第19回 天王山(3)
山頂は杉木立の中
天王山の頂上は旗立松の展望台から15分ほど上った地点で、登山口から1時間半ほどです。秀吉が築いた山城の跡が、ちょっとした広場になっています。山頂から少し下った所に井戸の跡がありますが、周りに鬱蒼(うっそう)としたスギやヒノキの木立に囲まれており、展望は利きません。
「このコースの楽しみは、帰りにウイスキーの試飲ができること。今日も1時間程度の見学のあと、できるはずですよ」
少々がっかりしながら簡単な昼食をとっていると、中年の男性ハイカーが、この山の麓にある洋酒造会社の山崎蒸留所の存在を教えてくれました。これまで何度か、新幹線の車窓から、あるいはテレビのコマーシャルで見た、その蒸留所を思い出しました。