褥瘡へのタッピングは適切?
特養勤務2年の介護士です。施設内の褥瘡予防委員会で「褥瘡・発赤に対して、患部をタッピングすると血行が良くなる」との報告があり、現場でも実践しています。しかしWEBなどで調べると、皮膚組織を破壊するので禁忌という意見が多数を占める一方、推奨する文献もみられます。一体どちらが正しいのでしょうか?
褥瘡部分へのタッピングは避けたほうが無難
褥瘡の予防や治療目的での「マッサージ」は禁忌とされていますが、「タッピング」についてのエビデンスは明確になっていません。
日本褥瘡学会は、「褥瘡予防・管理ガイドライン」で、「骨突起部に対するマッサージは一般的に行わない。特に、力強いマッサージは行わないことが強く勧められる。:推奨度A」1)としています。予防的なマッサージでは、皮膚温や皮下血流量を改善するとの報告もありますが、褥瘡は深部の血流が不可逆的に阻害された状態であり、摩擦やずれを引き起こすことのほうが問題であるためです。
またタッピングは、マッサージに比べると摩擦やずれが少ないですが、準じるものと考えられます。組織を損傷する恐れがありますので、少なくとも褥瘡部位に実施することは避けたほうがよいでしょう。なお、消失しない発赤はすでに褥瘡です。ウサギの実験では、タッピング後、可逆的発赤は血流が亢進しましたが、不可逆的発赤は血流の回復が遅れたと報告されています。2)
物理的な刺激を加えることよりも、患部への圧迫や摩擦、ずれなどの物理的刺激を常に回避することが重要です。具体的には、体圧分散寝具(除圧効果のあるマットレス)の使用、効果的なポジショニング(体位の整え)や体位変換などが考えられます。
(回答者:高崎良子)
日本褥瘡学会は、「褥瘡予防・管理ガイドライン」で、「骨突起部に対するマッサージは一般的に行わない。特に、力強いマッサージは行わないことが強く勧められる。:推奨度A」1)としています。予防的なマッサージでは、皮膚温や皮下血流量を改善するとの報告もありますが、褥瘡は深部の血流が不可逆的に阻害された状態であり、摩擦やずれを引き起こすことのほうが問題であるためです。
またタッピングは、マッサージに比べると摩擦やずれが少ないですが、準じるものと考えられます。組織を損傷する恐れがありますので、少なくとも褥瘡部位に実施することは避けたほうがよいでしょう。なお、消失しない発赤はすでに褥瘡です。ウサギの実験では、タッピング後、可逆的発赤は血流が亢進しましたが、不可逆的発赤は血流の回復が遅れたと報告されています。2)
物理的な刺激を加えることよりも、患部への圧迫や摩擦、ずれなどの物理的刺激を常に回避することが重要です。具体的には、体圧分散寝具(除圧効果のあるマットレス)の使用、効果的なポジショニング(体位の整え)や体位変換などが考えられます。
(回答者:高崎良子)
参考文献
1)日本褥瘡学会:褥瘡予防・管理ガイドライン,照林社:62,20092)新妻 淳子,赤居 正美:振動(tapping)刺激は褥瘡辺縁部位の血流回復に寄与するか,日本褥瘡学会誌,6(3):444,2004