おむつ交換を拒否する利用者
医療療養型病院の利用者(80歳、女性。寝たきりでおむつ使用。肺気腫で酸素を使用。糖尿病)は最近、尿漏れが激しく、とてもにおいが強くて困っています。着替えや清拭を促しても「自分でする」と、介助させてくれません。同室の利用者からも苦情が出ています。失禁しない状態に整えることが優先
まずは、尿失禁と便失禁が、それぞれ身体の問題で改善できるものなのかどうか、排泄障害のタイプを判断する必要があります。改善できるものは改善して、失禁しない状態に整えることが優先です。
本人が失禁を認めたくない場合、「糖尿病の関係で、尿や便に問題が出る可能性があるので、治療を検討しましょう」など、本人が認識している病気や問題からアプローチすると、抵抗感を少なくできるかもしれません。
尿については、大きく分けて、ためられずに漏れるタイプと、出しにくくて溢れて漏れるタイプがあります。そこで、排尿日誌1)をつけて泌尿器科を受診し、診断・治療してもらうとよいでしょう。
正常な排尿回数は1日に7回以下で、それ以上は頻尿です。頻尿で、1回の量が150ml未満のことが多く、時間がかったり、勢いが弱い場合は、糖尿病などの影響で、排尿しても尿を出し切れずに残っているものが、知らないうちに溢れて漏れている可能性も考えられます。このような場合は、尿路感染や腎不全を招く可能性があるので、泌尿器科受診を積極的に検討したほうがよいでしょう。血糖値のコントロールが不良な場合は、血糖コントロールも大切です。
これらの結果、漏れが改善しない場合、本人が受け入れられるならば、軽失禁用パッドの使用はできないでしょうか。
女性の場合、生理用ナプキンと同じような大きさである軽失禁用パッドをいつもの下着につけるのであれば、本人が受け入れられる場合もあります。漏れる量を重さで量り(1g≒1ml)、漏れ量と交換頻度に合わせた試供品をメーカーに依頼して渡すのも方法です。
便については、排便日誌2)をつけましょう。
便の形はブリストル便形状スコア3)で何番がどのくらいの量出ているでしょうか? 排便周期は何日おきですか? 下痢(ブリストル便形状スコアの6〜7番)で便失禁しているならば、下痢の原因をつきとめて治療する必要があります。
下剤を飲んで下痢や便失禁をしているならば、その下剤の使い方は不適切と考えます。
肛門の締まりが不十分で便が漏れてしまうかどうかは、肛門を触って締めたり弛めたりしてもらうとわかりますが、この利用者の場合は見せていただくことは難しそうですね。
重いお産を経験していると、肛門の筋肉が傷ついていて、気がつかないうちに便失禁してしまう人もいますので、お産の経験を訊いてみるのも方法です。
この場合、根本的な治療は難しいので、便性を固めて定期的に出すことが必要です。医師や看護師に直腸診をしていただいて、直腸に便があるようならば、肺気腫のためうまく息めずに、全部出し切れないために漏れている可能性も考えられます。その場合、まずは、直腸内の便を出し切らないと漏れてしまいます。
次に、漏らさずすっきり出し切れるように、食事や薬で便の硬さを調整します。
もうひとつは、息みやすい前屈みの姿勢で排便できるように、前につかむものを用意するなどの環境の工夫をします。
裸を見られる着替えや清拭は羞恥心を伴うので、できれば介助を受けたくない気持ちは当然のことと思います。しっかりしている人であれば、なおさら失禁しているなど受け入れられないことでしょう。
自立していたいと考えている人にとって、できないことを突きつけられるのはとてもつらいことです。着替えやシーツ交換は、本人に気づかせずにさりげなくできるとよいでしょう。
入浴中にきれいな服に取り換えたり、本人が部屋を離れている時間を作って、その間にシーツ交換をするなどです。
酸素を使用していても、シャワー浴にしたり、売店に買い物に行く、面会は化粧をして喫茶室でするなど、その人の個性に合わせてさまざまな工夫ができるのではないかと思います。
生活歴やどんなことが好きなのかなど情報収集をして、その人にとって心地よいと感じられるケアを提供してあげてください。
本人が失禁を認めたくない場合、「糖尿病の関係で、尿や便に問題が出る可能性があるので、治療を検討しましょう」など、本人が認識している病気や問題からアプローチすると、抵抗感を少なくできるかもしれません。
尿については、大きく分けて、ためられずに漏れるタイプと、出しにくくて溢れて漏れるタイプがあります。そこで、排尿日誌1)をつけて泌尿器科を受診し、診断・治療してもらうとよいでしょう。
正常な排尿回数は1日に7回以下で、それ以上は頻尿です。頻尿で、1回の量が150ml未満のことが多く、時間がかったり、勢いが弱い場合は、糖尿病などの影響で、排尿しても尿を出し切れずに残っているものが、知らないうちに溢れて漏れている可能性も考えられます。このような場合は、尿路感染や腎不全を招く可能性があるので、泌尿器科受診を積極的に検討したほうがよいでしょう。血糖値のコントロールが不良な場合は、血糖コントロールも大切です。
これらの結果、漏れが改善しない場合、本人が受け入れられるならば、軽失禁用パッドの使用はできないでしょうか。
女性の場合、生理用ナプキンと同じような大きさである軽失禁用パッドをいつもの下着につけるのであれば、本人が受け入れられる場合もあります。漏れる量を重さで量り(1g≒1ml)、漏れ量と交換頻度に合わせた試供品をメーカーに依頼して渡すのも方法です。
便については、排便日誌2)をつけましょう。
便の形はブリストル便形状スコア3)で何番がどのくらいの量出ているでしょうか? 排便周期は何日おきですか? 下痢(ブリストル便形状スコアの6〜7番)で便失禁しているならば、下痢の原因をつきとめて治療する必要があります。
下剤を飲んで下痢や便失禁をしているならば、その下剤の使い方は不適切と考えます。
肛門の締まりが不十分で便が漏れてしまうかどうかは、肛門を触って締めたり弛めたりしてもらうとわかりますが、この利用者の場合は見せていただくことは難しそうですね。
重いお産を経験していると、肛門の筋肉が傷ついていて、気がつかないうちに便失禁してしまう人もいますので、お産の経験を訊いてみるのも方法です。
この場合、根本的な治療は難しいので、便性を固めて定期的に出すことが必要です。医師や看護師に直腸診をしていただいて、直腸に便があるようならば、肺気腫のためうまく息めずに、全部出し切れないために漏れている可能性も考えられます。その場合、まずは、直腸内の便を出し切らないと漏れてしまいます。
次に、漏らさずすっきり出し切れるように、食事や薬で便の硬さを調整します。
もうひとつは、息みやすい前屈みの姿勢で排便できるように、前につかむものを用意するなどの環境の工夫をします。
裸を見られる着替えや清拭は羞恥心を伴うので、できれば介助を受けたくない気持ちは当然のことと思います。しっかりしている人であれば、なおさら失禁しているなど受け入れられないことでしょう。
自立していたいと考えている人にとって、できないことを突きつけられるのはとてもつらいことです。着替えやシーツ交換は、本人に気づかせずにさりげなくできるとよいでしょう。
入浴中にきれいな服に取り換えたり、本人が部屋を離れている時間を作って、その間にシーツ交換をするなどです。
酸素を使用していても、シャワー浴にしたり、売店に買い物に行く、面会は化粧をして喫茶室でするなど、その人の個性に合わせてさまざまな工夫ができるのではないかと思います。
生活歴やどんなことが好きなのかなど情報収集をして、その人にとって心地よいと感じられるケアを提供してあげてください。
(回答者:高崎良子)