第2回 自分のモノサシを持つ
他人との老化の差は「腎」の差
加齢に伴い、ご自身の体力や気力の衰えを自覚しだすと、とかく気になりがちなのは、他人の動向です。
最近、衆院選がありました。テレビでご自分と同じ年代の候補者が連日、炎天下で走り回ったりする姿を見て、「何であんなに元気なんだろう?!」と驚いたり、「自分もがんばらなくては!」と思いませんでしたか。また、同窓会に出席して、昔のクラスメートが妙に若々しく見えたり、ひるがえって、自分がすごく老け込んで見えるような場面に出くわしたことはありませんか。
このように、同年代であっても、自分と比べて健康面や見た目に差があるように見える理由には、漢方でいうところの「腎」の影響が大きいことが挙げられます。
「腎」は、漢方で内臓を指す五臓六腑の1つです。西洋医学の腎臓機能(心臓から送られてくる血液から余分なミネラルや老廃物をろ過して尿として排出する機能)のほか、カラダ全体を温めたり、水分代謝全体や生殖機能、歯や骨、呼吸など、その人が持って生まれた生命力(エネルギー)を蓄えています。
腎は、加齢に伴う老化に密接に関係していて、次の症状は、すべて腎の機能の衰えによって起る症状です。
顔色が悪い、皮膚にツヤがない、白髪が多い、頭がふらつく、眼がかすむ、眼が疲れる、眠りが浅い、夢を見ることが多い、動悸がある、不安を感じる、全身の倦怠感におそわれる、寒がりになる、足が冷える、すぐにトイレに行きたくなる、腰がだるい・痛い、口の中が渇く、耳が遠い、耳鳴りがする…。
最近、衆院選がありました。テレビでご自分と同じ年代の候補者が連日、炎天下で走り回ったりする姿を見て、「何であんなに元気なんだろう?!」と驚いたり、「自分もがんばらなくては!」と思いませんでしたか。また、同窓会に出席して、昔のクラスメートが妙に若々しく見えたり、ひるがえって、自分がすごく老け込んで見えるような場面に出くわしたことはありませんか。
このように、同年代であっても、自分と比べて健康面や見た目に差があるように見える理由には、漢方でいうところの「腎」の影響が大きいことが挙げられます。
「腎」は、漢方で内臓を指す五臓六腑の1つです。西洋医学の腎臓機能(心臓から送られてくる血液から余分なミネラルや老廃物をろ過して尿として排出する機能)のほか、カラダ全体を温めたり、水分代謝全体や生殖機能、歯や骨、呼吸など、その人が持って生まれた生命力(エネルギー)を蓄えています。
腎は、加齢に伴う老化に密接に関係していて、次の症状は、すべて腎の機能の衰えによって起る症状です。
顔色が悪い、皮膚にツヤがない、白髪が多い、頭がふらつく、眼がかすむ、眼が疲れる、眠りが浅い、夢を見ることが多い、動悸がある、不安を感じる、全身の倦怠感におそわれる、寒がりになる、足が冷える、すぐにトイレに行きたくなる、腰がだるい・痛い、口の中が渇く、耳が遠い、耳鳴りがする…。
若い頃に無理がきいた人こそ要注意
どちらのタイプであっても、適切な養生を施さないでいたら、老化の急な坂をころがるようなもの。腎は、親から受け継いだ生まれ持ったエネルギー、いわゆる「先天の気」を蓄えているので、どんな人でもその機能は年齢を重ねるごとに自然と減少していきます。
ただ、「先天の気」が弱い状態で生まれてきた方、いわゆる小さい頃から虚弱体質といわれてきた場合は、もともとのエネルギー・レベルが低いので、ほかの人と同じように行動していては、エネルギーがどんどんと低くなってしまいます。
このタイプの養生の基本は、もともと低い腎エネルギーを、無駄にすり減らして低くしないようにすることです。ちょっとした不調でもすぐにメンテナンスをするなど、ご自身のカラダの声により注意深くなる必要があります。
一方、生まれつき腎エネルギーが普通、または高い状態の人の場合は、徹夜で仕事するなどの無理がきき、回復力もあるので、寝不足だったり1食抜いたとしても特に問題がなく暮らしていけます。
しかし、これも30代まで。前回お話ししました「男性の8歳周期」や「女性の7歳周期」で老化があらわれる40歳以降も、それまでと同じ生活パターンを続けていたら、腎は確実に衰えていきます。
ましてや、それまでの間に無理を続けてきたことで、すでにエネルギーがかなり低くなっている可能性もあります。それに気付かずに、「無理がきく自分」の意識のままで行動をしていたら、腎エネルギーは急に枯渇へと向かいます。「昔は元気だったのに、急速に老け込んだ」と言われる人にありがちなパターンです。
腎エネルギーを自分でコントロール
他人と比較しがちな患者さんに対し、私は「ご自分自身のモノサシ」を持つように、とお話ししています。どんな時も意識すべきことは、「昨日と今日の自分の調子の違い」「若い頃と今との自分の生活パターンの違い」など、自分自身の「違い」です。
他人のことがうらやましくなったら、心の中でこうつぶやきましょう。
「私とは腎エネルギーが違うのだ」
と。
生まれたときに決まっていて、生活習慣の影響を受ける腎エネルギーは、ほかでもないご自分自身でしかコントロールできないのです。
具体的な腎の養生法については、次回ご紹介したいと思います。
次回は、10月8日(木)更新予定です。
(2009年9月24日)
- 木村容子先生のお勤め先
-
東京女子医科大学 東洋医学研究所
〒114-0014
東京都北区田端1-21-8 NSKビル3階
TEL:03(6864)0821(代表) TEL:03(6864)0825(予約)
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