障害者自立支援法から介護保険制度への移行について
現在、ある障害者(女性、64歳)のホームヘルプサービスをしていますが、彼女は「65歳になったら介護保険サービスが優先されるので、現在のサービス(ホームヘルプ週1回と障害者デイ週5回)は利用できない」と言われ、戸惑っています。自身は現在のサービスを利用し続けたいという思いがありますが、65歳以上になっても継続できる方法はありませんか?
原則、介護保険サービスが優先。ただし障害者固有のサービスなどは継続可能
介護保険制度と障害者施策との適用関係については、2000年3月24日に発出された通知(障企第16号・障障第8号)に基づき判断されています。通知では、原則として介護保険施策からのサービスが優先されるものの、介護保険の保険給付にはないサービスや、介護保険だけでは対応できないサービスについては、引き続き障害者施策からのサービスが提供されることとしています。
障害者デイサービスにおいても、「創作的活動」や「社会適応訓練」などの障害者固有のサービスを受ける65歳未満の障害者が、65歳以降も引き続き同事業の利用を希望する際には、利用を認めても差し支えないと明記しています。
そのため、ご質問の利用者においても、週5回利用されている障害者デイサービスでどのような支援をうけているのか、その内容が問われることになります。仮に当該デイサービスから障害者固有の支援を提供されており、利用者がその継続を望んでいるのであれば、65歳以降もサービス利用継続の可能性はあります。
障害者デイサービス事業は、2006年度にスタートした障害者自立支援法によって、5年間の経過措置期間を経て、地域活動支援センター事業に順次移行することになっています。そのため当該障害者デイサービスは、遅くとも2011年度末には地域活動支援センター事業に移行する(あるいはすでに移行した)ものと思われます。地域活動支援センター事業は、市町村がその支援内容等を任意に決定する市町村地域生活支援事業として提供されますので、提供サービスの内容と利用者像、65歳以降の利用可能性と支給決定基準、利用者負担など、原則として市町村の裁量で柔軟に対応することが可能です。
これらのことも含め、「利用できないもの」とあきらめる前に、当該市町村としっかりと相談されることをお勧めします。
なお現在、障害者自立支援法は2013年8月までに廃止し、その後に障害者総合福祉法を制定する準備が進められています。新しい障害者総合福祉法の内容を審議している「障がい者制度改革推進会議総合福祉部会」が2011年8月30日にとりまとめた「障害者総合福祉法の骨格に関する総合福祉分会の提言」では、「介護保険対象年齢になった後でも、従来から受けていた支援を原則として継続して受けることができる」ことを明記しています。仮に、当該市町村が障害者施策の継続利用を認めない場合でも、国の障害者福祉制度改革の方向性を示しつつ、当事者のねがいや希望に寄り添った支給決定を行っていくことの大切さを訴えていくことは、将来の制度運用にとっても大切な作業といえます。
(回答:塩見洋介)
障害者デイサービスにおいても、「創作的活動」や「社会適応訓練」などの障害者固有のサービスを受ける65歳未満の障害者が、65歳以降も引き続き同事業の利用を希望する際には、利用を認めても差し支えないと明記しています。
そのため、ご質問の利用者においても、週5回利用されている障害者デイサービスでどのような支援をうけているのか、その内容が問われることになります。仮に当該デイサービスから障害者固有の支援を提供されており、利用者がその継続を望んでいるのであれば、65歳以降もサービス利用継続の可能性はあります。
障害者デイサービス事業は、2006年度にスタートした障害者自立支援法によって、5年間の経過措置期間を経て、地域活動支援センター事業に順次移行することになっています。そのため当該障害者デイサービスは、遅くとも2011年度末には地域活動支援センター事業に移行する(あるいはすでに移行した)ものと思われます。地域活動支援センター事業は、市町村がその支援内容等を任意に決定する市町村地域生活支援事業として提供されますので、提供サービスの内容と利用者像、65歳以降の利用可能性と支給決定基準、利用者負担など、原則として市町村の裁量で柔軟に対応することが可能です。
これらのことも含め、「利用できないもの」とあきらめる前に、当該市町村としっかりと相談されることをお勧めします。
なお現在、障害者自立支援法は2013年8月までに廃止し、その後に障害者総合福祉法を制定する準備が進められています。新しい障害者総合福祉法の内容を審議している「障がい者制度改革推進会議総合福祉部会」が2011年8月30日にとりまとめた「障害者総合福祉法の骨格に関する総合福祉分会の提言」では、「介護保険対象年齢になった後でも、従来から受けていた支援を原則として継続して受けることができる」ことを明記しています。仮に、当該市町村が障害者施策の継続利用を認めない場合でも、国の障害者福祉制度改革の方向性を示しつつ、当事者のねがいや希望に寄り添った支給決定を行っていくことの大切さを訴えていくことは、将来の制度運用にとっても大切な作業といえます。
(回答:塩見洋介)
介護保険制度と障害者施策との適用関係等について(抜粋)
平成12年3月24日
1.介護保険制度と障害者施策との適用関係の基本的な考え方について
(2)デイサービス(通所介護)
[1]適用・給付関係について
デイサービスについては、65歳以上(特定疾病による場合は、40歳以上65歳未満)の障害者が、要介護又は要支援の状態となった場合は、要介護等認定を受け、介護保険の保険給付としてデイサービスを受けることとなる。
ただし、障害者施策で行われている身体障害者デイサービス事業にあっては創作的活動及び社会適応訓練、知的障害者デイサービス事業にあっては文化的活動及び社会適応訓練といった障害者に固有のサービスを提供していることから、例えば、加齢に伴う特定疾病による障害を有する40歳以上65歳未満の障害者や65歳以前から引き続いて障害者施策で実施されているデイサービスを受ける者等が、こうしたサービスを希望し、これらの固有のサービスの提供が必要であると認められる場合には、当該サービスにおいて給食や入浴といった介護保険の通所介護(デイサービス)と共通する部分があったとしても、社会適応訓練等と給食等を一体として障害者デイサービスとして利用を認めても差し支えない。ただし、介護保険の通所介護(デイサービス)と障害者デイサービスを併せて利用する場合には、障害者デイサービスの提供に当たっては、介護保険の通所介護(デイサービス)の利用実績も考慮の上、障害者デイサービスの提供の必要性や内容の決定を行われたい。
なお、平成12年度から実施することとしている訪問入浴サービスについては、障害者施策と介護保険とで共通するサービスであるため、介護保険の保険給付が優先されることとなる。