第4回 50代からの養生は「こまめ+先手必勝」
老化への2つの流れ
そもそも加齢に伴う老化を漢方でどのようにとらえているか、というと、私は、2つの流れがあると解釈しています。
まず1つは、「陽から陰」への流れ。古代の中国では、万物を「陽」と「陰」の2つに分けて、さまざまな現象をとらえてきました。この陰陽論は医学にも用いられ、漢方では、新陳代謝が活発に行われている状態を「陽」。一方、カラダ全体またはカラダの一部の新陳代謝が低下した状態を「陰」と考えています。
老化をこの陰陽論にあてはめると、若い頃のカラダが熱を発することができる「陽」の状態から、加齢によって、冷えて寒さに弱くなる「陰」の状態に向かうと言えます。
もう1つは、「実から虚」への流れです。一般的に、「実」は「体質が筋肉質でがっちり、積極的で疲れにくい、胃腸が丈夫」な状態を指し、他方、「痩せ型や水太り、消極的で疲れやすい、胃腸が弱い」状態を「虚」と言います。
これは、加齢によって、体質が「実」傾向から、体力がなくなり風邪をひきやすくなるなどの「虚」の状態に移行することを、老化ととらえる流れです。
特に女性の場合は、古くから「女性は虚になることで非常に冷えて、その冷えがカラダの中に積もり、気が滞り、いろいろな病気が起きる」(『金匱要略』より)として、「虚」と「陰」の状態が一緒になって、病気になりやすくなると言われています。
逆に男性は、女性に比べると病気に敏感ではないので、とかく無理をしがちです。そのため、バタッと急に倒れる危険性も高いのです。
まず1つは、「陽から陰」への流れ。古代の中国では、万物を「陽」と「陰」の2つに分けて、さまざまな現象をとらえてきました。この陰陽論は医学にも用いられ、漢方では、新陳代謝が活発に行われている状態を「陽」。一方、カラダ全体またはカラダの一部の新陳代謝が低下した状態を「陰」と考えています。
老化をこの陰陽論にあてはめると、若い頃のカラダが熱を発することができる「陽」の状態から、加齢によって、冷えて寒さに弱くなる「陰」の状態に向かうと言えます。
もう1つは、「実から虚」への流れです。一般的に、「実」は「体質が筋肉質でがっちり、積極的で疲れにくい、胃腸が丈夫」な状態を指し、他方、「痩せ型や水太り、消極的で疲れやすい、胃腸が弱い」状態を「虚」と言います。
これは、加齢によって、体質が「実」傾向から、体力がなくなり風邪をひきやすくなるなどの「虚」の状態に移行することを、老化ととらえる流れです。
特に女性の場合は、古くから「女性は虚になることで非常に冷えて、その冷えがカラダの中に積もり、気が滞り、いろいろな病気が起きる」(『金匱要略』より)として、「虚」と「陰」の状態が一緒になって、病気になりやすくなると言われています。
逆に男性は、女性に比べると病気に敏感ではないので、とかく無理をしがちです。そのため、バタッと急に倒れる危険性も高いのです。
「こまめな養生」とは
一般的には、20代後半から30代前半にかけて「陽」と「実」のピークを迎え、老化の2つの流れが齢を経るごとに進んでいきます。特に50代以降は「陰」と「虚」に向かう過程なので、この年代に見合ったカラダとココロの養生が必要になります。
ポイントは、こまめに、早め早めにケアする「こまめ+先手必勝養生」です。
ポイントは、こまめに、早め早めにケアする「こまめ+先手必勝養生」です。
これは人間にも当てはまりますので、こまめにエネルギー補給しないとすぐに底をついしまいますから、まずは「こまめな養生」が必要になります。
「先手必勝の養生」とは
さらに、50代以降は、老化の波の下降線がはっきりしている以上、現状を維持するだけでも、老化の波をなだらかにすることになります。例えば、免疫力が弱ってきている中で、風邪をひかないで暮らし続けるだけでも、実はプラスの効果があるのです。
別の言い方をすると、いったん風邪をひいてしまうと、こじれやすく、治りにくく、命取りになりかねない年代なので、風邪をひかないようにケアするだけでも、カラダへのダメージは軽減できるのです。
そこで、「こまめ」に加えて、「早め早め」にケアをすることが大事になります。例えば、風邪をひかないためには、日ごろから規則正しい生活を送るとともに、「風邪をひきそうだな」と察知したら、そのままにせずに、その段階で早めに寝床につき、いつもより十分な睡眠をとるようにしたり、胃腸にやさしい食事を意識的にとるなどして、本格的に風邪にかかってしまうことを防ぐのです。
「こまめなケア」に加え、こうした「先手必勝ケア」を心がけることで、「陰」や「虚」へと向かう老化の波は、だいぶなだらかになっていくことでしょう。
次回は、「陰」と「虚」への具体的な養生方法を紹介する予定です。
次回は、11月12日(木)更新予定です。
別の言い方をすると、いったん風邪をひいてしまうと、こじれやすく、治りにくく、命取りになりかねない年代なので、風邪をひかないようにケアするだけでも、カラダへのダメージは軽減できるのです。
そこで、「こまめ」に加えて、「早め早め」にケアをすることが大事になります。例えば、風邪をひかないためには、日ごろから規則正しい生活を送るとともに、「風邪をひきそうだな」と察知したら、そのままにせずに、その段階で早めに寝床につき、いつもより十分な睡眠をとるようにしたり、胃腸にやさしい食事を意識的にとるなどして、本格的に風邪にかかってしまうことを防ぐのです。
「こまめなケア」に加え、こうした「先手必勝ケア」を心がけることで、「陰」や「虚」へと向かう老化の波は、だいぶなだらかになっていくことでしょう。
次回は、「陰」と「虚」への具体的な養生方法を紹介する予定です。
次回は、11月12日(木)更新予定です。
(2009年10月22日)
- 木村容子先生のお勤め先
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東京女子医科大学 東洋医学研究所
〒114-0014
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TEL:03(6864)0821(代表) TEL:03(6864)0825(予約)
http://www.twmu.ac.jp/IOM/