第21回 薩埵峠(1)
富士山と駿河湾を望む薩た峠
新年、明けましておめでとうございます。
みなさんは、このお正月をどのように迎えられましたか。そして、今年の初歩きにはどこを計画されていますか。
「予定はまだ」、あるいは「どこか新春らしい所を」とお考えの人に、とっておきのコースをご紹介しましょう。新雪の富士山と紺碧の駿河湾を望む、静岡市清水区の薩埵(さった)峠(標高約100メートル)です。
薩埵峠は、旧東海道五十三次の由比(ゆい)宿と興津(おきつ)宿の間のほぼ中間にあり、約8.2キロを2時間半で歩きます。
ただ、峠のある薩埵山(244メートル)の断崖が駿河湾に没しているため、江戸時代、波にさらわれる危険のある海岸線の「下道」と山側の「上道」、「中道」の3つのうち、最も安全な「上道」が街道として整備されました。それでも、急な上りと断崖で難儀であったため、神奈川県の箱根峠(846メートル)、三重、滋賀両県境の鈴鹿(すずか)峠(357メートル)とともに「東海道の三大難所」として数えられ、「東海道の親不知(おやしらず)」ともいわれています。
しかし、峠から望む景色は歌川広重の浮世絵の「東海道五十三次」に描かれるほど絶景で、みなさんも東名高速道路の宣伝のポスターなどで記憶にあるのではないでしょうか。
しかも、「上道」は現在、東海自然歩道として擬木の防護柵や階段が取り付けられているほか、峠の頂上の近くには駐車場やトイレも完備されているため、運動靴でも安心して楽しめます。