施設におけるケアプランの個別性とは?
「ケアプランには個別性が表れていないとダメ」とよく言われます。しかしながら、私が勤める特養ホームには基本的な日課があり、食事や入浴を好きな時間にというのも人員体制上限界があります。入居者の希望はできるだけ聞きますが、現実を考えると何でもかんでもケアプランに活かすことは難しいのが現実です。施設での個別性とは、どこまで実現すべきものでしょうか。課題に優先順位をつけ、現場とのすり合わせで少しずつ
利用者の意向や可能性は一人ひとり皆違うのが当たり前で、それを反映できなければケアプランとはいえません。とはいえ、日課や人員配置などが先に決まっている状況では、利用者の意向や可能性を個別に尊重しようと思っても「できないこと」は必ず生じます。
利用者の個別性をとらえた後に、職員の勤務シフトなどを決めていくのが理想ですが、一気に変えていくことは難しいでしょう。そこで最初は、利用者の課題に優先順位をつけ、高い順位の短期目標を一つひとつクリアしていくことから始めるようにしている施設なども多くあります。
例えば、その人らしい生き生きとした生活を実現するうえで欠かせない生活習慣をピックアップしたとします。そのなかで特に不可欠なものにランキングをつけ、短期目標に設定しながら、「今月は必ずそれを実現する」ことを目指してシフト調整を行ないます。
それが実現できたら次の目標に向けた対応策を検討し、もし実現できないようなら、「なぜ実現できないのか」をテーマにあげながら、リーダー会議や個別に設定した組織内委員会で対策を検討します。組織運営を横断的に改革できる権限をもった会議にかけるわけです。
ポイントになるのは、(1)目標の優先順位をつける際に、必ず本人や家族と話し合う場をもって了解を得る、(2)組織運営の改革案が策定されたら、必ず現場にフィードバックしてうまくまわるかどうかを検証する、ことです。
加えて、優先順位が下位になったからといって「利用者に我慢を強いる」ことにならないための対応策を常にワンセットで考えておくことも必要でしょう。
例えば、在宅において「早朝の入浴」が日課だったという人がいたとして、この目標設定が下位に回ってしまったとします。この場合、「なぜその人は早朝の入浴が好きだったか」をきちんと聞き取り、「実はお湯につかってさっぱりしないと朝の食欲がわかない」といった理由が把握できたなら、「起床時に清拭を行なう」などの方法が考えられます。
その人らしさを実現する生活習慣には、必ず背景となる動機があります。それをいかにとらえるかという職員側の技術と感性を磨いていくことも重要になるでしょう。
(回答者:田中元)
利用者の個別性をとらえた後に、職員の勤務シフトなどを決めていくのが理想ですが、一気に変えていくことは難しいでしょう。そこで最初は、利用者の課題に優先順位をつけ、高い順位の短期目標を一つひとつクリアしていくことから始めるようにしている施設なども多くあります。
例えば、その人らしい生き生きとした生活を実現するうえで欠かせない生活習慣をピックアップしたとします。そのなかで特に不可欠なものにランキングをつけ、短期目標に設定しながら、「今月は必ずそれを実現する」ことを目指してシフト調整を行ないます。
それが実現できたら次の目標に向けた対応策を検討し、もし実現できないようなら、「なぜ実現できないのか」をテーマにあげながら、リーダー会議や個別に設定した組織内委員会で対策を検討します。組織運営を横断的に改革できる権限をもった会議にかけるわけです。
ポイントになるのは、(1)目標の優先順位をつける際に、必ず本人や家族と話し合う場をもって了解を得る、(2)組織運営の改革案が策定されたら、必ず現場にフィードバックしてうまくまわるかどうかを検証する、ことです。
加えて、優先順位が下位になったからといって「利用者に我慢を強いる」ことにならないための対応策を常にワンセットで考えておくことも必要でしょう。
例えば、在宅において「早朝の入浴」が日課だったという人がいたとして、この目標設定が下位に回ってしまったとします。この場合、「なぜその人は早朝の入浴が好きだったか」をきちんと聞き取り、「実はお湯につかってさっぱりしないと朝の食欲がわかない」といった理由が把握できたなら、「起床時に清拭を行なう」などの方法が考えられます。
その人らしさを実現する生活習慣には、必ず背景となる動機があります。それをいかにとらえるかという職員側の技術と感性を磨いていくことも重要になるでしょう。
(回答者:田中元)