意向がわからない入居者のケアプランの目標は…?
私が在籍する特別養護老人ホームでは、年々入居者が重度化し、重い認知症の人も増えています。ご本人の意向などを受け止めることが難しくなるなかで、ケアプランの目標はどのように設定すればよいのでしょうか。言葉以外も手がかりに、意向を捉える
「生活への意向」を明確に発せられないからといって、意向自体が存在しないことはありません。言葉という形で表されなくても、生活のなかに垣間見える態度や表情、視線などを手がかりに受け止めることができます。
例えば、その人の生活歴から「絵を描くのが趣味」という情報を得たとします。意思表示が難しい人の場合、その趣味を今でもしたいと思っているのかどうかは分かりません。そこで、その人のそばで、スタッフが実際に絵を描いてみます。その際の表情や視線などを観察しながら、「自分でもやってみたいと思っているのかどうか」を察知します。
こうしていろいろとトライをしてみるなかで、特に反応が強く、実際にやってもらったら「その後の表情が生き生きとした」などという変化が認められたら、それを“意向の候補”としてカンファレンスの議題とします(職員との相性などによって、反応が変わることがあるからです)。話し合いのなかで、その人にかかわる職種が情報交換をしながら、「生活への意向」を形にしていきます。
施設における入居者の重度化が進むなか、こうした取組みが増えています。そこから、「もっと充実した時間を過ごしてもらうには、どんな声かけや環境づくりが必要なのか」という視点で目標を設定していくわけです。
ただし、一つ間違えると「無理強い」と紙一重になることもあります。それが本人のプレッシャーになったり、「うまくできない」ことが落ち込みの原因ともなりかねないので、ベテラン職員などがきちんと見極め、現場からの相談にのる体制が必要です。
(回答者:田中元)
例えば、その人の生活歴から「絵を描くのが趣味」という情報を得たとします。意思表示が難しい人の場合、その趣味を今でもしたいと思っているのかどうかは分かりません。そこで、その人のそばで、スタッフが実際に絵を描いてみます。その際の表情や視線などを観察しながら、「自分でもやってみたいと思っているのかどうか」を察知します。
こうしていろいろとトライをしてみるなかで、特に反応が強く、実際にやってもらったら「その後の表情が生き生きとした」などという変化が認められたら、それを“意向の候補”としてカンファレンスの議題とします(職員との相性などによって、反応が変わることがあるからです)。話し合いのなかで、その人にかかわる職種が情報交換をしながら、「生活への意向」を形にしていきます。
施設における入居者の重度化が進むなか、こうした取組みが増えています。そこから、「もっと充実した時間を過ごしてもらうには、どんな声かけや環境づくりが必要なのか」という視点で目標を設定していくわけです。
ただし、一つ間違えると「無理強い」と紙一重になることもあります。それが本人のプレッシャーになったり、「うまくできない」ことが落ち込みの原因ともなりかねないので、ベテラン職員などがきちんと見極め、現場からの相談にのる体制が必要です。
(回答者:田中元)