生活援助の利用で困っています
認知症の妻と要介護認定を申請中の夫というケースの訪問介護の利用について困っています。ご夫婦では食事の支度や居室内の整理が十分できないため、生活援助の利用を考えています。しかし、二世帯住宅のため、同じ敷地内に家族がいるということで生活援助の利用を保険者が認めてくれません。身体介護ならば、ということでしたが利用料が問題となります。また、配食サービスは週2回で曜日も定められています。どうすればいいのかと、悩んでいます。
まず利用者・家族の状況を判断。一歩踏み出した支援が必要となることも
これもよく迷うケースですよね。訪問介護の生活援助は、ご存知のように、同居の家族がいる場合には原則として提供できません。ただし、例外として、同居の家族に「やむをえない理由」がある場合には認められます。具体的には、
・同居の家族も要介護認定を受けている
・認定を受けていなくても身体的に家事を行えない状態であると認められる
・同居の家族から虐待などを受けており、関係が修正不可能な状況にある
・日中、長時間にわたり家族が外出していて、実質的に独居である
などです。これらに該当すればケアプランにその理由を明記することで生活援助の提供は可能です。
しかし、ご質問のように、二世帯住宅で常に健康な家族が良好な関係を保ちながら同居しているとしたら、生活援助の提供は難しいでしょう。ちなみに二世帯住宅の定義としては、「外部に出なくてもお互いの生活空間を行き来できる家屋」をいいます。ですから、同一敷地内でも、別棟であれば同居にはなりません。この方はどうなのでしょうか?
また、ご質問のなかに、保険者からの意見として「身体介護なら提供可能」とありますが、ケアマネジメントは生活課題が持つ援助の必要性においてサービスが決まりますので、「本当は生活援助が必要なのに身体介護として算定すれば通るから」とか、「自己負担の料金が安いから生活援助で」といった決め方には疑問を感じます。
最後に支援方法についてのアドバイスですが、いくつかの可能性が考えられますね。まず、
・二世帯住宅の同居の家族の方がいつもいらっしゃるのなら、家族間の調整を行ないましたか? 例えば、二階にお嫁さんがいるとしたら、ご両親の部屋の整理整頓や食事の用意を援助していただくように調整する試みです。
・もし、二世帯間の関係が険悪で援助を受けられないのならば、そして配偶者の方も家事が不可能であるならば、保険者との交渉です。すでに保険者が認めてくれないとのことですが、どこまで交渉されましたか? ケアマネジメントの機能には「アドボケイト(代弁・権利擁護)」があります。ただ単に保険者に「どうですか?」と尋ねても、色よい返事は返ってこないでしょう。アセスメントの結果、そのサービスが本当に必要であると判断したならば、ケアマネジャーには、その必要性をもって保険者と「交渉」する役割が求められます。ただし、保険者と喧嘩はしないでくださいね。
・更には、インフォーマルサービスの活用です。実際には地域性や、この方のようにかなりの広範囲の支援(掃除・調理)となると、インフォーマルで補うことはなかなか難しいと思いますが、不可能ではないと思います。実際に、地域によってはボランティアで高齢者宅を訪問して調理などを支援している団体や個人の方もいらっしゃいます。そして、もしそのようなインフォーマルサービスがなければ、ケアマネジメントの機能「社会資源の開発」です。ケアマネジャー自ら、インフォーマルサービスの活動を活性化させるような働きかけを地域に向けて行うことです。時間はかかると思いますが、何もしなければ今後もこのままですよね。
頑張ってください!!
(回答者:能本守康)
・同居の家族も要介護認定を受けている
・認定を受けていなくても身体的に家事を行えない状態であると認められる
・同居の家族から虐待などを受けており、関係が修正不可能な状況にある
・日中、長時間にわたり家族が外出していて、実質的に独居である
などです。これらに該当すればケアプランにその理由を明記することで生活援助の提供は可能です。
しかし、ご質問のように、二世帯住宅で常に健康な家族が良好な関係を保ちながら同居しているとしたら、生活援助の提供は難しいでしょう。ちなみに二世帯住宅の定義としては、「外部に出なくてもお互いの生活空間を行き来できる家屋」をいいます。ですから、同一敷地内でも、別棟であれば同居にはなりません。この方はどうなのでしょうか?
また、ご質問のなかに、保険者からの意見として「身体介護なら提供可能」とありますが、ケアマネジメントは生活課題が持つ援助の必要性においてサービスが決まりますので、「本当は生活援助が必要なのに身体介護として算定すれば通るから」とか、「自己負担の料金が安いから生活援助で」といった決め方には疑問を感じます。
最後に支援方法についてのアドバイスですが、いくつかの可能性が考えられますね。まず、
・二世帯住宅の同居の家族の方がいつもいらっしゃるのなら、家族間の調整を行ないましたか? 例えば、二階にお嫁さんがいるとしたら、ご両親の部屋の整理整頓や食事の用意を援助していただくように調整する試みです。
・もし、二世帯間の関係が険悪で援助を受けられないのならば、そして配偶者の方も家事が不可能であるならば、保険者との交渉です。すでに保険者が認めてくれないとのことですが、どこまで交渉されましたか? ケアマネジメントの機能には「アドボケイト(代弁・権利擁護)」があります。ただ単に保険者に「どうですか?」と尋ねても、色よい返事は返ってこないでしょう。アセスメントの結果、そのサービスが本当に必要であると判断したならば、ケアマネジャーには、その必要性をもって保険者と「交渉」する役割が求められます。ただし、保険者と喧嘩はしないでくださいね。
・更には、インフォーマルサービスの活用です。実際には地域性や、この方のようにかなりの広範囲の支援(掃除・調理)となると、インフォーマルで補うことはなかなか難しいと思いますが、不可能ではないと思います。実際に、地域によってはボランティアで高齢者宅を訪問して調理などを支援している団体や個人の方もいらっしゃいます。そして、もしそのようなインフォーマルサービスがなければ、ケアマネジメントの機能「社会資源の開発」です。ケアマネジャー自ら、インフォーマルサービスの活動を活性化させるような働きかけを地域に向けて行うことです。時間はかかると思いますが、何もしなければ今後もこのままですよね。
頑張ってください!!
(回答者:能本守康)