第35回 「節電の夏」は温故知新で乗り切る
水分・塩分・栄養補給が基本
今夏は電力不足が心配されるため、節電を意識しながら過ごさなくてはならない状況です。ここ数年は、「クーラーによるカラダの冷え過ぎによる夏バテ対策」が主流でしたが、今年の夏バテ対策にあたっては、まずは従来からある夏バテ対策が参考になります。
そもそも「夏バテ」とは、
外気が暑い→発汗して体温を一定に保とうとする→脱水状態→水分補給→脱水状態の改善→外気が暑い→…
というサイクルを繰り返すなかで、
そもそも「夏バテ」とは、
外気が暑い→発汗して体温を一定に保とうとする→脱水状態→水分補給→脱水状態の改善→外気が暑い→…
というサイクルを繰り返すなかで、
(1) | 水分を必要以上にとってしまい、体内の塩分量が薄まる |
(2) | 食欲不振で栄養価の低い、さっぱりとした食事が多くなり、カロリーや栄養素が不足する |
(3) | 熱帯夜が続いて睡眠不足になる |
といった原因がいくつか重なって、だるさや疲れやすさなどを感じる状態のことです。
そのため、夏バテの基本的な対処法は、「水分」「塩分」「栄養」の3つの補給が基本となります。ただ、いずれの補給にあたっても、陥りがちな盲点があるので、要注意です。
そのため、夏バテの基本的な対処法は、「水分」「塩分」「栄養」の3つの補給が基本となります。ただ、いずれの補給にあたっても、陥りがちな盲点があるので、要注意です。
古典的な夏バテ対策に+αの養生を
まず、水分補給については、患者さんの中には、「毎日、緑茶やコーヒーを飲んでいるから大丈夫」とおっしゃる方がいますが、上記の「夏バテ・サイクル」の(1)を踏まえ、「塩分」の補給も忘れずに。
緑茶に梅干しを入れるといったひと工夫をお勧めします。また、水分の多い果物、スイカを食べるときに塩を一振りする習慣も、甘味が増す効果のほかに、夏バテ対策にとっても有効と言えます。
次に、「夏の栄養補給」といえば「ウナギ」といったイメージを持っている方も少なくないでしょう。万葉集の中でも確認できるウナギは、疲労回復に効果があるといわれるビタミンB1が豊富に含まれているので、夏バテのスタミナ補給には、本来はうってつけです。
しかし、胃腸が弱りだしている中高年のなかには、ウナギの脂分が消化にあたって負担になり、かえって疲れを助長する場合もあります。これは、ほかの食材にも言えることです。たとえば、ウナギと同様にビタミンB1を豊富に含む豚肉も、体調によっては胃腸に負担がかかるので、気を付けてください。
緑茶に梅干しを入れるといったひと工夫をお勧めします。また、水分の多い果物、スイカを食べるときに塩を一振りする習慣も、甘味が増す効果のほかに、夏バテ対策にとっても有効と言えます。
次に、「夏の栄養補給」といえば「ウナギ」といったイメージを持っている方も少なくないでしょう。万葉集の中でも確認できるウナギは、疲労回復に効果があるといわれるビタミンB1が豊富に含まれているので、夏バテのスタミナ補給には、本来はうってつけです。
しかし、胃腸が弱りだしている中高年のなかには、ウナギの脂分が消化にあたって負担になり、かえって疲れを助長する場合もあります。これは、ほかの食材にも言えることです。たとえば、ウナギと同様にビタミンB1を豊富に含む豚肉も、体調によっては胃腸に負担がかかるので、気を付けてください。
薬味を利用し1週間単位で温冷対策を
また、暑いなかで、冷やしそうめんや冷ややっこといった冷たい食べ物で涼をとりたくなるところですが、その場合の注意点としては、カラダを冷やしすぎないようにすることです。
いくら外気が暑くても、胃腸を冷やしすぎることは、カラダにとっては悪影響です。そんなときには、カラダを温める効果のある薬味を利用するといいでしょう。
冷やしそうめんや冷ややっこにショウガを添えたり、ネギやシソと一緒に食べるという日本食での習慣は、カラダの冷えすぎを防ぐという意味で、理にかなっています。
また、連日、冷たい食べ物が続いてしまった場合は、食生活を1週間単位で考え、たとえば週末には温かいスープや温麺を食べて、カラダのバランスを整えるようにすることもおススメです。
最後に、節電の夏だからといっても、命を危険にさらすような過度な節電はいけません。無駄な電力は出来る限り節電すべきですが、それも程度の問題です。節電も重要ですが、適度にクーラーを使いながら、第22回の「熱中症を予防する」の回を参考に、上手に夏を乗り切ってください。
次回は、8月18日(木)更新予定です。
いくら外気が暑くても、胃腸を冷やしすぎることは、カラダにとっては悪影響です。そんなときには、カラダを温める効果のある薬味を利用するといいでしょう。
冷やしそうめんや冷ややっこにショウガを添えたり、ネギやシソと一緒に食べるという日本食での習慣は、カラダの冷えすぎを防ぐという意味で、理にかなっています。
また、連日、冷たい食べ物が続いてしまった場合は、食生活を1週間単位で考え、たとえば週末には温かいスープや温麺を食べて、カラダのバランスを整えるようにすることもおススメです。
最後に、節電の夏だからといっても、命を危険にさらすような過度な節電はいけません。無駄な電力は出来る限り節電すべきですが、それも程度の問題です。節電も重要ですが、適度にクーラーを使いながら、第22回の「熱中症を予防する」の回を参考に、上手に夏を乗り切ってください。
次回は、8月18日(木)更新予定です。
(2011年7月21日)
- 木村容子先生のお勤め先
-
東京女子医科大学 東洋医学研究所
〒114-0014
東京都北区田端1-21-8 NSKビル3階
TEL:03(6864)0821(代表) TEL:03(6864)0825(予約)
http://www.twmu.ac.jp/IOM/
【木村先生の書籍が刊行されました】
タイトル:『女50歳からの「変調」を感じたら読む本』(静山社文庫)
定価:¥680(税込)