第９回　体操・ストレッチ＜１＞　運動前に温める・体のチェック

　前々回のランニングフォームに続いて、第９回と第10回では、ジョギング前に行う体操・ストレッチについてお話します。

　何度も繰り返しになりますが、ランニングは負荷の高い運動ですので、故障を予防するためにも、ジョギングを行う前に必ず、体操・ストレッチを行ってください。
　運動前に体操・ストレッチをやることで、ひとつは関節を柔らかくほぐして、よく動く（回る）ようにする効果があります。ですから、関節まわりは回転系の体操が多くなります。また、筋肉は伸ばすことで柔らかくほぐす意味合いもありますが、どちらかといえば、伸ばして温めて筋温を上げることで、負荷の高い運動に耐えられるようにしているのです。車の暖機運転と同じで、よくなじませてから走り出せば、それだけ故障のリスクが減るのです。

　それから体操・ストレッチをやることで、事前に怪我をする（痛める）恐れのあるリスクもわかります。例えば、伸脚をしていて、今日はちょっと足がおかしいなぁ、痛いなぁと思うときがあります。こうしたことは走ってみないとわからないのではなく、体操をしている時点でわかることです。それをチェックする意味でも、体操・ストレッチは必要なのです。もちろん、ちょっとくらい痛くても、走り出してしまえば、５分もすれば汗をかいてきて温まり、痛みも消えて普通に走れるのですが、痛みを無視して続けてしまうとどこかで落とし穴が待っています。重要なことは身体からのシグナルをしっかり受け取ることです。痛いと感じたら何かしらのケアを施しましょう（痛い部位のアイシング・湿布等の鎮痛消炎剤の使用など）。とくに50代以上の方は筋肉が凝り固まっている場合が多いため、この点はぜひとも意識していただきたいところです。

　体操・ストレッチには伸ばす系と回転系があるわけですが、伸ばし方のポイントは、ゆっくり、ていねいに伸ばすことが基本です。また、どの部位を伸ばしているのか意識することも大切です。回転系は右回し、左回しで違和感や痛みの出方、感じ方が若干違いますので、両方意識的に行ってください。
　こうした体操・ストレッチは義務的に行うと面倒くさく感じますが、身体をチェックするという意識で行えば取り組み方が変わるのではないでしょうか。ＲＵＮを長く楽しく続けていくためには、おろそかにはできないことです。それでも面倒くさいという方もいるかもしれませんが、最低限、膝まわり（屈伸、伸脚、膝回し）だけはやるように心がけてください。それもやらずに走り出すのは、シニアの場合は危険行為だと思ってください。
　また、運動後の体操・ストレッチは、そんなにたくさん走らないのであれば、ジョグの後に歩くだけでもクールダウンになりますので、軽くほぐす程度でもかまわないと思います。ただし、たくさん走るなどの激しい運動の後であれば、疲れをとる意味でもしっかり行いましょう。フルマラソンの後などでは、放っておくと筋肉が固まってしまいますので、なるべく走り終わった後、あまり時間をおかずにしっかりと体操・ストレッチを行うことが重要です。

　次回は私が行っている一連の体操・ストレッチを動画で掲載する予定ですので、チェックしてみてください。