第25回 近江富士(1)
三上山こと近江富士へ
元気で経験豊富なアクティブシニアでも、厳冬期の山歩きでは慎重な行動が求められます。なぜ、こんなことを言い出したかというと、毎年、この時季、各地の山で中高年のハイカーの遭難が繰り返されているからです。
山の天気を甘くみていたり、コースの下見をしていなかったり、パーティの経験や技術にお構いなく計画を立てたりしている、という初歩的なミス、あるいは途中で天気があやしくなっても、「また、いつこられるかわからないので・・・」と、ガイドに無理強いをして登山を続けるなど、自殺行為とも思われる原因もなかにはあるようです。
そこで、今回は、この時季でも安心して登れるコースとして、滋賀県野洲(やす)市の近江富士こと三上山(みかみやま:標高432メートル)をご紹介しましょう。関西地方のハイカーに人気があり、古くから文人墨客に愛されています。各地にある「ふるさとの富士」のなかでもとくに有名ですので、一度登ってみてはいかがでしょうか。
登山口は裏登山道と表登山道の2か所がありますが、冬場はハイカーが少ないので、比較的なだらかで、しかも、人出が見込める初心者向けの裏登山道を選びましょう。このような冬の低い山や里山は、コースによっては野犬がえさを求めて群れていて、危険なこともあるからです。
もっとも、筆者はこの山にはこれまで、四季を問わず、何回となく登っていて様子がよくわかっていますので、そのような心配はまずありません。そのせいか、地元の人のなかには、険しい表登山道をわざわざ選んでいる人もみられますが、数人のパーティのときならいざ知らず、一人のときは裏登山道を往復した方が無難です。