施設職員にふさわしい服装は?
施設での職員の服装について悩んでいます。最近は家庭的な雰囲気を重視して私服の施設も多くなっているようですが、職員と来所した家族の区別がつかないという声も聞きます。私服と制服、それぞれのメリット・デメリットを教えてください。
施設の目指す方向性で変わるもの
介護施設を「生活の場」ととらえ、あらゆる職種について制服の使用を控える傾向が強まっています。認知症の人の場合などは、制服を見ただけで「看護師さん→ここは病院」と連想することがあり、それが利用者の不安感をあおることで周辺症状を悪化させかねないという考え方もあります。
逆に、すべての職員が私服を着用してしまうと、来所した家族にとってどの人が職員なのか分からなくなったり、職員であることは分かっても「看護職なのか、介護職なのか」という区別がつかないことがあります。そのため、「職員に声をかける」ことを躊躇してしまい、利用者本人についての大切な情報が伝わりにくいことが懸念されたりします。
ただし、家族が「職員を認識しにくい」という点については、職員が名札を装着したり、職員の顔写真をフロアに掲示したりすることでカバーすることが可能です。それ以前に、職員側が家族の顔を覚えたうえで積極的に声をかけるという習慣があれば、家族と職員の間のコミュニケーションが低調になるというリスクは防ぐことができます。
つまり、私服にした場合には、「利用者や家族が自分たちをどう認識するか」ということをあらかじめ話し合い、そこから生ずるリスクとそれをカバーする習慣(声かけの工夫や挨拶の仕方など)について、現場で確認しあうことが求められるわけです。
なお、同じ私服であっても、「動きやすさ」という機能性を追及したあげくにジャージ類が中心となり、利用者や家族からしてみると「だらしがない」とか「生活の場は分かるがメリハリのない雰囲気をつくってしまう」と感じることもあります。このあたりは、施設側が「何を重視しているのか」という考え方次第ですが、トップのビジョンのみで決めてしまうのではなく、現場職員との話し合いや家族会を通じての聞き取りなどを行うことで、幅広く合意を形成することが必要でしょう。
(回答者:田中元)
逆に、すべての職員が私服を着用してしまうと、来所した家族にとってどの人が職員なのか分からなくなったり、職員であることは分かっても「看護職なのか、介護職なのか」という区別がつかないことがあります。そのため、「職員に声をかける」ことを躊躇してしまい、利用者本人についての大切な情報が伝わりにくいことが懸念されたりします。
ただし、家族が「職員を認識しにくい」という点については、職員が名札を装着したり、職員の顔写真をフロアに掲示したりすることでカバーすることが可能です。それ以前に、職員側が家族の顔を覚えたうえで積極的に声をかけるという習慣があれば、家族と職員の間のコミュニケーションが低調になるというリスクは防ぐことができます。
つまり、私服にした場合には、「利用者や家族が自分たちをどう認識するか」ということをあらかじめ話し合い、そこから生ずるリスクとそれをカバーする習慣(声かけの工夫や挨拶の仕方など)について、現場で確認しあうことが求められるわけです。
なお、同じ私服であっても、「動きやすさ」という機能性を追及したあげくにジャージ類が中心となり、利用者や家族からしてみると「だらしがない」とか「生活の場は分かるがメリハリのない雰囲気をつくってしまう」と感じることもあります。このあたりは、施設側が「何を重視しているのか」という考え方次第ですが、トップのビジョンのみで決めてしまうのではなく、現場職員との話し合いや家族会を通じての聞き取りなどを行うことで、幅広く合意を形成することが必要でしょう。
(回答者:田中元)