第37回 涼しくなっても、行動は八分目に
夏をうまく乗り切りながらも、秋に不調になるケース
節電が叫ばれた今夏でしたが、みなさんは、うまく乗り切れましたでしょうか?政府が、電力使用制限令を予定より前倒しして解除したのも、みなさん一人ひとりの心がけが功を奏した結果ではないかと思っています。
こうしてブラックアウトの懸念がなくなったことから、「涼しくなったし、これで、やっとやりたい事ができる」と、秋の行動計画をいろいろと立てている方もいらっしゃることでしょう。
しかし、その逸る気持ちが老化を早めてしまいます。
ちょっと涼しくなってから来院される患者さんのなかには、「がんばって夏は特に不調もなく乗り切ったのに、秋口になって疲れて仕方がない」と訴える方が少なくありません。
これは、「秋疲れ」の典型的な例といえ、そういった患者さんに私は、「まさか、いま、がんばって動き回っていないでしょうね」と質問をします。
すると、患者さんのほとんどが、「はい、涼しくなって動きやすいので、いろいろと行動しています」と答えます。
こうしてブラックアウトの懸念がなくなったことから、「涼しくなったし、これで、やっとやりたい事ができる」と、秋の行動計画をいろいろと立てている方もいらっしゃることでしょう。
しかし、その逸る気持ちが老化を早めてしまいます。
ちょっと涼しくなってから来院される患者さんのなかには、「がんばって夏は特に不調もなく乗り切ったのに、秋口になって疲れて仕方がない」と訴える方が少なくありません。
これは、「秋疲れ」の典型的な例といえ、そういった患者さんに私は、「まさか、いま、がんばって動き回っていないでしょうね」と質問をします。
すると、患者さんのほとんどが、「はい、涼しくなって動きやすいので、いろいろと行動しています」と答えます。
気分は動きたい。でも、カラダは…
夏場は蒸し暑く、動くことが億劫なうえに、暑さにカラダを慣らすためにエネルギー(漢方でいう「気」)を使っているので疲れやすく、なかなか活発に動くことが難しいものです。
しかし、気温が低くなり、日差しも穏やかになると、「さあ、運動をするぞ!」とか、「いろいろと楽しい会合にでかけよう」という気分になるものです。こう思えることは、心身ともに健康な証拠でもあるので、“良いこと”ではあるのですが、その「気分」にまかせて行動をしていると、「秋疲れ」という“悪いこと”が生じるのです。
夏の疲れが溜まっているところに、その疲れをとらずに、いろいろと動き回ってしまうと、さらに疲れが溜まります。
別の言い方をすると、暑さに対応するために、自身が持っているエネルギーを使ってすり減らしているところに、動くことでまたエネルギーを使い、カラダのエネルギーがどんどんと減っていってしまう状態です。
この「エネルギー不足」の状態を、漢方では気(エネルギー)が虚(ない)の状態、「気虚」といいます。冒頭の「秋口になって疲れて仕方ない」という患者さんは、「気虚」の典型例といえます。
しかし、気温が低くなり、日差しも穏やかになると、「さあ、運動をするぞ!」とか、「いろいろと楽しい会合にでかけよう」という気分になるものです。こう思えることは、心身ともに健康な証拠でもあるので、“良いこと”ではあるのですが、その「気分」にまかせて行動をしていると、「秋疲れ」という“悪いこと”が生じるのです。
夏の疲れが溜まっているところに、その疲れをとらずに、いろいろと動き回ってしまうと、さらに疲れが溜まります。
別の言い方をすると、暑さに対応するために、自身が持っているエネルギーを使ってすり減らしているところに、動くことでまたエネルギーを使い、カラダのエネルギーがどんどんと減っていってしまう状態です。
この「エネルギー不足」の状態を、漢方では気(エネルギー)が虚(ない)の状態、「気虚」といいます。冒頭の「秋口になって疲れて仕方ない」という患者さんは、「気虚」の典型例といえます。
眠気があっても「ふんばらない」
「気虚」にならないためには、「あれも、これもやりたい!」という気持ちをコントロールして、「行動を八分目」におさえることです。
もちろん、夏の疲れを感じている胃腸も「腹八分目」で。冷たい飲食や、暑さによる自律神経の乱れなどから、胃腸も夏バテになっています。エネルギー(気)は、食べ物が胃腸で消化されることで作られるので、夏場に減ってしまったエネルギーを補充するのに、胃腸の働きも重要です。食欲の秋といえども、食事も八分目にして、胃腸に負担をかけないように気を付けましょう。
さらに付け加えると、エネルギーを補充するもう1つの手段である睡眠にもコツがあります。この時期は、眠気があっても覚醒するように「ふんばらない」ことです。
もちろん、夏の疲れを感じている胃腸も「腹八分目」で。冷たい飲食や、暑さによる自律神経の乱れなどから、胃腸も夏バテになっています。エネルギー(気)は、食べ物が胃腸で消化されることで作られるので、夏場に減ってしまったエネルギーを補充するのに、胃腸の働きも重要です。食欲の秋といえども、食事も八分目にして、胃腸に負担をかけないように気を付けましょう。
さらに付け加えると、エネルギーを補充するもう1つの手段である睡眠にもコツがあります。この時期は、眠気があっても覚醒するように「ふんばらない」ことです。
どういうことかというと、涼しくなると、眠気を強く感じることがあります。これは、夏場は暑さで寝苦しかったり、早く起きてしまったりして、睡眠不足などに伴う疲れが溜まっていたところに、涼しくなって寝やすくなったので、カラダが「ぐっと眠って夏の疲れをとりたい」と訴えていることを意味します。
そのため、眠気に任せて眠ることが疲れを早くとり、エネルギーを補充することにつながるので、早めに床につくなどするといいでしょう。
次回は、10月20日(木)更新予定です。
そのため、眠気に任せて眠ることが疲れを早くとり、エネルギーを補充することにつながるので、早めに床につくなどするといいでしょう。
次回は、10月20日(木)更新予定です。
(2011年9月15日)
- 木村容子先生のお勤め先
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東京女子医科大学 東洋医学研究所
〒114-0014
東京都北区田端1-21-8 NSKビル3階
TEL:03(6864)0821(代表) TEL:03(6864)0825(予約)
http://www.twmu.ac.jp/IOM/
【木村先生の書籍が刊行されました】
タイトル:『女50歳からの「変調」を感じたら読む本』(静山社文庫)
定価:¥680(税込)