第16回　春は胃腸を調えダイエットに励む

　第10回で、年齢が高くなってから太ることの危険性について記しましたが、実際にダイエットするにあたっては、春が、一年の中で最も向いている季節といえます。
　冬は、動物の本能として「冬眠」する季節なので、秋から冬にかけてのカラダは、エネルギーを溜め込もうとします。寒さに耐えるために、ただでさえエネルギーを蓄積しなくてはいけない時期にダイエットをするのは、効果がないばかりか、かえってエネルギー不足で風邪をひきやすくなるなど、体調を壊してしまう危険性もあります。
　一方、夏になると暑さによる熱射病の心配や、逆に冷房によってカラダが冷えて代謝が上がらないなど、これまたダイエットには不向きです。
　春は、少し暖かくなってカラダを動かしやすく、冷暖房機をつける必要もない時期なので、自然な発汗もしやすいです。漢方でも、春は「発散」の季節と位置づけています。冬場に太ってしまいダイエットを始めようと思っているなら、いまがオススメです。

　ただ、中高年は若いときよりも胃腸の働きが弱っていて、食べ物や飲み物をうまく消化できない場合が多いです。そのため、ダイエットにあたっては、胃腸をいたわりながら対応するよう意識しましょう。
　特に春は、胃腸が弱りやすい時期でもあります。春になって温かくなると、リラックス神経と言われる副交感神経が優位になり胃酸が急に増えます。この変化に胃腸が対応できず、胃酸過多の状態になってしまい、結果として、胃の裏側や背中のあたりに凝りを感じやすくなります。

　最近、背中の胃の後ろ部分に手をあてていたことが多いな、と感じている方は、胃腸が弱っている可能性があります。胃酸過多による凝りの場合は、食事をした後で少したってから、ちょうど胃の裏側の背中にあるツボ「脾兪（ひゆ）」（背骨から指幅２本分外側）あたりを押すと症状が楽になります。
　「春先は胃の裏のあたりが凝りやすい時期」と意識して、胃腸の働きを意識的に調えるようにしましょう。

　そもそも「太る」とは、カラダに入るエネルギー（飲食物）が、出るエネルギー（運動など）よりも増え、脂肪が体内に蓄積されることから起こります。特に中高年の場合は、基礎代謝が低下しているため、若い頃と同じ量を食べていてもカロリーオーバーになる可能性が高くなります。
　太ることを避けるためには、食生活のコントロールとともに、運動を同時に行うことがポイントです。運動によって筋肉がつくと、基礎代謝が上がって太りにくくなります。さらに、カラダの60％の熱量は筋肉によって作られるので、冷えにくいカラダ作りにも有効です。
　運動といっても、激しいものである必要はありません。犬を飼っている方なら、朝晩の犬の散歩を日課とすることで十分です。激しい運動は、かえってエネルギーを使いすぎてしまい、老化を早めてしまう危険性もあります。「激しすぎず、汗をかきながら、続けられる」運動を心がけましょう。

　次回は、5月13日（木）更新予定です。