ご質問を読んで、いろいろな疑問が浮かんできました。中でも男性入居者は、女性職員がていねいな対応をすると抵抗なく応じるのに、なぜ相手があなただと応じないのか。施設長はなぜ女性職員ではなく、あえて男性職員であるあなたの責任だといい、罰にまで言及するのかということです。「なぜ」という疑問に答えを出していくことが、解決への糸口になると思われます。
　男性入居者は、単に男性より女性の職員にケアしてほしいのでしょうか。それとも、男性職員の髭剃りで痛い思いをした、あるいはあなたとの相性があまり良くないといったことがあるのでしょうか。刃物をもってのケアです。安心できる相手がやってくれなくては嫌だという思いはあるでしょう。
　施設長があえてあなたに強い要求を突きつけたのには、それなりの理由がありそうな気がします。ここからは想定ですが、あなたが入居者ともっと積極的な関係を作っていくことを求めているのではないでしょうか。
　即髭剃りをしようと働きかけても、その利用者が応じるとは思えません。もう一度ケースファイルに目を通し、その方についての情報を頭に入れましょう。利用者自身、利用者の人生に関心をもってください。そこから会話の糸口を見つけて、まずは気楽におしゃべりできる、冗談のひとつもいえる関係を築くことです。その上で「髭剃りさせてくださいよ」と言えば、きっと反応は違ってくるでしょう。その頃には、あなたの髭が少々伸びているかもしれませんが…。
　どうしても自分の無精ひげは嫌ということならば、男性入居者との関係づくりができるまで、髭剃りを女性職員にお願いし、その代わり女性職員の相応分の仕事を引き受けてはいかがでしょう。もちろん、あなたの意図をきちんと施設長に話して了解を得る必要があります。
（回答者：荒木乳根子）