センサーマットを使っていることを利用者に伝える?
先日、センサーマットを使用している利用者に「何で起きたのがわかるの?」と聞かれました。センサーマットを使っていることを利用者に伝えると、自分でどかしてしまったり、認知症のある場合は具体的に説明して不安にさせるよりは説明しなくてもと思っていました。
しっかりと利用者に伝えたほうがいいのでしょうか?
伝えないことは「抑制的な使用に流れやすい状況」
以前、同じくセンサーマットについて、センサーマットは抑制か否か?というご質問に対して『機器の形/機能ではなく、あくまでその機器を何のためにどのような目的のために使おうというのか?介護者側の意図が問題である』とお答えしたことがあります
ご質問者のケースにおいて、センサーマットを使用している「意図や目的」が不明確なので、回答が不十分な面もあるかもしれませんが、ご容赦ください。
福祉用具というものは、あくまでも「抑制」ではなく「自立・自律支援」のために使っていただきたいと思います。本人と介護者が「一緒に」その機器を使いながら、自立・自律の方向を目指します。どの福祉用具であっても、その使用の事実を本人に隠すことは、(1)もっとも基本的な信頼関係ができていないということであり、(2)「本人にバレては都合が悪い」という思いが職員側にあるということです。
この2点でもって、ご質問のケースにおけるセンサーマットの使用が「抑制である」と断定はできませんが、少なくとも「抑制的な使用に流れやすい状況である」といえると思います。
ですから「センサーマットを使用していること」「センサーマットを使用する理由」をきちんと本人に伝えたほうがよいと思います。
「理由」が「あなたをいつでもベッドに寝かしつけるため」という「抑制的な利用目的」では説明しようにもできませんが、『あなたがトイレに行こうと思ったり車椅子に移ろうと思った時には私たちがお手伝いできるようにいつでもナースコールを押してくださいってお願いしているけど、気持ちが焦ってしまうのかいつもナースコールを忘れちゃうようだから、これ、敷いておきますね』と説明した上で、ナースコールを押さずにセンサーが働いてしまうたびに、『あれ〜またナースコール忘れちゃったね、今度は押してね』とお願いすること、そんな対応をおすすめします。
介護現場で行われ得る「抑制/拘束」は、あくまで「安全確保のため」が理由です(悪意を持った抑制/拘束は、もはや傷害犯罪です。もっとも抑制/拘束的な手段による安全確保は、方法としてはきわめて安易に過ぎ弊害もきわめて大きいものですが)。
センサーマットの使用を本人に説明すると、ご質問にもあるように「本人がセンサーマットをどかしてしまう」、結果として「転倒して怪我をする」など本人にとって安全が確保しきれない状況が発生するかもしれません。「センサーマットをどかせないよう床に固定してしまう」では、やはりこれは拘束です。そこで、「きちんとナースコールを使ってくれるようにとの説明」とともに「センサーマットを使用する理由の説明」も根気強く行わなければなりません。
また、そうこうしているうちに転んでしまうかもしれないということならば、そういう状況をきちんとご家族にも事前に説明しておかなければなりません。たとえご家族が「安全確保のために本人に隠して使ってくれ」と要求されても、『当施設は生活支援介護施設ですから、それは法律上も理念上もできません』と毅然と答え、真摯に説明することです。それでご家族が「けがをしたらどうするんだ!」と怒り出したら、管理者が対応することです。そして実際にアクシデントを防ぐべく、(センサーマットの使用に限らず)さまざまな対策を行うこと。そうした場面を通して、介護サービスの質が高まり、本人やご家族との信頼関係が築かれていくのだと思います。
「センサーマットを使っていることを、隠しごまかしながらいく」ことに比べたら、ずっと大変で面倒ですね。でもその作業は、質問者の介護という仕事へのプライドと自信を高めていくものになると、確信します。
(回答者:大渕哲也)
ご質問者のケースにおいて、センサーマットを使用している「意図や目的」が不明確なので、回答が不十分な面もあるかもしれませんが、ご容赦ください。
福祉用具というものは、あくまでも「抑制」ではなく「自立・自律支援」のために使っていただきたいと思います。本人と介護者が「一緒に」その機器を使いながら、自立・自律の方向を目指します。どの福祉用具であっても、その使用の事実を本人に隠すことは、(1)もっとも基本的な信頼関係ができていないということであり、(2)「本人にバレては都合が悪い」という思いが職員側にあるということです。
この2点でもって、ご質問のケースにおけるセンサーマットの使用が「抑制である」と断定はできませんが、少なくとも「抑制的な使用に流れやすい状況である」といえると思います。
ですから「センサーマットを使用していること」「センサーマットを使用する理由」をきちんと本人に伝えたほうがよいと思います。
「理由」が「あなたをいつでもベッドに寝かしつけるため」という「抑制的な利用目的」では説明しようにもできませんが、『あなたがトイレに行こうと思ったり車椅子に移ろうと思った時には私たちがお手伝いできるようにいつでもナースコールを押してくださいってお願いしているけど、気持ちが焦ってしまうのかいつもナースコールを忘れちゃうようだから、これ、敷いておきますね』と説明した上で、ナースコールを押さずにセンサーが働いてしまうたびに、『あれ〜またナースコール忘れちゃったね、今度は押してね』とお願いすること、そんな対応をおすすめします。
介護現場で行われ得る「抑制/拘束」は、あくまで「安全確保のため」が理由です(悪意を持った抑制/拘束は、もはや傷害犯罪です。もっとも抑制/拘束的な手段による安全確保は、方法としてはきわめて安易に過ぎ弊害もきわめて大きいものですが)。
センサーマットの使用を本人に説明すると、ご質問にもあるように「本人がセンサーマットをどかしてしまう」、結果として「転倒して怪我をする」など本人にとって安全が確保しきれない状況が発生するかもしれません。「センサーマットをどかせないよう床に固定してしまう」では、やはりこれは拘束です。そこで、「きちんとナースコールを使ってくれるようにとの説明」とともに「センサーマットを使用する理由の説明」も根気強く行わなければなりません。
また、そうこうしているうちに転んでしまうかもしれないということならば、そういう状況をきちんとご家族にも事前に説明しておかなければなりません。たとえご家族が「安全確保のために本人に隠して使ってくれ」と要求されても、『当施設は生活支援介護施設ですから、それは法律上も理念上もできません』と毅然と答え、真摯に説明することです。それでご家族が「けがをしたらどうするんだ!」と怒り出したら、管理者が対応することです。そして実際にアクシデントを防ぐべく、(センサーマットの使用に限らず)さまざまな対策を行うこと。そうした場面を通して、介護サービスの質が高まり、本人やご家族との信頼関係が築かれていくのだと思います。
「センサーマットを使っていることを、隠しごまかしながらいく」ことに比べたら、ずっと大変で面倒ですね。でもその作業は、質問者の介護という仕事へのプライドと自信を高めていくものになると、確信します。
(回答者:大渕哲也)