プロフィール
受験の動機
きっかけをくれたのは介護保険が始まる前、在宅介護支援センターに務めていたときに出会った統合失調症(当時は精神分裂病と呼称)の女性です。私はその方のお母さんへの支援でお宅に伺っていたのですが、近隣からは娘さんに対する苦情や不安の声があがっていました。あるとき、彼女から「風邪をひいて苦しい」と訴えがあったので、精神科を提案して受診に同行しました。過去に精神科の入院歴があるのを聞いていたからです。この一件が発端となって通院が始まると、状態がみるみるよくなっていったんです。彼女の表情、それと暮らしぶりまで変化したのがうれしかったし、近隣の苦情もなくなりました。このとき、精神保健について修めたいという気持ちがうまれました。それからほどなく精神保健福祉士の資格が誕生したんです。忙しさもあって受験までに10年以上を要してしまいましたが、あのときの気持ちは私の中にとどまり続けました。受験を決めたのは一昨年の秋です。同僚の保健師に「忙しくてもなんでも、必ず取って」と強く押され、精神保健福祉士養成の通信課程に申し込みました。
合格に役立ったこと
振り返ってみて、いちばん役に立ったと思えるのは課題のレポート作成です。包括(地域包括支援センター)に限ったことではありませんが、現場でどっぷり仕事をしながら、一日のどこかに時間を設定して計画的に勉強するというのはかなり難しいことで、もともとそれをするつもりもありませんでした。ただ、レポートを書くとなると、本は読まざるを得ず、そのときの読み方というのは、課題に示されているテーマが自分なりに見えやすくなるように、必要な部分を要点でつかもうとします。理解していなければ自分の言葉では書けないわけですから、人の名前や年号や事実関係の細かな点より、そこに書かれてある主旨を知ろうとします。そうすると、例えば精神保健福祉論のように、一から読み進めていこうとすると小難しいだけの理念的、歴史的な内容も、頭への入って来方が違ってきます。
そのような形でわずかながらも習得していった精神保健福祉の知識は、より深い部分への向学意欲を刺激しました。精神保健福祉の歴史は人権問題に根差していることを知り、人権に関する読み物もいろいろと手に取りました。
実習での経験も大きな肥やしとなっています。実習先の1カ所がアルコール依存の人が受診するクリニックで、当事者にとっての依存のもつ激烈さにふれるようでした。
これらはすべて、何かをおぼえて試験に役立てるものではありませんが、「精神保健福祉士の資格をなにがなんでも取りたい」(=だからがんばろう)と自分自身の意気を高めるには十分な効果がありました。
そのような形でわずかながらも習得していった精神保健福祉の知識は、より深い部分への向学意欲を刺激しました。精神保健福祉の歴史は人権問題に根差していることを知り、人権に関する読み物もいろいろと手に取りました。
実習での経験も大きな肥やしとなっています。実習先の1カ所がアルコール依存の人が受診するクリニックで、当事者にとっての依存のもつ激烈さにふれるようでした。
これらはすべて、何かをおぼえて試験に役立てるものではありませんが、「精神保健福祉士の資格をなにがなんでも取りたい」(=だからがんばろう)と自分自身の意気を高めるには十分な効果がありました。
おすすめのテキスト
受験テキストで役立ったと思うのは、「ここが出る!精神保健福祉士専門科目 一問一答2010」(中央法規)です。冒頭に挙げたように、基本的な事項を一つひとつ学んでいく時間がつくれなかったため、この本のように必要なことがコンパクトにまとまっているものを重宝しました。2011年度版が発行されていたら購入していたはずです。
これから
当面、精神保健福祉士として業務に就く予定はありませんが、この資格を取得する過程で得たさまざまな知識、経験はかけがえのないものでした。特に、人権について深く考え、学ぶ機会をもてたことで、これからのソーシャルワーカーとしての活動に人権擁護という一つの指針をより強力にもたらしてくれたと思います。