施設でセンター方式を利用するには?
特別養護老人ホームでケアマネジャーを務めています。最近は私たちの施設でも周辺症状の激しい認知症の利用者が増え、認知症ケアのあり方を見直さなければならないと考えています。そこで、昨年からアセスメントにセンター方式を導入しましたが、職員のための教育ツールとしては適しているものの、どうやってケアプランに結びつけるかという点で苦労しています。センター方式からケアプランにつなぐためのコツについて教えてください。ケアマネジャーがまとめ役を担う
施設現場を中心に、ケアプラン作成のためのアセスメントとしてセンター方式を使うケースが増えてきました。本来センター方式は、トータルで16枚あるシートに沿って利用者を知ることにより、本人の思いやそこから見えてくる課題を導き、課題に応えるための具体的な支援内容を引き出すことができる仕組みになっています。つまり、センター方式をきちんとこなしていけば、そのままケアプランへと自然につなげることができるわけです。
しかしながら、シート数が多いことと、認知症の利用者をどう理解するかについて深い洞察力が求められることから、現場経験の浅い職員にとっては、シートを記入する過程で息切れしてしまう光景が見られます。
また、利用者の思いをどうとらえるかという部分において、その人と接する職員によってとらえ方が異なるケースが多々発生します。担当者によって、利用者の思いへのとらえ方が変わるのはある意味当然です。それぞれの異なるとらえ方を持ち寄り、その根拠を明らかにすることが大切になるわけです。
とはいえ、現場業務が多忙になり、すり合わせの機会がなかなか持てないということになると、ケアプランに落とし込むのは決して簡単なことではありません。
結局、16枚のうちから、利用者の思いや「している」生活を描き出すためのシート(C-1-2やD-1、D-2シート、利用者の24時間を描き出すEシートなど)をピックアップし、とりあえず現場職員の感性を鍛えることが当面の目的になってしまいがちです。
もちろん、ケアプランの質を向上させるために、現場の感性を底上げすることはそれなりに必要です。大切なのは、多忙な中でも「皆が現場で気づいたこと」を持ち寄ることができるよう、カンファレンス以外の機会をできるだけ設けるようにすることです。
ここでケアマネジャーの役割が重要になります。まず、(1)多くの現場職員が集まれる機会を設けられるようシフト調整を行なう。(2)A・Bシートのように生活相談員など介護職以外の専門職が集められる情報について、ケアマネジャーがその収集を手配する。もう一つは、(3)なかなか全員が集まって意見交換ができない場合に、ケアマネジャーが現場をラウンドしつつ、意識的に個々の職員からヒアリングを重ねるということです。
(3)においてある程度の情報が収集できていれば、それを取りまとめたうえで、皆が集まれる機会に提示することができます。それを叩き台とすることで、活発な意見交換を促すことができれば、少ない時間であっても皆の見解をすり合わせる効果は高まるでしょう。
このすり合わせさえきっちり行なうことができれば、後は各居室担当者がすり合わせた情報をもとにEシートを記入し、「課題」と「支援内容」を明らかにしたうえで長期・短期の目標を設定するところまで進めます。ここまでできれば、初回だけケアマネジャーがケアプランへと落とし込み、更新の際に居室担当者が加筆・修正を行なっていけばいいでしょう。いずれ担当者のレベルが上がってきたところで、ケアプラン原案をつくるという部分まで手がけてもらうようにします。
(回答者:田中元)
しかしながら、シート数が多いことと、認知症の利用者をどう理解するかについて深い洞察力が求められることから、現場経験の浅い職員にとっては、シートを記入する過程で息切れしてしまう光景が見られます。
また、利用者の思いをどうとらえるかという部分において、その人と接する職員によってとらえ方が異なるケースが多々発生します。担当者によって、利用者の思いへのとらえ方が変わるのはある意味当然です。それぞれの異なるとらえ方を持ち寄り、その根拠を明らかにすることが大切になるわけです。
とはいえ、現場業務が多忙になり、すり合わせの機会がなかなか持てないということになると、ケアプランに落とし込むのは決して簡単なことではありません。
結局、16枚のうちから、利用者の思いや「している」生活を描き出すためのシート(C-1-2やD-1、D-2シート、利用者の24時間を描き出すEシートなど)をピックアップし、とりあえず現場職員の感性を鍛えることが当面の目的になってしまいがちです。
もちろん、ケアプランの質を向上させるために、現場の感性を底上げすることはそれなりに必要です。大切なのは、多忙な中でも「皆が現場で気づいたこと」を持ち寄ることができるよう、カンファレンス以外の機会をできるだけ設けるようにすることです。
ここでケアマネジャーの役割が重要になります。まず、(1)多くの現場職員が集まれる機会を設けられるようシフト調整を行なう。(2)A・Bシートのように生活相談員など介護職以外の専門職が集められる情報について、ケアマネジャーがその収集を手配する。もう一つは、(3)なかなか全員が集まって意見交換ができない場合に、ケアマネジャーが現場をラウンドしつつ、意識的に個々の職員からヒアリングを重ねるということです。
(3)においてある程度の情報が収集できていれば、それを取りまとめたうえで、皆が集まれる機会に提示することができます。それを叩き台とすることで、活発な意見交換を促すことができれば、少ない時間であっても皆の見解をすり合わせる効果は高まるでしょう。
このすり合わせさえきっちり行なうことができれば、後は各居室担当者がすり合わせた情報をもとにEシートを記入し、「課題」と「支援内容」を明らかにしたうえで長期・短期の目標を設定するところまで進めます。ここまでできれば、初回だけケアマネジャーがケアプランへと落とし込み、更新の際に居室担当者が加筆・修正を行なっていけばいいでしょう。いずれ担当者のレベルが上がってきたところで、ケアプラン原案をつくるという部分まで手がけてもらうようにします。
(回答者:田中元)