国家試験を突破して精神保健福祉士の資格を取得した合格者の皆さんに、合格までの道のりをご紹介いただきます。効果的な勉強法や忙しいなかでの時間のつくり方、実際に資格を手にして思うことなど、受験者が参考にしたい話が満載です。
第19回 片岡恵子(かたおか・けいこ)さん
平成22年度試験合格
プロフィール
受験の動機
大学に入ったときは、「福祉」を勉強しに行くという気持ちが前面で、社会福祉士や精神保健福祉士という資格がとれることは知っていましたが、そのために行く感覚ではなかったと思います。私が通っていた高校では福祉を習う授業がなかったので、どんなものかまったくわからず、友達と「福祉って知ってる?」「え〜、介護やってる人のことでしょ」、こんな会話をしているレベルでした。自分が知らない世界だったから、それを知ってみたいと思ったのが一つです。
ちょうどそんな思いを抱いていた折に、手術するくらいの大ケガをして、一時は隣の部屋に移動するのにも苦労する状態になりました。このとき、障害をもっていることのバリアを実感し、たしか「福祉」というのはこういうのを改善することもやるんだな、どうやって改善するのだろうと、さらに学んでみたい気持ちが広がりました。
決め手は、佛教大学のオープンキャンパスでした。ある先生の講義を聴いていて、これだと。内容はよく覚えていないのですが、福祉というものそのものを述べられていて、その論旨がもっていた何かに強く惹かれた印象が残っています。
大学入学後、目指す資格は社会福祉士と精神保健福祉士の両方と考えました。働く分野にこだわりはなく、高齢者にかかわる分野も同じくらいの可能性にみていました。本学に介護福祉士のコースはありませんでしたが、介護の現場で働くことも考えていました。それぞれの職種や現場でどういう仕事をするのかは、実際にやってみないとわからないですから、そのあたりのレンジはいつも広めにとっていました。
受験勉強は、学校の授業をまずまず真面目に受けて、その流れでゼミを中心とした集団学習で力を底上げしていった感じです。その内容をご紹介します。
ちょうどそんな思いを抱いていた折に、手術するくらいの大ケガをして、一時は隣の部屋に移動するのにも苦労する状態になりました。このとき、障害をもっていることのバリアを実感し、たしか「福祉」というのはこういうのを改善することもやるんだな、どうやって改善するのだろうと、さらに学んでみたい気持ちが広がりました。
決め手は、佛教大学のオープンキャンパスでした。ある先生の講義を聴いていて、これだと。内容はよく覚えていないのですが、福祉というものそのものを述べられていて、その論旨がもっていた何かに強く惹かれた印象が残っています。
大学入学後、目指す資格は社会福祉士と精神保健福祉士の両方と考えました。働く分野にこだわりはなく、高齢者にかかわる分野も同じくらいの可能性にみていました。本学に介護福祉士のコースはありませんでしたが、介護の現場で働くことも考えていました。それぞれの職種や現場でどういう仕事をするのかは、実際にやってみないとわからないですから、そのあたりのレンジはいつも広めにとっていました。
受験勉強は、学校の授業をまずまず真面目に受けて、その流れでゼミを中心とした集団学習で力を底上げしていった感じです。その内容をご紹介します。
グループ学習で始動
資格受験を意識した勉強に初めて取り組んだ、といいますか、手を出してみたのは社会福祉士の実習が終わった頃、大学3年の2月くらいだったと思います。一問一答形式の小さな参考書を電車の中で解いてみて、というスタートでした。
ほどなく大学4年になると、入るゼミが4つになりました。佛教大学に独自のシステムかもしれません。社会福祉士の演習、精神保健福祉士の実習と演習、ゼミ論の4種類です。それぞれ少人数制ということもあって、このグループ単位で勉強する機会が増えていきました。大学にはグループをつくって勉強をすると学費補助がされる制度もあり、グループで参考書を購入して、みんなで共有することもできました。
グループでの学習は、例えば、同じ問題をみんなで解いて答え合わせをした後、どこがわからなかったか、ポイントはどこかなど、それぞれが説明し合いながら理解を深めていく進め方です。同じ資格を目指しているので、すぐに試験の話題になりますし、みんなで勉強しようという話もすぐにまとまります。グループでゼミの先生の研究室にお邪魔して、わからなかったら教えていただいたり、参考書や問題集もいろいろお借りしたりと、密度の高い勉強ができました。
科目は、最初に共通科目から取り組み始めました。範囲が広く、専門科目に比べて難しいとの意見は一致していました。
前半は、このグループ学習が受験勉強の柱でした。大学4年の前期(夏休み前まで)は、家に帰ってからはほとんど勉強をしていなかったと思います。
ほどなく大学4年になると、入るゼミが4つになりました。佛教大学に独自のシステムかもしれません。社会福祉士の演習、精神保健福祉士の実習と演習、ゼミ論の4種類です。それぞれ少人数制ということもあって、このグループ単位で勉強する機会が増えていきました。大学にはグループをつくって勉強をすると学費補助がされる制度もあり、グループで参考書を購入して、みんなで共有することもできました。
グループでの学習は、例えば、同じ問題をみんなで解いて答え合わせをした後、どこがわからなかったか、ポイントはどこかなど、それぞれが説明し合いながら理解を深めていく進め方です。同じ資格を目指しているので、すぐに試験の話題になりますし、みんなで勉強しようという話もすぐにまとまります。グループでゼミの先生の研究室にお邪魔して、わからなかったら教えていただいたり、参考書や問題集もいろいろお借りしたりと、密度の高い勉強ができました。
科目は、最初に共通科目から取り組み始めました。範囲が広く、専門科目に比べて難しいとの意見は一致していました。
前半は、このグループ学習が受験勉強の柱でした。大学4年の前期(夏休み前まで)は、家に帰ってからはほとんど勉強をしていなかったと思います。
採用通知で気持ちに火が入った
試験に合格しなくてはいけないと本気で思ったのは、就職試験の後、採用の連絡をいただいたときです。11月の初旬でした。就職先については先にお伝えしたとおり、当初はさまざまな方面を考えていましたが、精神保健福祉士の実習で精神科の病院(現在勤務している五条山病院です)に行ったとき、ここで働きたいと思いました。いちばんの理由は、そこで働くワーカーの方々の姿でした。患者さんお一人おひとりとコミュニケーションをとりながら、お互いが活き活きとしている。バタバタと忙しくはしていても、人とかかわるということを大事に取り組まれている。そのことが伝わってきました。精神の障害についてもっと学びたいという気持ちも出てきました。
そして、就職採用の喜びと同時に、にわかに焦りが出てきました。やるべき勉強をしてきた感触はあったのですが、気持ちの面でぐっと引き締まったのです。
そして、就職採用の喜びと同時に、にわかに焦りが出てきました。やるべき勉強をしてきた感触はあったのですが、気持ちの面でぐっと引き締まったのです。
後半は弱点の克服を重点に
とはいえ、11月はゼミ論を仕上げるのに手間を要し、12月に入って力を入れていきました。大学で勉強するスタイルは基本的に変えず、授業の前の時間帯にゼミ室に集まったり、一人のときは図書館に行ったりして勉強しました。家での勉強もしましたが、そちらを主体にしなかったのは、それまで学校でいい感じに勉強できていたので、変える理由がなかったのと、家ではだらけると思ったからです。
1月に入ってからは、通学の時間(片道2時間です)がもったいないので、授業が入っている日もレポートの提出などで代替できるときはして、時間を確保できるように家で勉強しました。
勉強の進み具合については、最後まで不安が残りました。模擬試験で0点科目を出してしまった「権利擁護と成年後見制度」など苦手科目があって、問題を解いていても、選択肢5つのうち3つが間違っているのはわかる、でもあと1つがあいまいなど、克服した実感がなかなかもてませんでした。頭にしっかり入れたい内容だけをまとめたノートを作ったり、関連する解説を何度も読み返したりと、試験の直前まで悪戦苦闘でした。
1月に入ってからは、通学の時間(片道2時間です)がもったいないので、授業が入っている日もレポートの提出などで代替できるときはして、時間を確保できるように家で勉強しました。
勉強の進み具合については、最後まで不安が残りました。模擬試験で0点科目を出してしまった「権利擁護と成年後見制度」など苦手科目があって、問題を解いていても、選択肢5つのうち3つが間違っているのはわかる、でもあと1つがあいまいなど、克服した実感がなかなかもてませんでした。頭にしっかり入れたい内容だけをまとめたノートを作ったり、関連する解説を何度も読み返したりと、試験の直前まで悪戦苦闘でした。
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試験本番の手応えはよくなく、自信はありませんでした。でも、就職が予定されている病院からだいたいの結果を知らせてほしいと言われていたため、翌日、インターネットの解答速報でこわごわと答え合わせをして……なんとか2つの資格とも合格ラインに乗っていることを確かめたのでした。ソーシャルワーカーとして
今、私は精神科ソーシャルワーカーとして働き、もう数カ月で丸2年になります。患者さんやご家族、先輩ソーシャルワーカーの方々、医療スタッフの方々から、日々学ぶことの連続です。はじめに福祉を学びたいと思ったこと、資格を取ろうと思ったこと、この病院で働きたいと思ったこと、これらすべてがかけがえのないことと思います。歩んできたこの過程を大切にして、医療の視点にとらわれず、初心に立ち返りながら、ご本人主体のかかわりをしていきたいと思います。