国家試験を突破して精神保健福祉士の資格を取得した合格者の皆さんに、合格までの道のりをご紹介いただきます。効果的な勉強法や忙しいなかでの時間のつくり方、実際に資格を手にして思うことなど、受験者が参考にしたい話が満載です。
第24回 宮崎美友紀(みやざき・みゆき)さん
平成21年度試験合格
プロフィール
受験の動機
プロフィールで紹介いただいている中学のときの友達の一件は大きかったと思います。学校に来ると給食があるので、食べたら出ちゃう(吐いちゃう)んじゃないかという本人の不安は大きくて、電車も車も満足に乗れない。当時、私の中にあったのは、どう接したら彼女はよくなっていくんだろうという“かかわり”の部分でした。
そこが根底にありましたので、ソーシャルワークという仕事に対するあこがれと目的意識は、最後までぶれませんでした。精神保健福祉士・社会福祉士の実習でいくつか病院に行ったときの印象は、“もっと患者さんにかかわりたい”でした。職員さん方のかかわりが薄いということではなくて、もっとその人の生活に密着したところでかかわりたいという意味です。今、私が勤めている診療所は在宅訪問を中心にしていて、私も車と自転車を使って日に20件以上を訪問しています。患者さんの生活の場にうかがって、いろいろお聴きする、かかわることにどっぷり浸かっています。体力も気力も使いますが、やりがいのある仕事に出合えたと感謝しています。
目的意識が相当に高かったので、お勉強はかなりしっかりやったほうだと思います。これだけやったんだから、これで落ちたら悔いはないと自分に納得できるまでの状態にもっていった私の受験体験をお話しさせていただきます。
そこが根底にありましたので、ソーシャルワークという仕事に対するあこがれと目的意識は、最後までぶれませんでした。精神保健福祉士・社会福祉士の実習でいくつか病院に行ったときの印象は、“もっと患者さんにかかわりたい”でした。職員さん方のかかわりが薄いということではなくて、もっとその人の生活に密着したところでかかわりたいという意味です。今、私が勤めている診療所は在宅訪問を中心にしていて、私も車と自転車を使って日に20件以上を訪問しています。患者さんの生活の場にうかがって、いろいろお聴きする、かかわることにどっぷり浸かっています。体力も気力も使いますが、やりがいのある仕事に出合えたと感謝しています。
目的意識が相当に高かったので、お勉強はかなりしっかりやったほうだと思います。これだけやったんだから、これで落ちたら悔いはないと自分に納得できるまでの状態にもっていった私の受験体験をお話しさせていただきます。
スタートは4月
本格的な受験勉強は、きりよく大学4年の4月からと初めから決めていました。精神保健福祉士と社会福祉士の2つを絶対取るというのは、大学に入ったときからの揺るぎない目標でした。3年間続けてきたアルバイト(コンビニ、焼肉屋)は完全にやめ、勉強に集中できる体制をつくりました。実は、3年生になったときに少し早めにやろうと取り組みかけたことがあるのですが、このときは履修科目もそれなりに残っていて、勉強一色になってしまうと断念したのでした。それもあったため、4年の4月から確実にというのは心の準備の面でも十分で、早いという感覚はありませんでした。
「全体」を押さえる学習を志向
教材選びは、できるだけ教科書に近いものを持とうと考えました。私の場合、一から全部載っている教科書的なものから順々に頭に入れていくという方式でないと、なんだか気持ちが落ち着かない、安心できないというのがあって、とにかく基礎をちゃんと学びたい気持ちが第一にありました。
過去問や一問一答形式の問題集は、その文と答えしか載っていないので、そのことは自分が学ぶべきことの全体のどこに位置しているのか、他の問題とはどうつながっているのかなどはわかりません。ですから、最初に手にする教材として、こうした問題集は目に入りませんでした。私が受験した年は、社会福祉士のほうが新カリキュラム初の試験で、どういう問題が出るかよくわからない状況でした。どんな問題が出ても、基礎がきちんとわかっていれば対応できるはず。その気持ちもありました。
私が選んだのは、必携(『必携社会福祉士精神保健福祉士共通科目編』『必携社会福祉士専門科目編』筒井書房)とワークブック(『精神保健福祉士受験ワークブック』中央法規出版)でした。4月にはまだ新しい年度の本は売られていませんでしたが、前年度版を購入し、勉強を開始しました。その後、6〜7月に今年度版が発売されたところで、改めて購入し直し、こちらを基本教材としました。
教材についてはもう一点、大学から案内を受けた外部の受験対策講座で使用するテキストも活用しました。こちらも科目ごとに知識の全体を網羅した体裁で、積み重ね型の学習に適していました。受験対策講座そのものは、毎週土日の受講で3カ月程度のプログラムでした。
過去問や一問一答形式の問題集は、その文と答えしか載っていないので、そのことは自分が学ぶべきことの全体のどこに位置しているのか、他の問題とはどうつながっているのかなどはわかりません。ですから、最初に手にする教材として、こうした問題集は目に入りませんでした。私が受験した年は、社会福祉士のほうが新カリキュラム初の試験で、どういう問題が出るかよくわからない状況でした。どんな問題が出ても、基礎がきちんとわかっていれば対応できるはず。その気持ちもありました。
私が選んだのは、必携(『必携社会福祉士精神保健福祉士共通科目編』『必携社会福祉士専門科目編』筒井書房)とワークブック(『精神保健福祉士受験ワークブック』中央法規出版)でした。4月にはまだ新しい年度の本は売られていませんでしたが、前年度版を購入し、勉強を開始しました。その後、6〜7月に今年度版が発売されたところで、改めて購入し直し、こちらを基本教材としました。
教材についてはもう一点、大学から案内を受けた外部の受験対策講座で使用するテキストも活用しました。こちらも科目ごとに知識の全体を網羅した体裁で、積み重ね型の学習に適していました。受験対策講座そのものは、毎週土日の受講で3カ月程度のプログラムでした。
苦手な分野、総分量が多い分野から攻略
勉強は、まず共通科目の社会福祉原論(試験を受けたときの科目は「現代社会と福祉」です)から取り組みました。原論はとにかく暗記で、人名とやった年とやったことをひたすら覚えていく。暗記はもともと得意なほうでしたが、苦痛もなかなか多いため、後回しにするのは抵抗があって、あとからでは焦るとも思いました。量も多いので、はじめのうちにやっておこうというわけです。社会保障も苦手意識が先立ったので、早い時期に取り組みました。
苦手なところから取り組んだところ、想像していた以上に期間を要してしまい、このペースでいったら、精神の専門科目までたどり着けるだろうかと心配になりました(順序として、大まかに共通科目→社会の専門科目→精神の専門科目を描いていました)。
そこで、カレンダーを作りました。勉強の全体計画を管理するスケジュール表です。何月何日から何月何日までこの科目をやるとあらかじめ決め、その期間のなかで勉強するスピードや内容に対する深さをコントロールするイメージです。
夏休みに入って実習(精神保健福祉士)に行くとその時期はまず勉強できないとわかっていた(3年の社会福祉士の実習で経験済み)ので、夏休みに入る前に共通科目を終わらせられるように計画を立て、実習が終わったら、社会の専門科目にとりかかるようにしました。精神の専門は、内容が専門に特化されて興味もある部分だったため、苦にならずに勉強できると後半に回しました。社会のほうをメインに取り組みつつ、試験までの期間を計算しつつ、併行して精神も取り組むような配分です。
基礎学習がほぼかためられたと実感できたのは、10月〜11月だったと思います。
苦手なところから取り組んだところ、想像していた以上に期間を要してしまい、このペースでいったら、精神の専門科目までたどり着けるだろうかと心配になりました(順序として、大まかに共通科目→社会の専門科目→精神の専門科目を描いていました)。
そこで、カレンダーを作りました。勉強の全体計画を管理するスケジュール表です。何月何日から何月何日までこの科目をやるとあらかじめ決め、その期間のなかで勉強するスピードや内容に対する深さをコントロールするイメージです。
夏休みに入って実習(精神保健福祉士)に行くとその時期はまず勉強できないとわかっていた(3年の社会福祉士の実習で経験済み)ので、夏休みに入る前に共通科目を終わらせられるように計画を立て、実習が終わったら、社会の専門科目にとりかかるようにしました。精神の専門は、内容が専門に特化されて興味もある部分だったため、苦にならずに勉強できると後半に回しました。社会のほうをメインに取り組みつつ、試験までの期間を計算しつつ、併行して精神も取り組むような配分です。
基礎学習がほぼかためられたと実感できたのは、10月〜11月だったと思います。
勉強法はとにかく「書く」
書く。これが私の方法でした。中学校のときからずっとこの方法です。ノートとかに整理して書くのではなくて、裏が白の新聞広告をいっぱい持ってきて、なぐり書きのように書いていく。書くのは大事なところだけ。覚えなくてはいけない人名などを書いて覚えるんです。「書いて覚える」という方法です。
一日の勉強時間は、授業を除いて平均10時間くらいでした。バイトの時間が自分の時間になったのと、4年生になって授業が減ったのとで、勉強できる時間が必然的に増えました。授業の合間に図書館でというのは意外にダメで、私の場合、周りに人がいると気が散って集中できませんでした。勉強中はたまに「○○だから、△△△で……」と気づくと声を出していることもあって、それができないのもやりづらさだったようです。
授業が午後の1コマだとすると、午前9時から12時まで勉強、午後に授業を受けて、帰宅して17時から日付が変わるまで、といった感じです。
後半は「復習」に重点
11月くらいになると、基礎学習はほぼ終わっていました。新たに学んだことを覚えつつ、この頃から過去問や模擬問題を解くようになりました。といっても、本は購入しませんでした。過去問に関するプリント類が大学の授業でずいぶん配られていて、それだけでもかなり充実していました。
後半、12月から1月にかけていちばん力を入れたのは「復習」です。最初に勉強したことは数カ月前に覚えたことになるので、忘れてしまっていることは十分に考えられました。せっかくやったのに思い出せなかったら目も当てられません。
やり方としては、前の日に勉強したことを翌日の午前に復習します。新しいことを始める前に一通り、軽くでいいのでざっと見返します。一回復習すると知識が戻ってきて、次に復習するとさらに定着する。この確認作業は有効で、知識が確実に身についてくるのとそのことが実感できて自信につながりました。
勉強は新しいことを覚えるより復習のほうが楽で、後半になればなるほど自信も出てきたので、後半はあまり遅い時間までやらないで済むようになりました。遅くても1時には終わらせていたと思います。
後半、12月から1月にかけていちばん力を入れたのは「復習」です。最初に勉強したことは数カ月前に覚えたことになるので、忘れてしまっていることは十分に考えられました。せっかくやったのに思い出せなかったら目も当てられません。
やり方としては、前の日に勉強したことを翌日の午前に復習します。新しいことを始める前に一通り、軽くでいいのでざっと見返します。一回復習すると知識が戻ってきて、次に復習するとさらに定着する。この確認作業は有効で、知識が確実に身についてくるのとそのことが実感できて自信につながりました。
勉強は新しいことを覚えるより復習のほうが楽で、後半になればなるほど自信も出てきたので、後半はあまり遅い時間までやらないで済むようになりました。遅くても1時には終わらせていたと思います。
プレッシャーはあり
勉強はつらいと感じることはあってもまずまず計画どおりに進みました。そんななかでもプレッシャーはありました。自分でいうのは抵抗がありますが、学内の成績は優秀で、模擬試験の点数なども安全圏にありました。成績を認められた奨学金制度も利用していて、“宮崎さんは絶対合格する”という周囲の認識、プレッシャーは半端ではありませんでした。これで落ちたら私どうなるんだろうとそちらが不安でした。
ただ、こうも思いました。これ以上はないというくらい勉強した。これで受からなかったら私一生受からない、それくらいがんばって勉強した。だったら、落ちたとしてもこれだけやったんならいいかな。間違いなく自分はベストを尽くしたんだと。
えっ? 全然わからない!?
満を持して試験本番。ところが、社会学(試験の科目名は「社会理論と社会システム」です)がさっぱりでした。まったく知らない人が出てきて、必携にもワークブックにも受験対策講座のテキストにも載っていない、どんなに勉強してもこの人物にはたどり着けなかっただろうというのばかり出てきて、この科目、0点だけは取らないようにと祈るような気持ちでした。
試験後に自己採点したら、まあ大丈夫という手応え。ひとまずは胸をなでおろしたのでした。
私の経験からお伝えできるのは、がんばって勉強すればそれだけ自分の身についてくるということ、そして、どんな結果になっても自分は目標に向かって確かに努力したのだという納得が得られるということ、この二点です。
今はまだ5月、6月。基礎学習は十分間に合います。がんばってくださいね。