プロフィール
受験の動機
精神保健福祉士の養成に力を入れている大学を選び、進学したときから資格取得は明確に意識していました。環境にも恵まれ、向谷地先生(向谷地生良氏、「浦河べてるの家」で著名)の授業では、教室に精神障害の当事者を連れてきてくれて、ご本人の話を聞かせてくれたり、活動の様子をスライドで見せてくれたりと、現場に近い体験を数多くさせてもらいました。実習で診療所のデイケアに行ったとき、当事者の方々が思っていたより気楽に話してくれず戸惑いましたが、もともと人と話をするのが好きなこともあって、当事者とかかわることに抵抗はありませんでした。精神科ソーシャルワーカーとして働くということに、その時なりの手応えはあったように思います。
教材
いわゆる国家試験対策に取り組み始めたのは、6月頃です。ゼミの先生や先輩に教材を相談したら、いろんな種類の受験対策書を見せてくれました。はじめに思ったのは、何冊も買うと、自分に合っているものがどれかわからなくなり、混乱してしまうのではないかということでした。1つに絞ったほうが学ぶべき内容をモノにしやすいはずだと考え、その1冊を吟味しました。予想問題集などは、習得した知識を確認したいときに、その箇所に戻りづらい(検索しづらい)だろうとか、試験の直前まで使えることを考えて選びました。
目を惹いたのは、片側のページが参考書のような解説になっていて、もう片側のページに問題が載っている本でした。項目ごとにまとまった印象があって、これなら授業で習ったことを該当する箇所に付け加えたり、関係する内容同士に付箋を貼って、広がりのある知識として役立てられたりといった使い方ができると思いました。そうやって自分オリジナルの参考書を作っていこうと。書名は、「社会福祉士・精神保健福祉士国家試験完全対策 必修事項と範例問題」(みらい)です。
私の場合、精神保健福祉士と社会福祉士のダブル受験であったこと、また科目によっても分冊されていたので冊数は増えましたが、本の種類としてはこちらに絞りました。ただ、精神保健福祉士の専門科目は同じ本が出ていなかったので、やはりオリジナルの参考書にしやすいと感じられた「精神保健福祉士国家試験 問題分析と受験対策」(久美)を選びました。
目を惹いたのは、片側のページが参考書のような解説になっていて、もう片側のページに問題が載っている本でした。項目ごとにまとまった印象があって、これなら授業で習ったことを該当する箇所に付け加えたり、関係する内容同士に付箋を貼って、広がりのある知識として役立てられたりといった使い方ができると思いました。そうやって自分オリジナルの参考書を作っていこうと。書名は、「社会福祉士・精神保健福祉士国家試験完全対策 必修事項と範例問題」(みらい)です。
私の場合、精神保健福祉士と社会福祉士のダブル受験であったこと、また科目によっても分冊されていたので冊数は増えましたが、本の種類としてはこちらに絞りました。ただ、精神保健福祉士の専門科目は同じ本が出ていなかったので、やはりオリジナルの参考書にしやすいと感じられた「精神保健福祉士国家試験 問題分析と受験対策」(久美)を選びました。
試験対策
(1)計画表づくり
上記に紹介した参考書選びにも表れているように、何事も計画的に進めるタイプで、本格的な受験勉強を思い立ったとき、最初に行ったのは「計画表づくり」でした。A4の紙に1カ月のカレンダーを作り、その月の学習計画をあらかじめ決めておくやり方です。たとえば、この日の午前中に何ページから何ページ、午後は図書館で何ページから何ページと、具体的に勉強する時間帯や分量、場所を記入しておいて、そのとおりに実行していきます。
カレンダーを眺めると、勉強を詰め込み過ぎているのもわかるので、息抜きの日をつくったり、他の予定との兼ね合いから勉強時間を全体的に抑え気味にする週を意図的につくったりなど、綿密に計画を立てました。このとおり進めていけば大丈夫という安心や自信にもつながるだろうとの思いもありました。
カレンダーを眺めると、勉強を詰め込み過ぎているのもわかるので、息抜きの日をつくったり、他の予定との兼ね合いから勉強時間を全体的に抑え気味にする週を意図的につくったりなど、綿密に計画を立てました。このとおり進めていけば大丈夫という安心や自信にもつながるだろうとの思いもありました。
(2)科目の攻略
勉強する内容は、はじめに「基礎4科目」から取り組み始めました。社会保障論、社会福祉原論、公的扶助論、地域福祉論の4科目です。今とは科目の構成が違っていますが、要は難しい科目、点数の取りづらい科目から取り組んだということです。先輩たちから、「この4科目を先にやったほうがいいよ」と聞いて、そのようにしました。6月頃から、これら共通科目部分を集中的に勉強して、10月に入ってから社会福祉士の専門科目、精神保健福祉士の専門科目へと移っていきました。
(3)勉強方法
基本の勉強方法は一貫して、オリジナル参考書の中身を充実させつつ、これを読むというものでした。私の場合、声に出して読みました。先輩に勧められて始めたところ、何度かくり返すうちに自然と内容が頭に入ってきて、効果は想像以上でした。ある程度学習が進んでも、初めて聞く人名や見たこともない問題に出合うことはあって、それらをきちんとオリジナル参考書に書き込んで、そして読む。これのくり返しです。その意味で友達との情報交換も貴重でした。自分が使っている参考書には載っていなくて、別の教材では取り上げられている内容などもあって、それらを交換し合いました。
(4)勉強時間
一日当たりの勉強時間は、試験勉強を本格的に始めた6月頃から平均して8時間くらいです。12月後半から1月にかけては幾分増えましたが、大きな変化はありませんでした。当初から計画表でしっかり進行管理していたのが大きかったと思います。生活リズムを大きく変えたり、無理をして体調を崩したりすれば、効果的な勉強はできませんし、持っている力を発揮することもできません。睡眠時間を削ることもほとんどありませんでした。
(5)総仕上げ
ラスト1カ月は、試験本番を意識して試験当日のシミュレーションを取り入れました。実際の試験と同じように、午前の全科目と午後の全科目を決められた時間どおりに解くという方法です。問題は、予想問題集や新しく目にする問題から組み立てました。よいイメージトレーニングになったことに試験当日に気づきました。それと、冬休みに東京アカデミー主催のセミナーを受けました。自分自身の学習状況をチェックできたと同時に、一緒に受験する人たちの雰囲気を感じられたのがよかったです。
試験当日
やることはやってきたという気持ちがありましたし、自信はそれなりにもっていました。しかし、アクシデントが起こりました。初日の試験が終わった後、凍り道にすべって足を捻挫してしまったのです。立つこともままならず、救急病院に搬送され、帰宅するときは松葉杖でした。いちばん大事なときにケガをしてしまった自分が情けなくて涙が出ました。でも、あきらめなくてはいけないのかと思ったら、すぐにまったく逆の気持ちがうまれてきました。「これだけ努力したのに、こんなケガであきらめるなんてできない。絶対受かってやろう!」。
2日目はタクシーで試験会場に行きました。会場の北翔大学(江別市)は、私が住む札幌市の北区から車で40分程度。無事に着いたときは、まずここに戻ってこられたことにほっとしました。試験の手応えはありました。勉強していたことが次から次へと出題され、理解を問われる内容にもあまり動じませんでした。参考書を読み込んでいたのが大きいと実感した瞬間でした。
実は、足を捻挫した初日の試験前日、緊張して文字どおり一睡もできませんでした。すべてを出し尽くし、合格の感触も受け取ったこの日の夜、久しくないくらいにぐっすりと眠れたのはいうまでもありません。
2日目はタクシーで試験会場に行きました。会場の北翔大学(江別市)は、私が住む札幌市の北区から車で40分程度。無事に着いたときは、まずここに戻ってこられたことにほっとしました。試験の手応えはありました。勉強していたことが次から次へと出題され、理解を問われる内容にもあまり動じませんでした。参考書を読み込んでいたのが大きいと実感した瞬間でした。
実は、足を捻挫した初日の試験前日、緊張して文字どおり一睡もできませんでした。すべてを出し尽くし、合格の感触も受け取ったこの日の夜、久しくないくらいにぐっすりと眠れたのはいうまでもありません。
受験者の皆さんへ
受験を通して改めて実感したこと、発見したことがあります。一つは、「体がいちばん」ということです。食事、睡眠、気分転換、これらをおろそかにすると、何カ月にもわたる受験勉強のなかで、やがてコンディションを保つのが難しくなります。体をこわしてしまったら、一日二日が無駄になりますし、徹夜などはトータルでみたらマイナスです。受験生の皆さんには、第一に健康管理を大事にしていただきたいなと思います。
二つめは、「自分に合った方法を見つける」ということ。スピードやリズムは一人ひとり違います。私の場合、物事を順序立てて、早めの時期からきちんと準備して、じっくり取り組むというのが性に合っています。一方では、要領よく、短期間でてきぱきとこなしていって成果が上がる人もいます。私がこれをやったら、焦ってしまったり、時間が足りなかったりで、成果は上がりません。そういう自分の特徴を知っていたので、ご紹介したような方法を選択したということもあります。どういう進め方が自分に合っているかを、これまでの経験から探し出して取り組まれるといいかなと思います。
三つめは、「感謝の気持ちをもつ」ということ。試験初日にケガをしたとき、一緒に試験を受けていた友人は病院まで付き添ってくれて、不安になっている私に夜まで付いていてくれました。自分も明日の試験を控えていながらです。このときどんなに心強かったことでしょう。実家の親は、冬休みに帰省したとき、無理してないかと体を気遣ってくれ、ごはんを作ってくれました。このことがどんなに支えになったことでしょう。「みんなに助けられている」ことが感じられると、その気持ちは力になります。いつも感謝の気持ちを忘れない。とても大事なことだと思います。
二つめは、「自分に合った方法を見つける」ということ。スピードやリズムは一人ひとり違います。私の場合、物事を順序立てて、早めの時期からきちんと準備して、じっくり取り組むというのが性に合っています。一方では、要領よく、短期間でてきぱきとこなしていって成果が上がる人もいます。私がこれをやったら、焦ってしまったり、時間が足りなかったりで、成果は上がりません。そういう自分の特徴を知っていたので、ご紹介したような方法を選択したということもあります。どういう進め方が自分に合っているかを、これまでの経験から探し出して取り組まれるといいかなと思います。
三つめは、「感謝の気持ちをもつ」ということ。試験初日にケガをしたとき、一緒に試験を受けていた友人は病院まで付き添ってくれて、不安になっている私に夜まで付いていてくれました。自分も明日の試験を控えていながらです。このときどんなに心強かったことでしょう。実家の親は、冬休みに帰省したとき、無理してないかと体を気遣ってくれ、ごはんを作ってくれました。このことがどんなに支えになったことでしょう。「みんなに助けられている」ことが感じられると、その気持ちは力になります。いつも感謝の気持ちを忘れない。とても大事なことだと思います。
これから
私は今、精神科デイケアのソーシャルワーカーとして働いています。今年で4年目に入りました。つらいことや悩むことはいろいろあります。でも、丸3年やってきて、確信をもって言えることがあります。「この仕事と出合えてよかった」。人生のなかで、やりがいのもてる仕事にめぐり合うというのは、特に今の時代、そんなに簡単なことではないと思います。それに出合うことができたのですから幸せです。精神科ソーシャルワーカーは、自分自身が成長のできる仕事です。皆さんが見事試験に合格されて、ソーシャルワーカーとして活躍されることをお祈りします。
デイケアのプログラム「合唱クラブ」の1コマ