有料老人ホームでのたんの吸引は?
たんの吸引は、本人の同意があれば、在宅介護時に介護職が行っても容認するとなっていますが(平成17年3月24日通知「在宅におけるALS以外の療養患者・障害者に対するたんの吸引の取扱いについて」より)、有料老人ホーム等で行うことは、容認されているのでしょうか。また、教育の範囲はどのような行為をさすのでしょうか。医療職の座学、機器実習が必要なのか、または看護師による機器の説明、実地方法の説明でよいのでしょうか。
適切な教育を受けて、実施します
有料老人ホームやグループホームなど、その方の生活の場であるところにおいては、施設であっても在宅の場ととらえられるので、該当すると考えることはできると思います(厚生労働省では明確な通達は出されていません)。
教育の範囲については、「入院先の医師や患者・障害者のかかりつけ医及び訪問看護職員は、家族以外の者に対して、疾患、障害やたんの吸引に関する必要な知識を習得させるとともに、当該患者・障害者についてのたんの吸引方法についての指導を行う。」と通知に明記されています。ですから、一般的な呼吸器系を中心とした解剖生理や、その利用者がもつ病気や障害、たんの吸引(吸引器の原理や吸引以外の排たん法など)といった基本的知識に加え、「その利用者の」吸引の手技という個別的な技術の習得になるかと思います。
実際には、必要な知識を座学で習得した後、一般的な吸引の手技を実習し、最終的に利用者のところで実技を行い、指導する医師や看護師の見極めを受けて一人で実施できるというかたちになるでしょう(ある都立病院では、訪問介護での吸引に際し、4週間かけて8回の研修(1回1時間20分程度)を実施しているとの報告があります)。
ここで重要なのは、「個別性」です。利用者の疾病や障害により、身体状況や器具の違いがあるため、ある利用者に適用できた吸引の知識や方法が他の利用者にも適用できるとは限りません。ですから、ヘルパーのAさんが利用者のGさんの吸引をしていても、利用者のHさんの吸引を実施する際は、改めてHさんの吸引について医療者から指導を受ける必要があることを忘れないようにしましょう。
(回答者:中村淳子)
教育の範囲については、「入院先の医師や患者・障害者のかかりつけ医及び訪問看護職員は、家族以外の者に対して、疾患、障害やたんの吸引に関する必要な知識を習得させるとともに、当該患者・障害者についてのたんの吸引方法についての指導を行う。」と通知に明記されています。ですから、一般的な呼吸器系を中心とした解剖生理や、その利用者がもつ病気や障害、たんの吸引(吸引器の原理や吸引以外の排たん法など)といった基本的知識に加え、「その利用者の」吸引の手技という個別的な技術の習得になるかと思います。
実際には、必要な知識を座学で習得した後、一般的な吸引の手技を実習し、最終的に利用者のところで実技を行い、指導する医師や看護師の見極めを受けて一人で実施できるというかたちになるでしょう(ある都立病院では、訪問介護での吸引に際し、4週間かけて8回の研修(1回1時間20分程度)を実施しているとの報告があります)。
ここで重要なのは、「個別性」です。利用者の疾病や障害により、身体状況や器具の違いがあるため、ある利用者に適用できた吸引の知識や方法が他の利用者にも適用できるとは限りません。ですから、ヘルパーのAさんが利用者のGさんの吸引をしていても、利用者のHさんの吸引を実施する際は、改めてHさんの吸引について医療者から指導を受ける必要があることを忘れないようにしましょう。
(回答者:中村淳子)