第12回 血圧対策は温度差と夜更かしに注意
温度差が助長する血圧上昇
加齢とともに血管も老化し、血管が硬く(動脈硬化)なっていき、中高年になると脳梗塞や心筋梗塞が心配になってきます。動脈硬化を進ませないためには、日ごろから血圧をコントロールすることが大事になります。
特に、寒い冬場では、急な温度の変動によって血管がただでさえ収縮し、普段より血圧が高くなりやすくなっています。2000年に発表された日本高血圧学会の高血圧症治療ガイドラインでは、血圧の正常値が、最高血圧130mm/Hgかつ最低血圧85mm/Hg未満となっています。日頃から計測している血圧が、この基準より高い場合は、急激な温度差に対して要注意です。
室内外の温度差だけでなく、室内の部屋ごとの温度差にも注意を払う必要があります。暖房の利いた部屋と、廊下やトイレ、脱衣所、浴室とでは、10度以上もの温度差があることが多々あります。
例えばトイレに行く場合。まず暖房の利いた部屋から、寒い廊下を通って冷えたトイレに移動する過程で、寒さを感じた血管が収縮を始め、血圧が一気に上昇します。さらに排便の際に、いきんだりすると、血圧はさらに上昇します。
入浴の際も、暖かい部屋から浴室に移動する過程で、血圧が一気に上昇し、熱い湯船につかって温度差の刺激を受けると、一層血圧が上昇します。さらに悪いことに、しばらく湯につかっていると、今度は血管が拡張を始め、血圧は一気に下がっていきます。こうした血圧の乱高下は、心臓に一層負担をかけることになります。
特に、寒い冬場では、急な温度の変動によって血管がただでさえ収縮し、普段より血圧が高くなりやすくなっています。2000年に発表された日本高血圧学会の高血圧症治療ガイドラインでは、血圧の正常値が、最高血圧130mm/Hgかつ最低血圧85mm/Hg未満となっています。日頃から計測している血圧が、この基準より高い場合は、急激な温度差に対して要注意です。
室内外の温度差だけでなく、室内の部屋ごとの温度差にも注意を払う必要があります。暖房の利いた部屋と、廊下やトイレ、脱衣所、浴室とでは、10度以上もの温度差があることが多々あります。
例えばトイレに行く場合。まず暖房の利いた部屋から、寒い廊下を通って冷えたトイレに移動する過程で、寒さを感じた血管が収縮を始め、血圧が一気に上昇します。さらに排便の際に、いきんだりすると、血圧はさらに上昇します。
入浴の際も、暖かい部屋から浴室に移動する過程で、血圧が一気に上昇し、熱い湯船につかって温度差の刺激を受けると、一層血圧が上昇します。さらに悪いことに、しばらく湯につかっていると、今度は血管が拡張を始め、血圧は一気に下がっていきます。こうした血圧の乱高下は、心臓に一層負担をかけることになります。
トイレや脱衣所を暖かく
冬場の温度差から生じる血圧の上昇を避けるにあたっては、まずは、暖かい部屋から寒い場所に移動する際に、面倒でも重ね着をするなどして、暖かい格好をしましょう。
さらに、部屋ごとの温度差を小さくします。廊下やトイレ、脱衣所など冷気がこもる場所には小さな暖房器具を置くといいでしょう。また、浴室にも暖房機能がある場合もありますが、手軽なのは、入浴前に湯を張った浴槽のふたを開けたままにして、浴室を暖めておくことです。
なお、飲酒や食事の直後の入浴は避けてください。宴会に出席し、帰宅後すぐに熱いお風呂に入って温まりたい気分であっても、酔いが醒めてからにしましょう。また、急に寒いところに出て激しい運動をするときには、十分な準備体操をして体温を上げておくなどの注意が必要です。
夜更かし、塩分はほどほどに
寒い時期に限らず一年中、気にかけておいてほしいのは、心臓や血管を支配している自律神経の存在です。例えば、時差のある外国で開催されているスポーツイベント(オリンピックや世界選手権など)の翌日に来院される患者さんの血圧は、普段より10〜20mm/Hgは高くなっています。これは、夜遅くまで試合の中継を見ていたことによる睡眠不足が原因で自律神経の働きが乱れたことから生じたものです。
肥満や過度のストレスや飲酒、喫煙といった食や生活習慣も血圧を上げる要因といわれています。
中でも塩分については、日本高血圧学会が塩分の摂取量を1日6g以下に抑えるようすすめています。とはいえ、身の回りの食品の多くが塩分を多用しているため、摂取量をコントロールするのは、なかなか大変です。外食時には塩分の使用量が少ない料理を選択する。一般的に塩分を多用しがちな加工食品はなるべく避けて自炊する。自炊にあたっては、調理に使用する塩分の量を減らすように心がけましょう。
中高年になったら、不摂生な生活習慣を送らないように心がけ、何事も「ほどほど」がいいでしょう。
高血圧症になった場合、治療で最優先されるのは、適切な血圧まで下げることです。しかし漢方薬は、西洋薬よりも、確実に血圧を下げる効果は弱いです。漢方では、高血圧症に伴って生じる、頭痛やめまい、手足のしびれといった自覚症状を取り除いたり、自立神経のバランスをとることで、結果的に血圧を適切な値にするという手法をとります。
次回は、3月11日(木)更新予定です。
肥満や過度のストレスや飲酒、喫煙といった食や生活習慣も血圧を上げる要因といわれています。
中でも塩分については、日本高血圧学会が塩分の摂取量を1日6g以下に抑えるようすすめています。とはいえ、身の回りの食品の多くが塩分を多用しているため、摂取量をコントロールするのは、なかなか大変です。外食時には塩分の使用量が少ない料理を選択する。一般的に塩分を多用しがちな加工食品はなるべく避けて自炊する。自炊にあたっては、調理に使用する塩分の量を減らすように心がけましょう。
中高年になったら、不摂生な生活習慣を送らないように心がけ、何事も「ほどほど」がいいでしょう。
高血圧症になった場合、治療で最優先されるのは、適切な血圧まで下げることです。しかし漢方薬は、西洋薬よりも、確実に血圧を下げる効果は弱いです。漢方では、高血圧症に伴って生じる、頭痛やめまい、手足のしびれといった自覚症状を取り除いたり、自立神経のバランスをとることで、結果的に血圧を適切な値にするという手法をとります。
次回は、3月11日(木)更新予定です。
(2010年2月25日)
- 木村容子先生のお勤め先
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東京女子医科大学 東洋医学研究所
〒114-0014
東京都北区田端1-21-8 NSKビル3階
TEL:03(6864)0821(代表) TEL:03(6864)0825(予約)
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