ｋｍをずっと全力で走るわけではなく、ジョグとそれほど変わらないスピードで淡々と走るのが普通です。いってみれば、ジョグで走る距離が長いか短いかの違いです。ですから、50代からジョギングを始めても、フルマラソンの完走まで、もちろんたどりつくことはできます。「フルマラソンの完走が目標です」と言う人がたくさんいます。最初は体力に自信が持てませんから、「１回でも完走できればいい」と思うのでしょうが、１度完走してしまえば、その頃には体力がついていますから、後は何回でもできます。ただし、ものすごく無理をしたり、短期間でとか、あまり練習をしないで最初の１回をやってしまうと、身体を壊してしまったりして、結局は走ること自体が長続きしないことがあります。準備の期間をたっぷりとって、自分の体を少しずつ作っていけば、誰でもフルマラソンを完走できると思います。
　
　長く楽しくＲＵＮを続けていくために知っておいてほしい内容を、次回以降お話していきたいと思います。