第29回 乾燥対策で改善するつらい咳
「燥」がもたらす咳
空気が乾燥(漢方でいう「燥」)する冬場は、咳が出やすくなります。漢方では、鼻や口から吸い込んだ乾いた空気が体内に入ると「肺」が侵されると考えます。肺とは、西洋医学でいう臓器の肺のことだけなく、その影響を受ける皮膚や鼻といった呼吸器系全般にかかわり、水分代謝にも関係しています。
乾燥した空気によって肺は傷つき、鼻や気管の機能は低下し、結果的に咳がでるようになるのです。
特に中高年は、ただでさえ加齢による老化によって、カラダが潤っている状態(潤)から乾燥している状態(燥)へと移行するため、冬の乾燥の影響を受けやすくなっています。「風邪をひいたわけでもないのに、ただただ咳がでる」――という症状で悩むケースが多いのです。
咳をすると腹筋も使い、カラダ全体がぐったりと疲れてしまい、つらいものです。また放っておくと、気管支炎や肺炎、ぜんそくといった肺の内部にまで影響を及ぼす危険性があるので、要注意です。
乾燥した空気によって肺は傷つき、鼻や気管の機能は低下し、結果的に咳がでるようになるのです。
特に中高年は、ただでさえ加齢による老化によって、カラダが潤っている状態(潤)から乾燥している状態(燥)へと移行するため、冬の乾燥の影響を受けやすくなっています。「風邪をひいたわけでもないのに、ただただ咳がでる」――という症状で悩むケースが多いのです。
咳をすると腹筋も使い、カラダ全体がぐったりと疲れてしまい、つらいものです。また放っておくと、気管支炎や肺炎、ぜんそくといった肺の内部にまで影響を及ぼす危険性があるので、要注意です。
空気や喉を乾燥させない
日常でできる予防策としては、まず室内に加湿器を設置し、空気をなるべく乾燥させないようにします。
また、発想の転換としては、空気自体の湿度アップをするのではなく、乾燥した空気の体内への入り口である気管を潤わせておくようにすることも有益です。喉を潤す程度で結構ですから、水分を取る回数を増やして、こまめに喉の乾燥を防ぎましょう。
また、朝晩に冷え込むこと(漢方でいう「寒」)で生じる温度差も肺を傷つけ、せきや痰、くしゃみや鼻水といった呼吸器系のトラブルが生じることになります。
家の中では、居間などの部屋と、廊下やトイレ、着替え場などの温度差をなるべく少なくしたり、就寝中と起床時も温度差をあまりつけないようにするなどの工夫が必要です。できれば、就寝中も、加湿器と暖房機をつけ、寝ている間に冷え込んだり、起きる時に寒さを感じすぎないようにするといいでしょう。
また、発想の転換としては、空気自体の湿度アップをするのではなく、乾燥した空気の体内への入り口である気管を潤わせておくようにすることも有益です。喉を潤す程度で結構ですから、水分を取る回数を増やして、こまめに喉の乾燥を防ぎましょう。
また、朝晩に冷え込むこと(漢方でいう「寒」)で生じる温度差も肺を傷つけ、せきや痰、くしゃみや鼻水といった呼吸器系のトラブルが生じることになります。
家の中では、居間などの部屋と、廊下やトイレ、着替え場などの温度差をなるべく少なくしたり、就寝中と起床時も温度差をあまりつけないようにするなどの工夫が必要です。できれば、就寝中も、加湿器と暖房機をつけ、寝ている間に冷え込んだり、起きる時に寒さを感じすぎないようにするといいでしょう。
辛み食材を適度に利用
食事によって乾いた空気や寒さで働きの弱った肺の動きを助けるには、適度な辛みを利用します。漢方では、五臓と味覚が密接に関係していると考え、肺は適度な辛みがその働きを補います。
辛みの食材には、ネギ、生姜、ワサビ、唐辛子などの薬味や香辛料のほか、大根、タマネギ、シソ、ニラなどが挙げられます。日本酒や焼酎、ウイスキーなどビール以外のアルコール類も辛みに分類されています。
辛みの食材以外でも肺の働きを補うものとしては、中国で「百果の長」と呼ばれ珍重されていた梨や、「赤くなると医者が青くなる」といわれる柿です。いずれものどの乾きを止め、乾燥による呼吸器系の働きを助ける役割があります。
また、梨の仲間であるカリンも、のど飴に使われているように、せき止めやぜんそくに効果があると言われています。
ただ、辛み食材を取りすぎると、肝臓を含めた漢方で言う「肝」を傷めます。また、梨類はカラダを冷やす性質があります。どんな食材でも、くれぐれも取り過ぎには注意です。
辛みの食材には、ネギ、生姜、ワサビ、唐辛子などの薬味や香辛料のほか、大根、タマネギ、シソ、ニラなどが挙げられます。日本酒や焼酎、ウイスキーなどビール以外のアルコール類も辛みに分類されています。
辛みの食材以外でも肺の働きを補うものとしては、中国で「百果の長」と呼ばれ珍重されていた梨や、「赤くなると医者が青くなる」といわれる柿です。いずれものどの乾きを止め、乾燥による呼吸器系の働きを助ける役割があります。
また、梨の仲間であるカリンも、のど飴に使われているように、せき止めやぜんそくに効果があると言われています。
ただ、辛み食材を取りすぎると、肝臓を含めた漢方で言う「肝」を傷めます。また、梨類はカラダを冷やす性質があります。どんな食材でも、くれぐれも取り過ぎには注意です。
便通を整えることも予防策
また、意外に思うかもしれませんが、日常生活において、便通を整えることも大事になってきます。
漢方では、「肺」と「大腸」は表裏の関係と考えます。たとえば、大腸が「燥」の状態にあると、便がコロコロと硬くなります。そのため、便秘に効く漢方薬の中には、肺にも効く生薬が配合されているものもあるように、両者はとても関係が深いのです。
便通を整えることが肺や呼吸器をケアすることになり、ひいては、咳を出さないための予防にもなります。
次回は、2月17日(木)更新予定です。
漢方では、「肺」と「大腸」は表裏の関係と考えます。たとえば、大腸が「燥」の状態にあると、便がコロコロと硬くなります。そのため、便秘に効く漢方薬の中には、肺にも効く生薬が配合されているものもあるように、両者はとても関係が深いのです。
便通を整えることが肺や呼吸器をケアすることになり、ひいては、咳を出さないための予防にもなります。
次回は、2月17日(木)更新予定です。
(2011年1月20日)
- 木村容子先生のお勤め先
-
東京女子医科大学 東洋医学研究所
〒114-0014
東京都北区田端1-21-8 NSKビル3階
TEL:03(6864)0821(代表) TEL:03(6864)0825(予約)
http://www.twmu.ac.jp/IOM/
【木村先生の書籍が刊行されました】
タイトル:『女35歳からの「キレイ」と「元気」の漢方医学』(三笠書房)
定価:¥630(税込)