国家試験を突破して精神保健福祉士の資格を取得した合格者の皆さんに、合格までの道のりをご紹介いただきます。効果的な勉強法や忙しいなかでの時間のつくり方、実際に資格を手にして思うことなど、受験者が参考にしたい話が満載です。
第21回 奥野裕一(おくの・ゆういち)さん
平成22年度試験合格
プロフィール
受験の動機
もともと興味があったのは心理学でしたから、順調に大学院に上がっていたら心理職になっていたのかもしれません。でも、今仕事をしていて、ソーシャルワークという仕事の面白さや難しさ、奥深さを感じることが多く、精神保健福祉士になってよかったとつくづく思います。
精神保健福祉士に目が向いたのは、“心理”と領域が近かったことが一つ。カウンセラーではなく、ソーシャルワーカー(スクールソーシャルワーカー)として思春期の心の問題にかかわる道があるかなと思ったのがもう一つです。現在私は病院に勤めていますが、ソーシャルワークの考え方や技術は、場ごとに特定されるものではないことを感じていて、その意味でこれから自分が進んでいく道にもきっといろんな可能性があると思っています。
受験については、お世辞にもできのよい受験生ではなかったので、どれだけ皆さんのためになるお話ができるか不安ですが、どれだけ不十分な状態であっても天が味方することがあるというところを、やる気につなげていただければ幸いです。
精神保健福祉士に目が向いたのは、“心理”と領域が近かったことが一つ。カウンセラーではなく、ソーシャルワーカー(スクールソーシャルワーカー)として思春期の心の問題にかかわる道があるかなと思ったのがもう一つです。現在私は病院に勤めていますが、ソーシャルワークの考え方や技術は、場ごとに特定されるものではないことを感じていて、その意味でこれから自分が進んでいく道にもきっといろんな可能性があると思っています。
受験については、お世辞にもできのよい受験生ではなかったので、どれだけ皆さんのためになるお話ができるか不安ですが、どれだけ不十分な状態であっても天が味方することがあるというところを、やる気につなげていただければ幸いです。
ハードだった夜学コース
日本福祉教育専門学校を選んだのは、学校としての実績もそうですが、自宅のある群馬の高崎から通える距離だったことが大きいですね。といっても、片道2時間強。往復4時間でそれが週6日ですから、続けていくとなかなか厳しいものがありました。
4月から1年間の夜間コースで、授業は18時10分から21時20分の1日2限(90分×2コマ)。14時過ぎに家を出て、帰宅は0時少し前という毎日でした。通常、午前中はマクドナルドでアルバイトをしていて、こうしてタイムスケジュールを眺めてみると、往復の電車の中くらいしかまとまった時間はなく、勉強だけに集中する環境を整えたつもりがいざ取り組んでみると、授業に出るだけでいっぱいいっぱいだと気づかされました。
後半の半年は、学校に通うこと自体が結構負担に感じられて、体力的にも精神的にもつらい時期がありました。私の場合、息抜きはYouTubeで好きなアニメを観たり、ぱらっとマンガを読んだりと、短い時間で手軽にくつろいだ気持ちになれるものが多かったようです。学校仲間との飲み会もいい息抜きでした。食事とセットで飲みたい人は飲むという集まりも含めると、結構な回数をやっていたと思います。専門学校は社会人が多いので、いろんな人のいろんな考えに接するおもしろさもありました。
生活しているといろいろありますし、考えだっていつも一緒ではありませんから、同じモチベーションでただ最後まで通すというのは、人にもよるでしょうが難しいと思います。ストレスをうまく解消して勉強を続けられる工夫というのを、早めに考えられるとよいかなと思います。
4月から1年間の夜間コースで、授業は18時10分から21時20分の1日2限(90分×2コマ)。14時過ぎに家を出て、帰宅は0時少し前という毎日でした。通常、午前中はマクドナルドでアルバイトをしていて、こうしてタイムスケジュールを眺めてみると、往復の電車の中くらいしかまとまった時間はなく、勉強だけに集中する環境を整えたつもりがいざ取り組んでみると、授業に出るだけでいっぱいいっぱいだと気づかされました。
後半の半年は、学校に通うこと自体が結構負担に感じられて、体力的にも精神的にもつらい時期がありました。私の場合、息抜きはYouTubeで好きなアニメを観たり、ぱらっとマンガを読んだりと、短い時間で手軽にくつろいだ気持ちになれるものが多かったようです。学校仲間との飲み会もいい息抜きでした。食事とセットで飲みたい人は飲むという集まりも含めると、結構な回数をやっていたと思います。専門学校は社会人が多いので、いろんな人のいろんな考えに接するおもしろさもありました。
生活しているといろいろありますし、考えだっていつも一緒ではありませんから、同じモチベーションでただ最後まで通すというのは、人にもよるでしょうが難しいと思います。ストレスをうまく解消して勉強を続けられる工夫というのを、早めに考えられるとよいかなと思います。
模擬試験の結果から取り組み方を考えた
受験勉強に本格的に取り組み始めたのは11月後半です。使った教材は、中央法規の『精神保健福祉士国家試験過去問解説集』『精神保健福祉士受験ワークブック(専門科目編)』『社会福祉士・精神保健福祉士受験ワークブック(共通科目編)』の3冊です。本は8月には買っていて、さらっと読み通すくらいのことはしていましたが、理解したり覚えたりといった学習にはなかなか着手できずにいました。理由は、先ほど挙げたとおり、学校の授業を受けに行くだけで結構いっぱいになっていたことによります。それでもさすがにこのままではまずいということで取り組み始めたのがこの時期でした。
模擬試験を受けて、重点的に取り組む科目を確認してから始めようという気持ちもありました。そう言うと余裕がありそうに聞こえますが、そうではなく、すべてが弱かったので、試験で自分の実力を測ってから最も可能性のありそうな方法で取り組まないと、やらなくてはいけない分量に混乱してしまったり、自信を失ってしまったりするのではないかと思ったのです。
私が受験した年度まで、日本精神保健福祉士協会が実施する模擬試験があって、これを受けたのが10月でした。手応えも結果も散々で、でも自分の苦手がはっきりわかったので、逆に、それらの科目は1点か2点取れればいいと腹が決まりました。
模擬試験を受けて、重点的に取り組む科目を確認してから始めようという気持ちもありました。そう言うと余裕がありそうに聞こえますが、そうではなく、すべてが弱かったので、試験で自分の実力を測ってから最も可能性のありそうな方法で取り組まないと、やらなくてはいけない分量に混乱してしまったり、自信を失ってしまったりするのではないかと思ったのです。
私が受験した年度まで、日本精神保健福祉士協会が実施する模擬試験があって、これを受けたのが10月でした。手応えも結果も散々で、でも自分の苦手がはっきりわかったので、逆に、それらの科目は1点か2点取れればいいと腹が決まりました。
「問題を解く」へ一点集中
模擬試験の結果を見て、知識を理解して覚えて身につけていくというオーソドックスな勉強を今からやっても間に合わないと思いました。そこで、過去問に集中することにしました。とにかく問題を解く。同じ問題を2回、3回と解いて、解く過程で内容まで理解できるようにして、何度も間違えたり、答えは合っていても理解があいまいだったりする問題は、ワークブックの該当箇所で知識を補いました。幸いなことに、学校でも国家試験が近づいてくると、過去問や模擬問題などを使った小テストが頻回に行われたので材料には困らず、問題を解くトレーニングは順調に進められました。
本気で勉強したのは、12月後半から1月でした。アルバイトをやめて、図書館に行ってまとまった時間を確保するようにしました。最後まで、一つひとつの科目で必要とされる知識の全体像から不足部分をチェックするということはしなかったので不安はいっぱいでしたが、問題を見たときに選択肢の問われ方でピンとくる感覚も出てきて、少しだけ望みがもてる気になりました。
本気で勉強したのは、12月後半から1月でした。アルバイトをやめて、図書館に行ってまとまった時間を確保するようにしました。最後まで、一つひとつの科目で必要とされる知識の全体像から不足部分をチェックするということはしなかったので不安はいっぱいでしたが、問題を見たときに選択肢の問われ方でピンとくる感覚も出てきて、少しだけ望みがもてる気になりました。
奇跡が起きた
そして、国家試験本番。試験は非常に難しく、終わった直後の第一声が「ふざけんな」でした。特に、精神の専門科目の事例問題がどうとでも考えられる内容で、解答に苦しみました。確実に落ちたと思い、ショックが少しおさまった2日後に自己採点した結果は、得点率が5割に届かず。この時点であきらめました。ですから、3月に合格を知ったときは、うれしさを飛び越して、奇跡が起きたと思いました。にわかに就職活動を開始し、4月に就職。試験合格後の目まぐるしい展開に気持ちのほうが追いつかない感じでした。喜びは、あとからじわじわとやってきました。
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私は今、病院の精神科デイケアで働いています(プロフィールのエプロン姿の写真は、デイケアの1コマです)。仕事のやりがいは、当事者の方ができなかったことができるようになる、そこに立ち会える、その過程にかかわれるということです。周囲がやってあげて、ありがとうと言われるのではなく、その方が人の力を借りなくてもできるようになる、そこをつくっていくおもしろさや難しさを感じています。ソーシャルワークの価値を大事に、この道を究めていきたいと思います。