第18回 春は上半身の不調に要注意
「陽の気」高まり逆上せる
春は、顔がほてる、頭がカッカと熱い、クラっとする、頭が冴えてよく眠れない――といった症状が出やすくなります。特に、中高年は、その症状が長引くので、不安に思われる方も多いことでしょう。
これらの不調の共通点は、頭や顔といった上半身に集まっていることです。なぜ上半身なのか、というと、本来は上から下へと流れるべきエネルギーが、下から上へと逆流し、上半身に滞ってしまうからです。漢方では、この状態を「気逆(きぎゃく)」といいます。
気逆が生じる原因には、「陽の気」(陽気)が挙げられます。春は、やる気や元気をもたらす陽の気が高まるのですが、カラダのバランスが崩れていたり、加齢による老化によって、満ちあふれたエネルギーにカラダがついていきにくくなります。
さらに、漢方でいう「肝」も影響しています。肝は、五臓六腑の1つで、西洋医学でいう肝臓の働きのほか、血液の貯蔵や血流の調整、自律神経の働きに関係しています。陽の気の高ぶりは、肝の働きも高ぶらせ、その高ぶりが過度になると、肝に貯蔵されるべき血液がおさまらず、陽の気とともに上昇し、上半身に滞ってしまうために、のぼせやめまい、不眠といった症状がでるのです。
文字通り「逆上せ(のぼせ)」てしまうのです。
これらの不調の共通点は、頭や顔といった上半身に集まっていることです。なぜ上半身なのか、というと、本来は上から下へと流れるべきエネルギーが、下から上へと逆流し、上半身に滞ってしまうからです。漢方では、この状態を「気逆(きぎゃく)」といいます。
気逆が生じる原因には、「陽の気」(陽気)が挙げられます。春は、やる気や元気をもたらす陽の気が高まるのですが、カラダのバランスが崩れていたり、加齢による老化によって、満ちあふれたエネルギーにカラダがついていきにくくなります。
さらに、漢方でいう「肝」も影響しています。肝は、五臓六腑の1つで、西洋医学でいう肝臓の働きのほか、血液の貯蔵や血流の調整、自律神経の働きに関係しています。陽の気の高ぶりは、肝の働きも高ぶらせ、その高ぶりが過度になると、肝に貯蔵されるべき血液がおさまらず、陽の気とともに上昇し、上半身に滞ってしまうために、のぼせやめまい、不眠といった症状がでるのです。
文字通り「逆上せ(のぼせ)」てしまうのです。
不調を放っておくと病気につながる危険性
気逆の状態では、顔が赤くなるほか、突然の頭痛や動悸、腹痛、咳がでたりします。発作的に突然に症状が起こるのが特徴です。また、焦燥感に襲われたり、物事に驚きやすいなどの精神的な症状が現れたりもします。
気逆の状態を放っておくと、消化器系の病気や、自律神経失調症、神経が乱れやすくなり、うつ病や過食症、パニック障害などを引き起こす場合もあり、危険です。特に、若い頃なら一晩寝れば頭痛が治ったとしても、中高年になると、気逆の状態を解消するのにカラダがなかなか対応できずに、不調が長引きがちです。また、「春眠暁を覚えず」という春なのに不眠でいることは気分が晴れないことでしょう。
この時期は、規則正しい生活パターンを意識的にとり、適切な養生につとめることで、「強い陽の気に負けないカラダ作り」を心がけましょう。
気逆の状態を放っておくと、消化器系の病気や、自律神経失調症、神経が乱れやすくなり、うつ病や過食症、パニック障害などを引き起こす場合もあり、危険です。特に、若い頃なら一晩寝れば頭痛が治ったとしても、中高年になると、気逆の状態を解消するのにカラダがなかなか対応できずに、不調が長引きがちです。また、「春眠暁を覚えず」という春なのに不眠でいることは気分が晴れないことでしょう。
この時期は、規則正しい生活パターンを意識的にとり、適切な養生につとめることで、「強い陽の気に負けないカラダ作り」を心がけましょう。
出して入れる「OUT&INケア」
「気逆」「肝の働きの異常」への養生にあたっては、体内に溜めていたものを発散させることがポイントです。体内の悪いもの、余分なもの(邪気)をまずは取り除いてから、良いもの(正気)を取り入れるという、「OUT&INケア」をおすすめします。これは、漢方の「瀉法(しゃほう)」(邪気を取り除き、余分なものを排出する)と「補法(ほほう)」(正気を取り入れる)という治療法を応用した養生です。いくら栄養のあるものを食べたり、長時間ベッドに横たわっていても、体内の状態を良くしておかないと、入っていくべきものが入っていきません。
運動や入浴などで汗をかいたり、便通を調える「OUTケア」を行って、体内から不必要なものを外に出します。その上で、十分な睡眠や栄養をとる「INケア」を行うことで、肝の働きの乱れを整えていきましょう。
「INケア」にあたっては、春は酸味の食材、例えば、梅干しや酢、かぼす、レモン、すもも、さくらんぼ、りんごなどが有効です。お酒の席では、酒の肴に酢の物などの酸味のあるものにするほか、梅酒やお酒を酸味のフルーツで割った飲み物(レモンサワーやグレープフルーツサワー、ジンライムなど)を選ぶといいでしょう。
また、春の季節に芽を出す、ウドやフキノトウなどの苦味の食材も、陽の気の上昇とともに生じる肝の高ぶりを鎮める役割があるといわれています。香りの強い食べ物、例えば、香菜(コリアンダー)や三つ葉、春菊、セリ、青ジソ、ニラといった野菜や、ゆず、オレンジなどの柑橘類、和洋からしやコショウ、シナモンなどの香辛料、ミントティーやジャスミンティーといった香りのある茶葉などは、気の流れをスムーズにします。
次回は、6月10日(木)更新予定です。
(2010年5月27日)
- 木村容子先生のお勤め先
-
東京女子医科大学 東洋医学研究所
〒114-0014
東京都北区田端1-21-8 NSKビル3階
TEL:03(6864)0821(代表) TEL:03(6864)0825(予約)
http://www.twmu.ac.jp/IOM/
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